第28話 それぞれの日常⑤
今日は授業が終わり、いつもならスーパーで買い出しを行うためにダッシュで帰宅しているところだが、教室に残ってタケシと話をしている。珍しくタケシから放課後に相談があるから聞いてくれないかと言われたのだが…
「ユウタ悪いな忙しいのに。」
「いや、別に用はないからいいんだけど、どした?」
「ああ、実は…その…」
タケシがモジモジしている。イケメンがモジモジしている。
はっ、もしかして告白なんじゃないか? タケシが僕に告白するんじゃないのか? イケメンが男色に走る例はよくあるようだし…知らんけど。
タケシは今までモテモテだったのになぜか彼女を作ろうとしなかったしな…89%の確率で僕に告白だろう。
こう見えても僕は外見はそんなに優れてはいないと自覚しているが、内面はめっちゃいい奴やんと自負しているからな。タケシが惚れるのもしかたがないだろう…知らんけど。
でも僕は女の子が好きだ! できればちょっと大人な雰囲気の女の子が好きだ! わがままを言うなら年上でちょっとエッチな感じの女の人が好きだ〜〜〜〜〜。はっ、つい心の声が荒ぶってしまった。すみません取り乱しました。
だからタケシには申し訳ないが断ろう。それで例え友情が終わってしまってもしょうがない。ビシッと言っておかないといつまでもタケシが僕を想い続けるというのも酷というものだろう。はっきり言うのも優しさだと思うからな…知らんけど。
「実は、オレは…由奈が好きなんだ。妹だけど好きなんだ…。」
「いや、お前は僕の事が好きなんだろ?」
「はっ? ちょっと何言ってるのかわかんないんですけど…」
あれ? やゔぁい。突拍子もない事を言われて思わず妄想してた事がつい、口からポロっと出てしまった。あんないい方じゃあ僕がタケシの事を恋愛対象的な好きと勘違いされてしまう。僕が男色だと思われてしまう…。ここは誤魔化さないと。
「由奈ちゃんが好きって、お前…好きな女の子にお兄ちゃんと接してついこの間まで一緒のお風呂に入っていたのか…こわっ!」
「違う違う! それまでは本当に可愛い妹としてしか見ていなかったんだって。小さい頃から一緒に入っていたから性的なというか女性としては全く見ていなかったんだ。だけど、その…一緒にお風呂に入るのを断られて初めて意識しだしたっていうか…気づいたというか。」
タケシはまたモジモジしだした。よし、話が逸れたな。これで僕の男色疑惑はうやむやにされるだろう。
「でも…それに気づいても由奈ちゃんと付き合えないわな、実の兄妹なんだし。」
「そなんだよな…義母の連れ子だとはいえ、妹なんだよな〜はあああああ。」
「ん? 何て? 母の連れ子?」
「ああ、由奈は僕が6歳の時に再婚した母の連れ子なんだ。」
「えええええええ、できるや〜〜〜〜〜ん! 血が繋がってないから結婚できるや〜〜〜ん!」
「えっそうなの? じゃ、じゃあ付き合えるのか?」
「それは由奈ちゃん次第だろうけどもな…あと細かい事言うけど養子縁組にしていなかったら結婚できるというだけで責任は…。」
「よし、今から由奈に告って来る。この気持ちを伝えねば!」
そう言ってタケシは僕のセリフ途中で、走って帰って行った…僕を置き去りにして。あの野郎…絶対勝算があって行くんだろうな…何か腹たつな。OKもらって当たり前的な…。
“タケシの恋が実りませんように!”
