第22話 その後の話
「んっんん、ああ私は一体…」
「目が覚めましたか? グライツ将軍。」
「はっ姫さまどうしてここに…。」
「あなたは魔族に操られていたのです。覚えていますか?」
「えっやはり、あれは夢ではなかったのか…うす暗い意識下でぼんやりと魔族に乗っ取られた情景が浮かんでいましたが…はっ、いかん! 今も魔族に操られていた部下達が私の合図を機に反乱しようとしているのでした、命を賭しても止めにいかねば。姫様私が犯した罪は後で償いますから、今だけは黙って見逃してください。」
そう言ってグライツ将軍は私に頭を下げました。
「私達は夢を見ていたのです。」
「は?」
「あなたも私も王都に住まう者達全てが悪夢を…」
「姫様…」
「グライツ将軍、あなたはこの国にとって必要な方です。これからも我フリス王国に忠誠を尽くしてくださるようお願いいたします。」
「はっ、これからも粉骨砕身王国に使える覚悟であります。それでは姫様、早速魔族の蒔いた種の後始末をしてきたいと思いますので失礼いたします。」
そう言ってグライツ将軍は足早に部屋を出て行った。
私は窓際に近づき、夜の帳がおりて瞬く星を見上げてつぶやいた。
「レイン様…これでよかったのですね。レイン様の温情を私はこれかも一生忘れません。出来ればまた一目…。」
絶対に届く事のないこの想いを胸に…だけれども届けこの想い…星に願いを込めて。
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「レイン様…これでよかったのですね。レイン様の温情を私はこれから一生忘れません。出来ればまた一目…。届けこの想い! なんて言ってると思うよ僕は。」
あれから僕の部屋に戻って少しブレイクタイムしていた。僕はちょっとやさぐれていた。
「いや、そんな事は言ってないだろ…たぶん。」
「我も言ってる気がするぞ。もぐもぐ。」
魔王は軽食のクッキーをほうばりながら僕に賛同する。
「よくあんなセリフが吐けましたね。意図していないとしたらとんだナンパ野郎ですね。」
「全然意図してなかったんだよ。自然に出た言葉だったんだ。もちろんナンパ目的ではないよ!」
レインさんは断固としてナチュラル宣言を主張する。
危険だ…こんな危険な奴を野放しにしておくとそのうち地球の女の人たちに出産ラッシュが始まってしまう。ここで…今ここでトドメを刺さなければ僕が殺られる!
「くらえ! ギャラクティカマグ…」
「やめ〜〜い」
カミラさんに止められた。僕が必殺技を叫ぶ前に止められた。著作権的な?
「いつまでグチグチと愚痴を言っておるんだユウタは。ネチネチとぬちゃんぬちゃんと。」
「いえ、ぬちゃんぬちゃんとは言っていませんけど。」
「そう言いたくなるぐらい言っておったぞ。それに勇者の事は馴れろ、勇者が通った後にはどんな村娘も一人残らず散らせてしまうというぐらいストライクゾーンがガバガバとの評判が我が魔国にも届くぐらいなのだ。」
「ひどい風評被害! 1回も行きずりとかない! 絶対にそんな事していないぞ!」
レインさんは本気で風評を嫌がっているみたいだ。普段はパーティーとして行動しているのでそんな暇ないし、もしそんな事をしていたら村から陳情という名の苦情が来るだろうから勇者としての資格を剥奪されてしまうらしい。
でも本当にその噂を信じた娘達が勇者の子供を身ごもったと言っておしかける事態もあるんだとか。その都度パーティーメンバーから激しい追求? 拷問があるそうで…ちょっと同情しちゃうな。
「まあ、我は最初っからそんな風評などは信じておらんかったぞ。」
「僕も初めて聞いた風評でしたけど、レインさんはそんな事をする人ではないってちょっとだけ信じてましたよ。」
「二人とも信じてないし! 本当に俺だってつらいんだぞ…うっううう。」
確かにレインさんのようにイケメンで強くて、おまけに勇者なんていう称号を持っていたらもててもててしょうがないだろうに…。その境遇を堪能できないなんて逆に不幸だな…。もてすぎるのも考えものだ。
「本当に何も特別な事はしていないのに、みんな向こうから俺の事を好きになっちゃうんだよな〜どうしてだろうな〜。」
…イラッとした。こういうわかっているのに疑問系で訴えてくる奴見るとイラッとするわ〜。
「これからレインさんにあげるシュークリームは中身のクリームは僕がぺろぺろして、軒先に2、3日干して乾燥さしたシューの部分だけにします。僕の舐めとった唾液付きのシューのみです。」
「やめてえええええええ、どんな罰ゲーム? ねえ? カスカスシューだけなんて? これが本当のカスタードシュークリーム?」
ものすごい懇願してきました。土下座せんばかりの懇願が。
そんなこんなんで僕の溜飲も少しは下がった。ここで僕はカミラさんにある提案をする。
「カミラさん…その、あのちょっと言いづらいんですけども…」
「うん、何だ? ユウタ何が言いづらいのだ?」
「その…今日から僕と一緒に寝てくれませんか? いや、性的な意味じゃなくてなんていうかこう若い男女が裸で抱き合う的な?」
「いや、それもう性的な意味だろう! 100%性的だよ! よくそんな性的なお願いを純粋な目をして言えるな!」
僕のお願いに激しくツッコムカミラさん、ちょっと頬を赤らめているのが可愛い。
「あっ間違えました、僕の言い方が悪かったですね。昨日からmissionが始まって、もし僕が1人でこの部屋に入るときに飛ばされたらと思うと怖くて…。だからそんな時に頼りになるカミラさんがそばに居てくれれば安心かなと…そんな風に思ったものですから。そうですよね、男のくせに情けない事を言いました。すみません今言った事は忘れてください。」
僕は少し落ち込んだ体で申し訳なさそうにカミラさんに告げた。
「ユウタ…そんな事ないぞ、そんな情けない男らしくない事を恥ずかしげもなく堂々と言う勇気は男らしかったぞ。わかった、我で良ければユウタの部屋に泊まってやってもいいぞ。」
そんな僕に同情したのだろう、カミラさんは同意してくれた。
「本当ですか! では早速この衣装に着替えてください。カミラさんに似合うと思って買っておいたんです。ほら?」
そう言って僕はカミラさん用に通販で買っておいたちょっと露出の多いスケスケでヒラヒラとしたネグリジェを差し出した。
「いや、下心を隠そうともしない堂々とした振る舞い! 逆に男らしいだろう!(ぺこぱ松陰寺風)」
「時を戻そう。」
結局その後レインさんが立候補してくれたのだが、ベッドが狭くて暑苦しいのでお断りした。結局いつ飛ばされるかわからないから一緒に寝泊まりしても意味がないから現状維持でいいんじゃない?って事で収まった。
まあカミラさんをからかって、恥ずかしそうな顔が可愛かった事だけが収穫だった。初心だな。




