第27話 くんずほぐれつ
“ピロ〜ン”
“mission5 clear おめでとうございます。報酬としてカミラさんに40000円、レオンさん10000円、ユウタさんに20000円を進呈。10秒後に部屋へ帰還します。”
よっしゃークリアだぜ! 他力本願でもクリアだぜー! いえーい。と一人ガッツポーズをしたところで僕の部屋へと転移された。
「えっ?」
僕はびっくりした。ガッツポーズで部屋に戻った僕を待っていたのは…。
レインさんとカミラさんが僕のベッドの上で“くんずほぐれつ”してたのだ…。
“くんずほぐれつ”だぞ! そりゃあビックリするだろう、なにせ“くんずほぐれつ”してたのだから。まさか自分の部屋で“くんずほぐれつ”してるなんて…しかも知ってる二人が僕のベッドで“くんずほぐれつ”…
何かいやらしい事を想像してません?
あの事だと思いました? 思ったでしょう? “くんずほぐれつ”を調べてみると激しく取っ組み合いをすることを意味する言葉らしいです。つまり喧嘩していたみたいです。
僕もその言葉の意味を知ってビックリしましたよ。ずーっと性的ないやらしい事をしている言葉だと思っていました…。君達も気をつけろよ!
「二人とも何してんの?」
「あっユウタ、酷いのだぞ! 勇者が我のプリンを食べたからおかえしに勇者のシュークリームをもらうのだ!」
「だから食べてないって! 魔王の気のせいだろう? ちゃんと数えたのか? あとこのシュークリームはやらん!」
えええええええ、めっちゃどうでもいい事で争ってるやん。僕1人だけ残されて戦ってたんやで〜。僕が戻ったらものすんごい心配して出迎えてくれるって信じてたのに…
こんな“くんずほぐれつ”具合に僕は負けたのか…あっ涙が出てきた。
「はい、強制排除!」
パンパン
僕は手を鳴らし、二人には帰ってもらった。
あともう今日は疲れたので、二人には戻ってこないでと伝えて必要最低限の家事だけこなしてすぐ眠りについた…すんって感じで眠りについた。
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「というわけで、僕は一人で戦っていたんですよ。それなのにあなた達ときたら…」
次の日に来た二人に僕は苦言を申した。
「少しだけ言い訳をさせてもらうと…一応俺も魔王も慌てふためいてはいたんだけど…」
「そうだぞ、我はそれはもう慌てまくっていたんだぞ!」
僕は疑いのジト目で二人をみやる。
「ほ、本当だ! だけどここは冷静に成るべきだという結論になって…」
「そうだ、デザートを食べて落ち着こうという結論になったのだ。」
僕はこの後の展開がわかるがとりあえずまだジト目で二人をみやる。
「それで、そのつい夢中になっっちゃってだな。」
「うむ、シュークリームの旨さに世俗の事をすっかり忘れてしまってつい…」
「つい…って僕なんてやっと倒した嬉しさからガッツポーズまでして、満を持して部屋に帰宅したのに二人は“くんずほぐれつ”してたんですよ! もっとこう…よく頑張ったな的な熱い歓迎を期待してたのに。」
あっ言ってて泣きそうになっちゃう…
「すまなかったなユウタ。本当に反省している。」
「我もだ、よく頑張ったなユウタ。」
二人は僕に謝ってくれて、ものすごく申し訳なさそうな顔をしている。
「全裸待機…」
「は? 何ってぜん…よく聞こえなかったんだが…。」
「ぜんらたいきって何の事だ?ユウタ。」
「これから僕が1人でmissionをするような事態になったら、先に戻った二人はこの部屋で全裸になって正座して待っていてください!」
「え? 何も着ずに待ってろって事か?」
「なななな、何を言っておるのだユウタ…気でも触れたのか?」
「いえ、僕たちの世界では嬉しい事があると全裸で待機するという風習があるのです(嘘)。だから二人もそれにならって僕の帰りを全裸待機していてください。あと、服はきちんと畳んで待っていてくださいよ。」
「そんな風習あるのか? 本当か?」
「日本国民恐るべき民族だな…。」
二人は戸惑っている。
が、どんなに困難なmissionに一人で当たらなくてはならなくても、二人が全裸待機で居てくれると思うだけで股間が熱く、いや胸が熱くなって決して諦めない心が劣勢な戦いの中にも芽生えるだろう気がする…芽生えるんじゃないかな~ぐらいだ。
そんな些細な事が勝機に繋がる事だってあるかもしれない。という期待も込めてお願い(強制)してみた。
意外にもカミラさんは風習ならそれに従うしかないなとすんなり了承してくれたが、レインさんが思いの外抵抗があるようだ。
ぶっちゃけレインさんの裸には全く興味がないし、提案したのは懲罰的な面もあったのでレインさんは免除しておいた。最初からカミラさん目当てだったのでカミラさんだけでも全裸待機してくれるようだから言ってみるもんだな。
しかし今だ半信半疑なカミラさんはもし嘘だったら…わかるな? 魔王を辱める事になるからシャレにならんぞ? シャレではすまさんぞ?と女王様な冷たい目で釘を刺された。
僕はそんな圧力には負けない。あのちょっとつり目がちだが瞳がパープル色でちょっとエキゾチックな美女、残念なところはあるがナイスバディーなカミラさんの全裸待機を見たい! そんな自分の欲望に忠実に従う男、三ツ俣ユウタ17歳はそんな圧力なんぞには負けないぞ!
「すみません、ちょっと調子にのりました。そんな風習はないです。」
すぐ謝りました。
自分、保身という欲望には忠実なんで…




