第31話 僕達は仲間
僕はもう1つの案をカミラさんに思い切って行ってみた。
「そこでカミラさんにもう1つだけ提案があるんですけど…言いにくいんですけど…」
「なんだユウタ? モジモジして、他にも提案があるなら聞き入れるぞ。」
「市井をパレードする時にちょっとエッチな格好をして練り歩いてみてください。」
僕はきっぱりはっきりと言ってみた。
「は? 何言ってるんだお前は。」
「いえ、真面目です。エッチな格好と言ってもちょっとでいいんです。ちょっと胸元を強調するだけとか、ちょっと短いスカートを履くとか、ちょっと体にピッチピチのボンテージを着るといった本当にちょっとだけでいいんです。」
「どどど、どこがちょっとだ! めちゃめちゃ破廉恥ではないか!」
カミラさんはものすんごい恥ずかしそうだ…カワイイな。
「いえ、カミラさんはせっかくナイスボディをしているんですから、いつものようにダボっとした体型のわかりにくい服装や、マントで行くのではなくちょっとだけ体を強調するようなお洒落な服装で行ってみてください。」
「そそそ、そんな事が国民の為、というか善行になるわけないだろう!」
カミラさんはものすんごい照れている…カワイイな。
「眼福っていう言葉もあります。特に男性にとってはものすんごいご褒美になると思います。なんなら賭けてもいいですよ。普段着で練り歩くのと、胸元を強調した服装で練り歩いてどちらが入金額が多くなるか比較してみてください。もし僕が違っていたらカツカレー10杯出しましょう。もし僕が勝ってもカツカレーは出しますよ。」
ちょっと卑怯だがカミラさんの好物カツカレーを餌に挑発してみる。
「すごい自信だな。わかった、試す意味でもやってやろう。決してカツカレーの誘惑に負けたわけじゃないぞ、しかし約束を忘れるでないぞ!…ずずずず。」
「約束ですよ。そしてもし僕が勝ったら胸元を強調した服をこの部屋にも着てきてください。いえ、やっぱり体にピッチピチのボンテージを着てきてくださいね。」
「ええええど、どんだけ我のわがままボディを見たいんだお前は! 欲望に忠実だな。」
何とでも言いたまえ、高校2年生といえば視覚の情報だけに肥えていて、実務経験に乏しい欲望の塊なのだよ。歩く欲望と言っても過言ではない年頃なのだよ。
たとえ中身が残念だろうが、外見…ぶっちゃけ体はものすんんんんごい好みだ。どちらかというとグラビアアイドルをみるような気持ちだ。ぜひ間近でグラビアアイドルを見せていただきたい。お願いします。
そんな欲望まみれの僕をものすんんんんごい軽蔑の眼差しで見つめる勇者と魔王であった。
「レインさんはなぜ? レインさんも見たく無いんですか?」
「いや、俺はほらモテモテだから特に見慣れているというか…別に魔王がどうこうではないぞ言っておくが。」
「…別に我に気をつかわんでもいいぞ。」
「まさか男色とかいうオチはやめてくださいよ勇者さん。」
「違うわ! お前な…だいたい魔王だぞ! そういう対象じゃないんだぞ俺たちにとっては! この部屋では気安く話しかけてはいるけど国に戻ったら畏怖する存在というか…とにかくそんな存在に欲情できるユウタが逆にすごいよ。」
そんなに褒められても困るな。っていうかカミラさんの凄さというか魔王と勇者の凄さがわかんないからね。そりゃあこの間のmissionとかみせられたら、ものすごい人だってわかるけども、どこか非現実的な感じがして実感がわかないんだよね。
「僕にとっては勇者であるレインさんも、魔王であるカミラさんも、同じ釜の飯を食っている仲間、ただの意地汚い食い意地の張った大食いバカにしか思えないんですよね。」
僕は二人に向けて澄ました顔でカッコよく言ってみた。
「誰が意地汚いだ! 勇者だぞ俺はグリグリしてやるわ!」
「大食いバカとは誰の事だ! 我は食い意地など張ってはおらんぞ! チクチクしてやるわ!」
二人が一斉に僕に攻撃をしてきた。
もちろん物理障壁があるから僕には痛みは届かないのだが、僕の手前10cmぐらいでレインさんが拳をグリグリしているのが見えたり、カミラさんが僕の死角からナイフで突き刺しているのが見える。
もちろん冗談で僕に届かないのをわかってやっているのだが、二人にもみくちゃにされながら3人で笑いあった。
いつの間にか僕達は仲間になっていた。年齢、国、種族みんな違うけど僕はそう思っているんだ。そんな事はこの二人には恐れ多くて言え無いけれども…少しでも二人もそう思っていてくれたらうれしいな。
その後はまた色々な事を話したり、TVを見たりしてだらだらと過ごしたのだが、今日はmissionに呼び出される事はなかった。
「今日は大丈夫そうだな。また明日来るわ、じゃあなユウタ、魔王も」
そう言ってレインさんはベランダから帰って行った。
「ふう、今日はmission無しか。我も今日話し合った仕事をやらねばな、ここに来れなくなってしまうからな。ま、まあお前の提案してくれた…え、エッチな服装も…試してみる価値はありそうだな。嫌嫌だからな! 仕方なくだぞ! それにカツカレーの為にでもあるぞ!」
「カミラさんぜひお願いしますよ。僕もめっちゃ楽しみにしていますんで。ダイナマイトボディーを強調したおしゃれ服を着たカミラさんを。」
僕は真っ直ぐな瞳でカミラさんに告げた。
「ふー、全くお主は恥ずかしげもなく良くそんな欲望をぶつけられるもんだ。お前ぐらいなもんだ我に対してそんな目で見てくる奴は。」
「えっそんな事ないでしょう? 魔国ではいないんですか?」
「いないぞ! もしそんな目で我を見る奴がいたら瞬殺だしな。」
「こわっ! カミラさん市井を歩くときは絶対やめてくださいよ。そんな不躾な目で見られても抑えてくださいよ。あくまでも実験なんですから、眼福が善行であるかどうか、入金額が増えるかどうかの実験ですから。」
「わかったわかった、そう何度も言わなくてもわかっておる。まあ、副官にももっとお洒落な格好をしろと言われておるしな。大丈夫だろう。それではまた明日なユウタ。」
そう言ってカミラさんはクローゼットの中に消えていった。
二入が居なくなって僕の部屋は静かになった。何か寂しく感じるな…今までは一人で住んでて特にそんな事を思わなかったのに…。
よし、じゃあ洗濯物をして干してから寝るかと立ち上がった時に、僕の頭の中に啓示の音が鳴り響いた。




