第33話 初めての市井練り歩き〜胸強調Ver〜
2回目は馬車で少し走り西区の市井で降りて練り歩いた。降りたとたんに我に気づいた者達に囲まれる。何かあれだな、積極的に近寄って声をかけるのは女性が多いようだ。年配の50代、40代、30代の順で積極的な感じがするな、うん。
まあ、あくまでも我の勝手な年齢判断なので間違っているかもしれんが、あながち間違っていないように思うな。歳を経るにつれて図々しくなるみたいな。
だんだんと民衆が増えだした。先ほどと同じようにインテリが仕切って、ドルツが物理的に道を開けてくれる。さっきと違って手際が良くなってきているな。システム化されたようにスムーズに行っている。
気が弱いが力持ちのドルツ君、先ほども今も魔王11将軍の7将にも係わらずおばさんのパワーに圧倒されているが頑張りたまえ、これがいつか君の糧になる時が来るだろう…知らんけど。
わーわー魔王様、カミラ様と声がかかりまくる中を人と触れ合う事もなく笑顔で手を振って歩く。当初と予定が狂ってしまったがこれも何回か繰り返せば落ち着いてくるものなのだろうか? 初めて練り歩いたから歓声がすごいのかな?
何度も続けるとそのうち我が市井に出ても、なんだ魔王様今日も来たのかって感じでスーンってなったら寂しいな。っていうかもし本当にそんな事になっちゃったら我、第6界魔法ぐらい出しちゃうよ。人を集めるためだけに見せ場を作っちゃうよ!
…大道芸人か!
いくら人気が欲しくても魔王がそこまでして人気取りをしたらあかんだろう。絶対フィアに抹殺されてしまう。そして裏魔王の台頭だ。それだけは…それだけは阻止しなければ。
などとしょうもない事を考えながら今も尚、熱気の中笑顔で手を振り続けた。熱気は先ほどの1回目と変わらなかったのだが……
何だか男の民衆が増えているような気がする。先ほどは6:4で女性が多かったと思うのだが、今は明らかに3:7ぐらいで男性が増えているように感じる。年寄りもいるが10代〜40代ぐらいの男達だ。ん〜土地柄なのかもしれんな。全ての地区が男女比が同じという事はないだろうからな。
我は笑顔を装って、細目で近くにいる一人の男の目線を追ったら…見ておる! 我の胸元を見ておる!
10代の男達は初心なのか目線を一瞬だけ胸を見て、頬を赤らめてパッとすぐそらすが、20代、30代と年代が上がるにつれてガン見だ。ガン見比率が上がっておる。
誰も我の顔を見とらんのか! 60代ぐらいのおじいちゃんなんてもう見るだけでは飽き足らず、ストレートにおっぱいって呟いておったからのう。
はーー、まあまだ許容範囲だからいいのだが、ちょっと胸を強調する服を着ただけなのにこんなにも注目されると複雑だ。といっても全員が全員という訳でもないから不快という程ではないのだが…あ、見てるなーぐらいだから。
だが、この服以上にもっと体を強調するエッチな服を着て男だらけの、純度100%男だけの前に出たと想像するだけで耐えきれんな…あのいやらしい目線には。
いや自分から体を強調する服を着ておいて見るなよ! とはどうゆう事だって向こうも突っ込みたい話だろがな。
それでもなんというか…ユウタの言う通りに事が進んでいるのが癪だな…。今からあいつの勝ち誇った顔を想像するだけで悔しい…。
その後も節度を守った市井の練り歩きという名の“我初の胸強調お披露目パレード”を1時間で終わらせ、馬車で城へと戻った。
また自分の部屋に戻りソファーに座る。ふう、1回目よりもよけいに疲れたぞ。精神的にも肉体的にも。
先程と同じく黄金のカードを取り出してオープンと唱えた。
えええええええええ残高132250円……………50000円も増えとる。
1回目と同じく市井を1時間程度笑顔を振りまいて歩いただけなのに…。この30000円の差っていうのはやっぱり服の…我のこの立派な胸のおかげなのだろうか? しかしそれぐらいしか考えられんしな…
どんだけ〜〜〜〜〜〜! みんなどんだけ我のぴったりと強調した双丘を見ておるのだ! 時給50000円ってめちゃめちゃ効率良くないか?
確か前に勇者はゴブリンの巣を日帰りで潰してきて33000円だって言ってたな…我はちょっと胸を強調して1時間歩くだけで50000円だぞ。これは…今度勇者に会ったら煽ってやろう。くふふふふ。
はっ、もしかしてもっとエッチな服を着ればもっともっと時給が上がるのではないか? あの胸元からおヘソまでV字で体の凹凸を強調した服を着れば夢の食放題コースへと導かれるのではないか?
お尻が見えるか見えないかぐらいの短いスカート、両脇を露わにするノースリーブのシャツ、下乳が見えるくらい短いTシャツ。どれも我が恥ずかしいのを我慢して練り歩けば、1日1時間でこれからずっと働かずに食べ放題になるのではないか?
…一時の気の迷いで、絶対に一生黒歴史として後悔するパターンだからやっぱりやめよう。これからも多少は女らしい服を着るとは思うが、別にエッチな服じゃなくてもいいのだろう。女受けするお洒落な服でも注目を集める事が出来るだろうしな。
危ない危ないまたユウタに惑わされるところだったわ。まあユウタのおかげで我の収入の確保も目処がついた事だし、感謝の意味を込めてこのちょっと胸元が開いた服を着て行ってやろうかな。
ふふ、あやつも男だ。あやつが言ってた通り食い入るように我の胸にクギ付けになる事だろう。変に積極的なところがあると思えば初心だったり、実におもしろい。食事と言い、発想といい我を楽しませてくれて飽きん奴だ。
さて、今日の土産話も出来た事だしユウタの夕飯までまだ時間があるから寝るとするか。
…さすがに今日はちゃんと仕事をしたから寝ても450円は付かなかったぞ。




