第35話 ツンデレカミラさん
「じゃあやっぱり効果はあったんですね! いえ〜い! ニヤニヤ。」
僕は狂喜乱舞した。カミラさんの前で乱舞した。
「うっとおしいから我の前で乱舞すな!」
カミラさんに怒られた。
うどんパーティーを終え、せくしーな衣装に身を包んだカミラさんを僕の凝視から解放してあげてから、市井を練り歩いた成果を聞いた。
1回目は今までと同じようなダボついた体型がわかりづらい服で1時間練り歩いて20000円。2回目は胸元は開けていないけど胸を強調した服で1時間練り歩いて50000円。なんと30000円もの差があったのだ!
僕はその話を聞いてはしゃいだ! エロ万歳! 異世界でもエロは万国共通なのが証明されたのだ! 眼福機能が善行だと認めたのだ。これを祝わずして何を祝うというのだ。
“あなたが胸を強調する服を着てくれたから、今日はおっぱい記念日”
「やめーーーい!」
カミラさんが僕を剣で横殴りにした。
キーン
もちろん物理障壁で跳ね返えされるが。お互い了承済みの茶番である。
「そんな魔国の人達にも見せた事がない、胸を強調するだけでなく胸元の開いた服を僕だけの為に着て来てくれたんですね。カミラさんありがとうございます!」
「い、いや、その、あ、あくまでもお礼だぞ! 我の仕事を考えてくれただけではなく、時給アップの道を切り開いてくれたというお礼だ! ユウタがあんなにも熱心に頼んできたのではないか! 我は嫌々だぞ! そ、それにカツだ! カツの為だけで他意はないぞ!」
ものすごいツンデレだ…何かこう、普段高飛車な大人の女の人が照れながら、恥ずかしがって言い訳するツンデレってそそるものがあるよな〜。全人類の3割ぐらいには需要あると思うんだけど。おもしろいからもうちょっとからかってみよう。
「そうですよね〜カツの為ですよね、ニヤニヤ。じゃあお礼にちょっとだけその見事な双丘を触らせ…」
「調子にのるなよ!」
カミラさんが僕を剣で突いてきた。横薙ぎではなく突きだ。
グッ、キーン
怖っ! 突いてきたカミラさん鬼の形相…本気の突きだ…今のは物理障壁も今までのように簡単に弾くのではなくて、ちょっとめり込んだ音が聞こえたけど…グッってところ。透明で見えないけど穴空いてるんじゃない? 怖っ! この辺でからかうのを止めよう…命にかかわるかもしれない。
「ま、まあ、冗談はこの辺にして…ところでレインさんはどうしたんですか?」
今まで僕とカミラさんの話に一切絡んでこなかったレインさんがどうしているかというと、床に這いつくばってorzの姿勢のまま動かない…何してんの?って聞いたら
「俺は1500円だったんだ。」
「えっ何がですか?」
「俺が市井を練り歩いてもたったの1500円しか増えなかったんだよ〜〜〜〜。」
「そんなこの世の終わりみたいな顔で言われても…。」
「しかも3時間も触れ合ったんだぜ、俺。時給500円だよ…魔王は20000円なのに! 俺の40時間分! 朝8時に練り歩いて次の日の夜11時だよ! どんだけ練り歩くんだっていうぐらい歩かないといけないのに…」
いや、レインさんは練り歩かなくても魔物退治とかしていりゃいいじゃないですか、別に対抗しなくても…とは思ったが、嘆くレインさんを可哀想に思い僕がとっておきのアイデアを出す。
「安心してくださいレインさん。そんなあなたに朗報です。僕があなたの為にひっそりとご用意しましたこちらの秘密兵器! ブーメランパンツです。ジャジャーン!」
僕は自ら効果音を付け、ベッドの下からものすごい面積の狭い布を取り出した。
「これを履いて町を練り歩けば、レインさんにも奇異の目が9割、ある特殊な性癖を持った男性からの目が1割でみんなの視線が釘付になる事間違い無しです!」
レインさんは僕が渡したブーメランパンツの伸び縮みを確認して
「こ、これをか…これはもう半裸どころではなく全裸なんでわ? 半裸90%なんでわ?」
と悩んでいるご様子。しかし30秒で再起動した。
「って、こんなんで練り歩いたら勇者としての威厳どころか剥奪、追放まであるわ! その後パーティーメンバー達によって暗殺されるわ!」
と、ブーメランパンツを床に叩きつけてツッコんだ。
ぷぷぷぷぷっ。はーはー笑ったわ〜ちょっとは迷ってたくせに。本当にからかい甲斐のある二人だわ。笑っている僕を見て二人が僕に魔王、勇者を何だと思ってるんだ! もっと尊敬しろよな!と責められる。
いや、僕からしたら二人はご飯をたかりに来る近所のお兄さんお姉さんっていう印象しかないですからと伝えたら、ちゃんと金は払っているからたかってはいないぞとの返答。
「ふふふ、確かに今はたかられたてはいませんけど、本当に僕にとっては気安い兄と姉といったかんじなんですよ。良い意味でねフフフ。」
と笑いかける。
「あんなに劣情の眼差しをした弟なんぞおらんわ! せめて我だけでももっと労われ!」
とカミラさんには怒られた。まあ、軽口みたいな感じですけどね。
「そうだぞ、俺だって勇者なんだからユウタは…」
「わわわわわ…」
レインさんの言葉を遮るように急な浮遊感…やっぱり来たか。
今日は前みたいに空中ではなく、すでに地に足がついているので良かった。だんだん慣れてきているのか、異世界に飛ばされてすぐに空間収納から装備(といっても簡素な物)を取り出して準備をしていく。ついでに僕にも装備を渡してくれる。
さあ、今日はどんなmissionが待ち受けているのかな。最近ちょっとだけ楽しみになってきた。




