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第38話 レインファンクラブ

 私の名前はソフィア。メルニーク王国の勇者パーティーの一員だ。詳しくは23話に私のプロフィールが書いてあるので読み直してくれてもいいんですよ。私のせくしーしょっとも載っていますので…嘘です。


 この間、最近レインの行動がおかしいのでレインを呼び出し、サーシャと一緒にそれとなく問い詰めた。


「レイン、あなた…ずばり恋してるわね?」

 とそれとなく…サーシャには直球すぎだと咎められたけど。


「は? 何言ってるの?」

 レインは驚いた顔をして本当にぽかーんとした顔をしていた。


 …おかしい。慌てふためいてオドオドしているところをもっと問い詰める予定だったのにスカされた気分だ。ここは1歩引いてもう一度聞いてみなければ。


「レイン、あなた…女ができたわね?」

 と1歩引いて聞いてみた。サーシャには豪速球すぎだと咎められたけど。


レインには

「ちょっと何語かわかんなんですけど?」

と言われてしまった。

 いや、分かるでしょう! 何語かわからなかったら返事できないでしょう。何言ってるか分からないなら分かるけど。…ちょっとこんがらがってきた。


 結局答弁もあやふやのまま解散となってしまった。こうなったら私がレインの素行を調査して隠し事を暴くしかないわね。という事でこういう時のための隠密部隊、レインファンクラブの力を借りる事にしました。


 もちろん私は会員メンバーではないが、レインの一番身近にいるということでファンクラブへの情報提供などをしている。その見返りに美味しいお店の予約優先権や新商品優先権などをいただいている、持ちつ持たれつの関係なのだ。


 ファンクラブの隠密部隊はその辺のへたな諜報部よりもすごいのだ。かといって四六時中レインを監視しているというわけではない。


 全て丸裸にするよりは、謎な部分も残しておく方がミステリアスでそそられるそうなのだ。私にはよくわからない感情なのです…。


 実は1週間前に調査をお願いした報告書がこちらにドン。


 とりあえずは4日間の素行調査をお願いしました。1時間につき1ページ1日24ページ、4日間で96ページ…


 正直に言いましょう…自分からお願いしておいて何ですが、興味ない人の行動表を読み解く作業ほど苦痛な事はないです。興味ないというのは言い過ぎですが、好きでもない人の1日の行動の詳細など苦痛以外の何物でもないでしょう。

 

 という事でもっと簡潔に行動回数をまとめた報告書がここにドン。


 ものすごく分かりやすくまとめてあります。レインの1日のトイレに行った回数だったり、レインの1日の歩数、レインの1日の話した言葉数、レインの1日の…ストーカー? 怖いわ…いったい私は何を見せられているの?


 ふと後ろを振り返る。誰もいないわ…何か私も常に見張られているのではないかと疑心暗鬼になってしまいそうです。


 という事でもっと簡潔に要所要所をまとめた簡易版の報告書がここにドン。


 朝起きてからどんな行動をしていたかと、誰と会っていたかとか、特に会った女性の素性なんかも詳細が別表にあるわ。


 ふむふむ、ギルドの依頼で魔物退治や後進の指導、王城に登城した事など1日の行動としては不審な点はないようだわね…しかし、女性と会ったわけではないが一昨日の行動は何か変だわねと頭をかしげる。


 一昨日レインは仕事が休みだったにも関わらず、市井に出て住民とふれあい1時間ほど練り歩いたようだが、何かしらあったようで落ち込んでいる様子が見られたらしい。


 その時に会った人から事情聴取をしても一般的な挨拶程度で、特に彼を落ち込ませる会話などなかったようだ。


 後はあえて怪しいというならば早い時間に部屋へと引きこもっているみたい。夜6時に簡単に食事をとって7時前には自分の部屋へと籠っているらしい。その後朝の6時まで、ほとんど外出をした形跡がないようなのだ。


 もちろんその間レインの部屋に出入りした人物などはいない。たまに訪れる人もいたようなのだが、ノックや合図をしても反応がないから帰っていくらしい。


 まさか夜7時に寝ているという事はないと思うのだが…いったいレインは部屋で何をしているのだろうか。


 一応空間魔法で違う場所に行き来できなくもないのだが、そんな逢い引き目的程度で使えるような簡単な代物まほうではないし…王都事態に結界が張ってあるのでそんな魔法を通す事も出る事も難しい…。


 一番最初の1時間につき1ページ書かれている報告書を改めて見てみる。怪しそうな部分をピンポイントで洗い出してみた…1点だけあるにはあるのだけど。


 その1点というのは食事後、自分の部屋に戻る前にレインはスキップをしている。しかもほぼ毎日…スキップをする時はどんな時か? と聞かれたらほとんどの人が浮かれている時や気分が高揚している時と答えるのではないか…。


 果たして部屋に戻って寝るだけなのに、どこにそんな高揚する部分があるのだろうか? 怪しい…やっぱり部屋で誰かと会っているのではないだろうか。


 ファンクラブの諜報部もさすがにプライベートなので部屋の中までは覗いたりはしない。ちなみにレインの住んでいる部屋には建物の構造上の抜け穴や、秘密の部屋などはない。ちゃんと確認済みだ。


 しかしもし、王都の厳しい警備網をかいくぐって尚且つファンクラブの隠密部隊にも悟られないような人と会っているという前提で考えたら、思いつくのは…西の公国の賢者様か、帝国の血薔薇騎士様、魔国の魔王と呼ばれる方々しか考えられないけども…さすがにそれは無理があるかな。


 まあ、帝国以外は敵対してはいないが特段仲が良いとも思えないし…そもそも出会う機会がない。皆名前だけは聞くが実在している人物なのかもわからない。すべて情報に制限がかかっているからだ。もちろんレインの事も他国には名前ぐらいで情報はすべて隠匿されてる。


 飛躍し過ぎよね。いくら何でもそこまで大事おおごとにはなってはいないわよね。考えすぎて怖くなってきたわ。


 ……………………………


 何か私は、浮気している彼氏の証拠を探しまくっている痛々しい女になってません? 大丈夫でしょうか…こんなレインに構っている場合ではないような気がしてきました。他人の色恋の事よりも、いったい私の春はいつになったら訪れるのでしょうか?


 という訳で調査は長期戦になりそうです。


 ちなみに今回のファンクラブの報酬はレインの肌着です。盗んだのではなくちゃんと本人から許可を得てもらった洗濯する前の汗臭い肌着です。


 この肌着をめぐってファンクラブ内で、壮絶な争奪戦が始まる事でしょう。本当に罪深い男です。

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