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第26話 一人残されて…

「ザコだ。」

「え?」


「キングオブザコの名にふさわしいザコだ。」

「は?」


 まさかのゴブリンと同じ評価をもらえるとは…

「大人の一般的なステータスの5割ぐらい下だな。つまり半分。子供並みだ。俺たちの世界だったら8〜10歳ぐらいだな。」


 orz…そんなにはっきり言われると…orzのポーズで崩れ落ちる。


「そんなステータスでは無理だろう…どうするのだ? サクッと我が殺ってこようか?」

「いや、絶対にバレるだろう。うーん今から修行するとか? 2年ぐらいかかりそうだけど。」

 散々な言われようだな…まあしょうがないけれどもよ。


 2人とも僕を残念な子を見るような顔だ…いや、しょうがないでしょう。僕は一般人ですよ。別格中の別格のあなたたち二人と一緒にしないでください。


 そんな僕ですが言ってやりましたよ、堂々と言ってやりました。

「僕に秘策があります。ちょっと聞いてもらえませんか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はい、ザクっと124と。はいはい125、126ザクッとね。」

 僕は淡々と剣をゴブリンに突き刺す。蝶のように舞って蜂のように刺しまくってますよ。…嘘つきました。動きはぎこちないながらも頑張ってます。華麗ではないですけどね、泥臭いながらも頑張っています。


「ユウタあと2匹だ、ほれそっち行ったぞ!」

ほい来たザックりと127匹と。


「やっとラストだぞユウタ、残り1匹だ!」

 最後はカッコつけてほりゃああサクッと首ちょんぱっと。


 最後のゴブリンを屠って終了した。全部で128匹だった。

 

 えっ? 勇者と魔王に手伝ってもらったのか?って。いや全部1人で倒しましたよ僕。まあチートは使ってますけどね。


 カミラさんには身体強化と、物理耐性魔法を高レベルのをかけてもらって、レインさんには初心者向けのぶっ壊れスキルのついた魔剣を貸してもらった。レベルが低ければ低いほど相対的に強くなる魔剣を。初心者のうちからこんな剣を使うと成長出来ないから死蔵していた剣らしいのだが、僕にぴったりでした。


 あっという間にトータル30分ぐらいで倒しきったんじゃないな。初めて生き物を殺した僕は…ゴブリンをというか人型の魔物を殺す事に対する忌む気持ちがあるかと思ったのだけど、特に何も感じなかった。


 後から聞いたのだけどカミラさんが、そっと精神魔法をかけてくれるなど配慮してくれていたようだ。


“ピロ〜ン”

“mission4 clear おめでとうございます。報酬としてカミラさんに40000円、レオンさん40000円、ユウタさんに20000円を進呈。10秒後に部屋へ帰還します。”


 一番頑張った僕が一番報酬が少ないって…まあ、いいけども。確かに二人がいなかったら僕だけじゃあクリア出来なかったしな…。


 と思ったら二人が消えた。あれ? 僕は? あたりを見渡すが僕はゴブリンを退治したままの場所だ。なんで? どして?


 困惑中の僕に最悪の音が鳴り響く。


“ピロ〜ン”

“mission5 ゴブリンキングをやっつけるまで帰れません。 内容/ゴブリンの巣の統治者を一人で退治してください。”


 えっまさかの序盤の序盤mission5で僕一人かよ…いつかはあるかと思ったけれど、こんなに早く来るなんて…とちょっとだけ悲観に暮れていたら


「グオオオオオオオオ」

と獣の吠える声が…そちらを見やると巣の奥にあった穴の中から1匹の魔物が現れた。


 身長はだいたい160cmと僕よりも小柄だけど筋肉モリモリだ。見るからに凶暴そうな醜悪な顔だ。僕を見てニヤリと薄気味悪い顔を見せた。戦う前から勝ちを確信してるな、こりゃ。


 んーゴブリンキングか…ホブゴブリンの次ぐらいだからそんなに強くはないのかな? でもキングってついてるから強そうだよな…。キングスライムとかメタルキングとかキングカズとかみんな強そうだもんな。


 まあどんだけ強くてもまだカミラさんの魔法が効いてるだろうから大丈夫だろう。よし! サクッとやっつけますかサクッと。


 ゴブリンキングに向かっていこうと思ったら、ゴブリンキングは落ちているコブシ大の石を拾いあげ、無造作に僕目掛けて投げつけた。


チュンーーーー

 その石の塊はものすごい速さで僕の耳元を通過した。


「えっ?」

ボゴォ


 僕の耳元すれすれを通り過ぎた石は後ろの壁にぶち当たり粉々に砕けた。僕はお尻がひゅんって浮いた。


「あれ? カミラさんの物理耐性魔法が効いてないんじゃない? 切れてない?」

 そういえば先ほどまでの身体強化魔法をかけてもらっていた時に比べ体の動きが鈍いような…。


 そんな驚愕している僕の元へ余裕の表情でニタニタと笑いながらゴブリンキングが近づいてくる。うそーん、余裕かと思われた負ける事のない戦いがまだまだ続くと思っていたのに…。最強からいきなり最弱に引きずり降ろされてしまっていた。


 いや、まだ僕にはレインさんの遺品である魔剣がある!(死んでない)。魔剣を握りしめゴブリンキングに振り下ろす。


ブン


 難なく避けられた。何度もゴブリンキングに向けて魔剣を振りまくるが余裕で避けられる。威力はあっても当てられなければ意味はない。今まではカミラさんの身体強化魔法のおかげで使いこなせていたのか…。


 ちっ、ゴブリンキングは動きの止まった僕を嫌らしい笑顔で見つめてる。いつでも僕を嬲り殺せる余裕からだろう。


くそっ、こうなったら最終手段しかないな…


 その手段とは、このまま苦戦を続けて最後のやられる瞬間の絶体絶命の場面で次話に持ち越すか…。話の盛り上がり上、レインさんやカミラさんが助けに来てくれるとか僕の潜在能力が解放されるとかあるだろう絶対に。


 だってまだ序盤の序盤なんだよ、いくら何でも26話で殺されるなんて…


「うおっ!」

 ゴブリンキング余裕の攻撃をしかけてきた。完全に僕を侮ったおふざけ攻撃だ。くそ、そんな攻撃にすら僕は避けるのに必死だ。もう駄目だ、このままではやられて死んじゃう。


「誰か助けて~~~~~~~~」

僕が大声で叫ぶとゴブリンキングは楽しそうに高笑いをし出した。

「グギャギャギャギャギャ~~~~~」






 なんてね。


「ファイア」

 僕は指先をゴブリンキングに向けて呪文を唱えた。


 するとファイアとは程遠い業火がゴブリンキングを包み込み、声を出す間もなく消し炭にしてしまった。ファイヤを唱えた僕自身も状況が飲み込めず唖然と立ち尽くしてしまった。


「えっ? は? どゆこと?」


 以前、何かあったときのためにカミラさんが僕に持たしてくれたリングを発動したのだ。一応攻撃魔法のファイアが入っているとは言われていたものの、僕の想像のファイアを超えていた。もうちょっと野球ボールぐらいの火の玉がボッぐらいを想像していたのだ。


 実際にはボウワアアアシャアアな感じだ。ゴブリンキングが一瞬で消し炭になるなんて、いかほどの火力であろうか…さすがアルメロ国の最終兵器“消し炭のカミラ”という二つ名がつくだけの魔王にもらった指輪だけの事はある。


 しかしそんな魔法を一般市民の何も知らない純な僕に持たせるとは…恐ろしい子カミラ(白目)。


 これからはからかうのちょっと控えようかな~と思う僕なのであった。




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