第30話 魔王のお仕事
今日の焼肉は原材料が高かったせいなのか、僕には1人20000円合計40000円の入金がありました。ごっつあんです。代わりに二人は1人40000円の支払いがあった。レインさはマメに稼いでるから痛くも痒くもないみたいなんですけど、カミラさんは…。
「魔王もmissionでは稼いでいるから大丈夫だろう? すぐに食べれなくなるって事もないんだろうし。」
「うむ、そうなのだが…日常がなー、寝ているだけなのだな。仕事なくて…寝て起きたら450円入金されておる我の胸中を察してくれ。何か胸の奥がキューっと締め付けられる思いだろう? なあ?」
…確かにキツイな。なぜに450円なのか…いっその事0円のほうがまだよかっただろうに。これにはレインさんも胸が締め付けられる思いなのだろうか、顔がキューッとした顔になっている。
「じゃあ、今から僕とレインさんでカミラさんの仕事を提案しましょうよ。」
「そうだな、俺からも提案するから落ち込むなよ魔王。」
「お前ら…いい奴だな。男前に見えてきたぞ!」
「ちなみにレインさんはどんな事やっています?」
「ああ、俺はギルドの依頼で魔物退治だとか、昇級試験の教官で指導したり、もめごとの仲裁なんかしたりしてるな。」
「えらいな勇者。勇者なのに。」
「カミラさんは魔物退治とかしないんですか? 一番最適だと思いますけど。」
「ん〜我も我が国に害を為す魔物を退治すると告げた事があったのだが、断られたのだ。後先考えずに駆逐してしまうからな。それに魔物討伐とは我以外の者たちに経験を与える機会でもあるしな。だから我が退治しなければいけないほどの災害級の魔物が出ない限りはお呼びがかからないのだ。」
カミラさんはしょんぼりしている。よっぼどやらかした事があるのだろう。何事もやり過ぎは禁物だ。特に感情や感覚で動く人には。
「それじゃあ、市井に出て国民の困りごとを解決したり掃除したりするのはどうだ?」
レインさんが提案する。
「んーそれも我の副官があまりいい顔をせんのだ。魔王たる力の象徴がそんな細々とした仕事をするのはみっともないと言ってな。」
あーわかるな。確かにものすんごい権力者が下々の手伝いとか名乗り出てくれてもこっちは恐縮しちゃってありがた迷惑みたいなところがあるよな。
確かにこのままだとカミラさん何もする事がないな。でも僕のあの作戦なら多分大丈夫だ。
「カミラさん僕に1つ提案があるんですけど聞いてもらえますか?」
「お、自信満々な顔だな。言ってみよ、聞いてやるぞ。」
「僕たちの国にある昔話なんですが、ある殿様が身分を隠してお供を連れて、いく先々の悪事を暴いて成敗するっていう話があるんですけど…これならいけるんじゃないですか?」
「おおっ! いいではないか! その殿様というのが我の役割だな。身分を隠して悪い奴を倒す! まさに我にぴったりな仕事ではないか! ユウタナイスアイデアだ!」
僕の提案にお褒めの言葉をいただきました。殿、僕はありがたき幸せですぞ。
「お供も連れて行けばその副官も了承してくれるのではないですかね。」
いわゆるお目付役だな。カミラさん1人で行くとやらかしちゃう可能性があるから2人つけるといえばしぶしぶでも了承してくれる可能性が高いしな。
「採用だ! やるなユウタ、お主も悪よのう…ククククッ殺」
「いや、悪ではないですよ。むしろ人畜無害ですよ。なぜ最後はくっ殺? 女騎士じゃ無いし。使い方間違ってますけど。」
「いいな、それ俺も身分を隠して悪人を討つのやろうかな。」
レインさんも乗り気になってくれた。
「これは悪人をやっつける前に身分を明かすところがミソなんですよ。」
「おおおおー、いいなその案。散々いきって挑んできた奴に実は俺勇者だったんでーすって告げたらめちゃくちゃビックリするだろうしな。おもしろそーだ!。」
「いや、我は明かすのには反対だ。明かす前に悪者を全員ぶっ飛ばす! だってそうだろう? もし我が悪人を追い詰めた後に正体を明かして、本当は魔王でした〜って言ったらそれを見た悪党たちは絶対に戦意喪失して我に歯向かって来ないだろう。それじゃあ暴れられないし、フラストレーション溜まりまくりだぞ!」
確かにいくら悪人でも、初めに魔王や勇者だと知って襲ってくる奴などいないだろうな…。だから魔王の言い分もわかる。でもそれは僕の考える事じゃ無いからな…魔王につく人に頑張ってもらうしかないな。
まあとりあえず僕の案は採用という事でカミラさんはのりのりで水戸黄門プランを立てていた。
「あと、僕はぜひカミラさんに推奨したいのがパレードではないのですが、市井を魔王として練り歩いたらどうですかね。別に困りごとを解決なんてしなくてもいいんです。掃除だってしなくてもいいんです。国民に元気な姿を見てもらうだけでも善行になりませんかね? 僕なら嬉しいですよ。滅多にあえない偉いさんが身近に姿を見せてくれる事は。」
「お、ユウタいい事言うな。俺もそう思うぜ。勇者として街を歩いたり店に寄ったりするだけで感謝される事もあるしな。この街は勇者が守ってくれているから大丈夫だという気持ちにもなるし、市民の間に安心感が生まれるよな。自分でいうのも何ですが…。」
「いや、レインさんにはその資格があると思いますよ。だからカミラさんの一度その副官の人に相談してみたらいいんじゃないですか? その副官の人も渋い顔はしても反対はしないと思いますよ。」
「…そうだな。今までそんな事を考えた事もなかったぞ。ありがとうなユウタ。」
カミラさんは僕の手を取って感謝の気持ちを伝えてくれた。
よし、それじゃあもう一つだけ思いついた事を言ってみよう。今なら怒られない気がする。