そう僕は願った。
どこの誰だかわからない神様にお願いしておいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は俺の仕事はお休みだ。もう働かなくても生活していけるだけの蓄えはあるのだが、ユウタの食事代を得るためには働いて黄金のカードに入金しなくてはならない。
でも今日はまったり城のバルコニーで紅茶をいただいている。
パーティーメンバーのソフィアとサーシャに呼ばれて王城のサロンの1室を借りて優雅にティータイムだ。ソフィアが何やら俺に話があるから来てくれと言われたんだけどね。
ソフィアは俺の幼馴染だが、恋愛感情は一切ない。みんな幼馴染というだけで付き合っているんじゃないかと勘ぐられるが…俺のタイプではない。いや、ソフィアは普通に美人だし器量もいい。お嫁さんにしたい回復魔法士第一位に選ばれるぐらいもてもてなんだし、向こうからした俺の方こそタイプじゃないと言われそうだ。
サーシャは…んーちょっとボーイッシュな感じのボクっ娘みたいな。別に仲は悪くない…むしろ仲は良い。魔王みたいにあんまり女を感じないタイプかな。
そんな二人が俺の向かいのテーブルに座って何かこそこそ話しをしている。
「で、話って何? 呼び出しておいて何で内緒話してるの?」
まあ、気の置けない仲間だから普段からお互いに聞きにくい事もズバッと聞いたり聞かれたりもするのに何か今日は変な空気だな。
「あーレイン、気を悪くしないでほしいんだけれども…あの、その」
「ソフィア何言いにくそうにしてるんだよ、こんなもん本人にズバっと聞いちまえばいいんだよ。んでレインお前ボク達に隠し事していないか?」
「えっ、な何をいいいってるんだ。かけ、隠し事なんてするわけないザマす。」
「ザマす? 噛み噛みじゃない。」
「下手か! レイン下手なのか!」
い、いかん。めっちゃ虚を突かれてどもりまくってしまった。なんとかごまかさなくては…
「いや、別に隠してないけど何でそんな風に思ったのかが不思議だよ。」
「気付かないとでも思ったの? 幼馴染なんだからレインがおかしいぐらい分かるよ。例えば…ここ最近食事中はずっと溜息してるし。食事の量も減ってるでしょう? あと、何よりもおかしいのがスイーツ。あんなに大好きだったお菓子を全然食べてないでしょう。今日もあなたが絶賛していた砂糖がたっぷり贅沢に使用しているこのペネツも手をつけていないし。」
「さすが幼馴染だな。ボクは全く気付かなかったよ。」
…確かに俺最近こいつらの前で全然食べてないわ。でもなーユウタの食事を食べたら何かこの料理をお腹いっぱい食べるのは抵抗あるっていうか、ユウタの食事をお腹いっぱい食べたいから少なめにしているんだよなー。スイーツなんかシュークリームとかプリンとかあっちのクオリティー高いの食べすぎちゃって、こっちの砂糖だらけの甘過ぎるお菓子=贅沢な至高のお菓子っていう価値観が受け入れなくなってきたというか…なんて事を考えていたらソフィアが爆弾発言をかましてきた。
「レイン、あなた…ずばり恋してるわね?」
めっちゃ良い笑顔で断言してきた〜〜〜〜。いや、全くの見当はずれですけど。何そのお姉さんぶって私に話してご覧なさいみたいな眼差しは。俺の方が年上なんですけどー。あと、恋はしていない。いやあえて言うならシュークリームには恋してるけど。
何か面倒くさい展開になってきたな…どうしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
我の名前はカミラ・カルロッツェ 魔国アルメロ国の魔王だ。
…今日も何もなかった。仕事も特にない。
…またベッドで1日寝てしまっていた。
…そして450円振り込まれていた。
何か虚しいぞ。誰か、誰か我にも話を振ってくれい。おもしろそうなイベントの1つや2つないとこのままでは我の話は1日寝て450円を得るという、ものすごくどうでもいい話しか無くなってしまうのだ。
その話もあと1回やったら味がしなくなってしまうのだ。もしそうなってしまった場合はあれしかな。もうあれをするしか我の存在意義が無くなってしまうのだ。
くっ…屈辱だがしかたがないな。
“全裸待機”をやるしか…
それでは次回またお会いしましょう…カミラでした。




