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第39話 タケシは玉砕しました

 僕の名前は三ツ俣優太17歳、平凡な高校生だ。


 どのくらい平凡だって? ふふふ、僕の部屋に飯をたかりに来る勇者と魔王に平たい何の特徴もない顔だね、とか子供並みのステータスで特に特筆する事はないぞ! といわれるぐらいには平凡さ。


 そりゃあ僕が高校のカースト上位のいけてる連中みたいだったなら、彼女も作れて楽しい学校生活も送れているだろうよ。だけど学校でもあんまり目立たない平均的な学生になんかそんなスリリングな展開などない。


 毎日(金土除く)夕食を10人前以上作らされて、お金を稼ぐために異世界に謎のmissionを勇者と魔王と一緒にこなし、大金(僕にとっては)を稼ぐくらいしかない退屈な日常だ。


 えっ? 勇者と魔王って何言ってるんだお前って? いるでしょ? みんなの所にも、一家にワンセットで。いるの当たり前なんじゃないの? 勇魔セット?


 勇魔セットなんて言葉聞いた事ないって…じゃあ一体この状況はなんだっていうんですか! 僕がおかしいって言うんですか? 


………………………………………


 よし、いい加減現実逃避から戻ろう!


 なんて初期の頃は脳内で理性A君と理性B君との葛藤会議があったものだ。だがしかし、そういった境遇も含めて全てを受け入れたら心が楽になった。そして今では2人との食事や冒険がとても楽しいと感じられる自分がいる。


 もはや二人は僕にとって家族であり、兄であり姉であり、仲間でもある稀有な存在になったのだ。


 いつまでも続いたらいいな。

 これからもずっと高校2年生のままで…いれたらいいな。

 と思ってしまうほどに…


 あっそういえば今思い出したけどタケシのその後の話があったんだった。イケメン成績優秀、運動神経抜群の学校ではカースト上位のイケてる男、橘タケシがなぜ平凡な僕の友達なのかよくわからない。


 妹の由奈ちゃん14歳、中学2年生の事が好きなシスコン野郎だったんが、実は1人の女性としての好きだと相談されて(詳しくは28話参照! もう一度読み直してみるのもいいぞ! 僕のせくしーしょっとも載っるよ。…嘘です。)血の繋がっていない連れ子だったので結婚できるよ。って教えてあげたら今から告白するって言ってダッシュで帰っていったけど…。



…………………………

…………………………

…………………………

…………………………

…………………………

 ダメでした!


 フラれました〜〜〜〜wwwww


 どうやら僕が “タケシの恋が実りませんように!”と祈ったのが効果出たみたいだ。


 由奈ちゃん14歳は同じクラスの男の子が好きになったらしい。だからお兄ちゃんと最近まで一緒にお風呂に入っていた事が兄弟なら当たり前だと思っていたのに、他の子に聞いてもそんな子はいなかったので恥ずかしいと思うようになって断わったとの事。


 タケシの事は好きだが、やはり何年も兄妹として過ごしてきたので恋愛感情の無い頼れる兄という感覚しかないらしい。


 と、ずばり言われてその日の夜はずっと電話越しにタケシの愚痴を聞きながら、タブレットででネットサーフィンしていたのだ。右から左へと受け流していたのだ。


 いや、最初は真剣にタケシを慰めてたよ、でも4時間だよ4時間。何回同じ事を聞かされたか…数え切れないぐらいのリピートに疲れて途中からテレビ番組を見て笑いながら生返事してたからな。


 結局そう言った愚痴は自分で気持ちを切り替えるしか解決法は無いから、周りがいくら言っても無意味なんだよね。話を聞くだけが仕事というか、話す事で自分の気持ちを整理していくという修復過程の作業なんだから。


 だから僕がテレビを見ようが、ネットを見ようがOKなのだ! そう自己弁護をしておこう。


 まあ、案の定2、3日は学校でもタケシは見るからに元気なかった。だが僕は声をかけなかった。普通の友達なら落ち込んだ友人を励まして励まして相手が禿げるほどに励ましてやるのだろうけど…声をかける気にはならなかった。


 なぜなら…見るからに元気のないタケシを学級カースト上位の可愛い女の子達が慰めに来まくっていたからだ。


 僕には彼女達が弱った獲物に近づくハイエナのように見えた。弱っているタケシにすり寄って同情を同調して優しくする作戦だ。このサバンナという名の教室ジャングルで肉食女子が弱った心やさしきカイゼルを仕留めようと群がっているのだ。


 そんな中に平凡な僕が近寄ってみろ、何を言われるかわからないというかほぼ悪口だろ。空気読まないマンこと田中コウジがそんな中に割って入っていきタケシを励まそうとしたら、肉食女子達から大ブーイングが…口クサ、一重まぶたかよ、唇の下だけ分厚、ホクロきもっ、耳の形が変だとかボロクソだ。


 逆に僕はコウジを慰めてあげた。


 まあ、なんやかんやで「お前の好きな由奈ちゃんの幸せを願ってやれ」と当たり障りの無い誰もが思いつく慰めの言葉をかけてやり、自分で立ち直っていったようだ。


よかったよかった。めでたしめでたし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私の名前はフィア。魔王様の優秀な副官だ。むしろ優秀すぎるかもしれません。


 最近魔王様がおかしいのです。


 あんなにも頑なに拒んでいたお洒落な服を着て国民、主に下々の者たちをねぎらいたいと言われたのです。


 正直(ねぎら)いたいと言ったことよりも(もちろんそれも今までの魔王様から出た事の無い単語ですごい事なのですが)ちょっとこの服を着たいと言って持ってこられたのが、魔王様の美しい体の線がキレイに出る服だったのです。それはもう感激いたしました。


 だいぶ前に私が魔王様の為に国内の一流の服飾士に頼んで作らせた服だったのですが、魔王様が全く興味を持たれなかったので死蔵していたものだったのです。


 内面はダメダメですが、外見はお美しい魔王様なのですからそのままでは体面が悪いので、せめて着飾らなくてはいけないと何度も諭したのですが、「我は残念なんかじゃないぞ!」と強く拒まわれてしまったのです。


 そんな魔王様が自ら服に興味を持たれて…といってもまだまだ大人しめの地味な服だったのが残念ですが…こうしてはいられません。魔王様の熱が冷めないうちにまた発注しなくては。もちろん国の予算からではありません。私のポケットマネーからです。


 私は魔王様の副官、できる女なのですから。

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