第20話 役得役得!
食事後、僕の異世界での立ち回りについて打ち合わせをしていたら…昨日と同じ浮遊感が僕らを襲った。
「うわああああああ」
思わず僕はまた叫んでしまった。昨日と一緒で不意をつかれたのに二人は全く動じていない。昨日と全く同じリアクションを取ってしまった自分がなんだか恥ずかしい。
「昨日と全く同じ場所だな。」
「我もそう思う。ここから少し入った所に昨日の城があるだろう。行ってみるか。」
レインさんとカミラさんは浮遊魔法で前へと進む。僕も浮いてはいるが、何か腰に紐がくくりつけてあるかのように引っ張られている感覚だ…なんか二人に引きずられているペットみたいだな…
まあ僕は異世界では何の役にもたたないので、二人にはペットのように付き従う。役に立たないからといってその辺に置き去りにされても困るしね。とりあえず尻尾を振ってついていく。
“ピロ〜ン”
僕の頭にいつもの音が響いた。
“mission2 姫を地下牢から救い出せ。内容/この先のフリス王国王城の地下に閉じ込められている第一王女レイラを救助せよ。
「ですって。」
僕はレインさんとカミラさんにmission内容を伝える。
「ふーん。じゃあ行こうか。今日は俺が暴れてもいいか? 王城の正面から俺が暴れるうちに魔王とユウタが姫を救出する作戦でいくか? たまには俺も暴れたいし…殺してもいいのかな?」
とレインさんが物騒な事を言う。
「いや、いっその事我が昨日のように城をぶっ飛ばせばいいのではないか? 姫もろとも。」
とカミラさんは物騒を通り越して、ちょっと何言ってるのかわからない事を言う。
「いや、二人ともダメでしょ! 昨日魔物から守ったの全部台無しですよ! 昨日の僕の労力返してくださいよ!」
お前は何もしていないだろ! と二人がツッコンでくれた。嬉しい。
「勇者が暴れなくても我の“インビット”魔法で姿を消して忍びこめるぞ。」
カミラさんの提案を採用して城には穏便に忍び込む事にした。
レインさんやカミラさんはさすがにリアル城に慣れ親しんでいるようで、だいたい地下牢がある場所がわかるということなので二人について行く。二人で地下牢あるあるを言い合っている。…僕も地下牢あるあるを言いたいが何もない。ちょっと寂しい。
すると何もない庭のような所に門番が1人いた。怪しさ満点だ。こんな守るものが何もない所にいるなんて、ここだな。門番を瞬殺して(殺してない)隠し通路みたいなところを発見して進む。すると地下牢が見つかった。5つある牢屋の中には誰もいなかった。
「えっここじゃないの? 違う地下牢あるのかな。」
「いや、ここにもう1つあるぞ。」
「この壁がしらじらしいな。隠し通路に隠し部屋とはよほど姫を見つけられたくないらしい。」
レインさんとカミラさんにはわかるらしい。僕には全くわからないなぁ。カミラさんが壁に触れるとそこに通路が現れ、奥に進むと牢屋が見えてきた。
「いた! 姫様がいたよ!」
僕は嬉しくてつい声を出してしまった。
「誰? 誰かいるのですか?」
それに気づいた女性が牢屋越しにこちらに問いかける。
「あなたは第一王女レイラ様で間違いないですか?」
「…姿は見えませんが、私を助けに?」
「はい、あなたを牢屋から連れ出しにきました。」
「助けてください、私がレイラです。まだ今ならグライツ将軍を止められるかもしれません、お願いします。」
よし、姫様で間違いなかったな。後は二人に任せよう。姫様にはちょっと下がってもらって牢屋をレインさんの剣によって開け放ってもらった。姫様は無事牢屋を抜け出した。
「ああ、ありがとうござます。このお礼は…ガスッ」
姫様が気を失って前のめりで倒れたのをカミラさんが抱き支える。
「えっカミラさん何で? 何で姫様を攻撃したの?」
「いや、姫様の話聞くの面倒くさいだろ? missionは地下牢から救い出す事だから話は聞かなくていいだろう?」
…まあそうなんだけど、姫を横チョップ一閃で…何か残念な感じがするな。もうちょっと優しく眠らせるとかなかったのかな? 後、本物のお姫様を初めて見た。めっちゃ綺麗だ…その辺のアイドルよりも全然綺麗だなと。そんなお姫さを今僕がおんぶしている。あっ、ずっと牢屋に閉じ込められていたにしてはものすんごいいい匂いがする。役得役得!
見張りが倒れている庭に戻った。すると…
“mission2 clear おめでとうございます。報酬としてカミラさんに20000円、レオンさん20000円、ユウタさんに10000円を進呈。”
本当だ。事情を聞かなくても姫を助けた(?)らクリアだったんだ。んじゃあ姫様ここに置いて帰るのかな? 大丈夫? 風邪ひかない? 姫様。
“ピロ〜ン”
「えっ」
僕の頭にまた告知音が響いた。
“mission3 黒幕をやっつけるまで帰れません。 内容/姫と一緒にフリス王都に巣食う本当の黒幕を退治したら終了。”
「ですって。姫も必要なんですって。」
僕はレインさんとカミラさんにまたmission内容を伝える。
「まあ、姫は気を失ったままでいいだろう。ユウタに担がしてやるぞ。」
「わかりました。仕方ないですが僕が担ぎましょう。むしろ担がしてくださいとお願いしたいところです。」
僕はカミラさんの提案に素直に従った。決して姫様のボリュウムを背中で感じたい…姫様のぬくもりを僕の背中で堪能したいという邪な考えがあったわけではない。純粋に姫様をこのままにしておけなかったからだという事を強調しておこう。
もちろん姫様を感じるために無駄に上下に激しく揺らして、走って行こうなどとは微塵も考えてはいないぞ!
だって姫様はスレンダーだから…。第一王女レイラさんはスレンダーなんだから…ぐっすん。




