第18話 それぞれの日常④
今日もいつもの日常だ。昨日の日曜日の夕飯後まさか僕が異世界に行っていたなんてそばを通る通行人はもちろん、同じ高校へ通う学生達も誰もが思いもよらないだろう。そんな事を考えながらいつもの通学路を歩いて高校へ向かう。
そしていつものホームルーム後、
「よう、ユウタ金曜日は眼福だっただろう? 俺のコレクションは。んでちょうど日曜日に幻のレッツ信仰新興宗教アイドル加藤アケミちゃんのきわどい水着フィギュアが手に入ってぜひともお前に見せな…」
またいつものコウジのフィギュア自慢が始まった。いや、女子のいる前でそういう美少女フィギュアの話をするなよな。そういう所だぞ、お前に彼女が出来ないのは…まあ僕もいないけどね…でも半分以上はコウジの仲間と思われているからじゃないかなと思う今日この頃です。
ふとみると今日は陽キャの友達、タケシが元気がない。
「どした?タケシが元気ないなんて珍しいな。」
「ああ、それが…ユウタ聞いてくれよ由奈がとうとうお年頃で…お兄ちゃんとは一緒にお風呂に入んない宣言されて落ち込んでるのさ。」
由奈ちゃんとはタケシの妹の事だ…中学2年生の…
「えっお前の妹中2じゃん! 14歳だろ? 俺達と3つ下の…まだ一緒にお風呂入ってるの? えっええ。」
「ああ、何かおかしいか? 兄妹だから別に普通だろう?」
…いや、絶対おかしいよ。言いたくないけどシスコンなのか? もしくは由奈ちゃんのお父さんなのか? こいつ。だから、こいつこんなにもてもてなのに彼女いないのか? いや、もしかしてこいつ…僕は思っていることを彼に伝えた
「タケシ、知っているとは思うけど…妹とは結婚できないんだぞ。」
「ええええええええええええええええええええ。」
クラス中に響き渡る大声で驚いていた。目が見開きっぱなしでチョコの小枝が入りそうなぐらいに見開いていた。ぶっさいくな顔やな…タケシのぶさいくな顔初めて見たわ。どうやら知らなかったようで本気で驚いていた。
詳しく聞いてやろうとしたらまた、1時限目を知らせる予鈴がなり、タケシはどうしてなんだとつぶやきながら自分の席にふらふらと足取りがおぼつかないまま戻っていった。
もし叶うなら彼の妹の由奈ちゃんが僕のお嫁さんになれますように。そう祈っておいた。
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今日も俺はせっせと冒険者ギルドに通いお仕事だ。この間のゴブリン退治のような魔物討伐ではなく、今日はランク検定の教官みたいな仕事だ。
これでも勇者だから受験生達の憧れの対象っていうのかな、みんなキラキラした目で見てくる。でも中には違う意味でのキラキラした目でみてくる奴もいるから気をつけないとな。お尻がキュッとなっちゃうから気をつけないとな。
親の仇みたいにギラついた目で俺を見てくる奴ももちろんいるけどな。別に気を悪くはしない。向上心の塊みたいな奴も多いからだ。そういうやつの方が好感がもてるぞ。
だけど中には自分の彼女が勇者を見た途端に振られただとか、勇者に寝取られただの八つ当たり的なのもあるけどな。
もちろん俺は手当たり次第に女性に手を出すような事はしない。一応勇者だから国からも女性関係は厳しく制限されているからだ。そういう事をしたくなったら王家御用達の娼館が用意されているから不自由する事はない…といっても利用した事はないけどな。童貞ではないぞ。
モテるからって常に性欲を満たしていると思わないで欲しい。勇者に見合った品格を求められるのでこれでも理性で自制しているんだぞ。まだまだ自分は未熟者だからそんな色ごとにうつつを抜かしている暇などない。まだまだ仕事一筋だ。
…ごめん嘘付きました。仕事よりも食い気が優先でした。いわゆる食欲。今はこれだけは自制がきかない。ユウタの料理を思い出すだけで目の前の受験生を無意識に6人連続なぎ倒しちゃったりしてしまったぐらいだ。
そのうえシュークリームやプリンなどの甘味を思い出したりなんかしたら、必殺技が出ちゃうもんね。無意識に気づいたらギルマスが倒れてたよ。やば。
無意識すぎて自動人形のように目に見えるもの全てをなぎ倒していたよ。ごめん。
あまりの惨状に思わず
「これが剣の最高到達点“無の境地”だ、この域に達する事がこれからの君たちの目標だ!」
ってごまかしたら、みんな感動して許してくれたよ。危ない危ない。その後は無難に試験官をこなして無事終了だ。
その後部屋で黄金のカードを胸にかざしたら40000円入金されていた。昨日のmissionは仕事のない魔王に譲ったが、今度は僕の見せ場があればいいな。さて、今日もユウタのご飯を食べに行きますか!
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我は今自分の部屋のソファーに体を預け思考の海へと潜っておる。
昨日のmissionで我が放った第4界光魔法レズイン…威力が上がっておった。体感で1.3倍くらい。消費魔力も今までよりも少なくなっていた…おかしいと思い久ぶりにステータスを確認したら…
すべての数値がわずかだが上がっておった。
100何年も生きておればステータスもレベルもだんだんと頭打ちになり上がりにくくなる。上がりにくいとはいえ、修行次第では上がらないというわけでもないので上がる事自体はおかしくはないのだが…
全体的にまんべんなくわずかに上がっておったのだ。これはおかしい…
しかも我はここ最近ステータスを上げるような行為など何もしておらん。仕事を断られて寝ておるだけだ。まさか寝てるだけでステータスがあがるなら今までどんだけ上がり続けるのだという事になろう。もちろん上がっていなかった、今までは…ここ最近の大きな変化といえば…
ユウタの食事しか考えられんな…
我の寝室がユウタの部屋と繋がり、勇者と会合し、昨日のmission…ものすごい意図的なものを感じる。
上位者の意思をな…。
「ふふ、ふふふふふあっはははははは」
面白いではないか。面白くなってきたではないか。魔王となって早100年今までのように比較的穏やかな日常を過ごしてきたが、まがりなりにも我は魔王だ! 我の力の全力を試したい、思いっきり遠慮などなしに発揮したいと常々思っていたのだ。
missionの目的はわからんが、ユウタと居れば我をもっと楽しませてくれるだろうよ。ユウタの飯と上位者の意思ごと全部喰らい尽くしてやろうぞ。くくくくっ。楽しみだ。
「楽しみだぞ今日のユウタの晩ご飯は何なのだ〜〜あっはははははは。」
さて、今日もユウタのご飯を食べに行くとするかの!




