第17話 mission始まったよ
食事が終わった後、いつものようにレインさんとカミラさんの3人で雑談タイムだ。
レインさんはゴブリンの巣の殲滅をして33000円を得たらしい。ちゃんと仕事をしているみたいだ。っていうかやっぱり冒険者ギルドとかあるんだね。その話詳しく!
カミラさんは…1日中寝てて450円を得たらしい…仕事しろよ! と思ったら魔王様という事で逆に仕事がないらしい。象徴みたいなものだから普段から特に仕事らしい仕事がないし、やらせてもらえないらしい。
…どうしたら良いだろうかと本気で心配されても。何かちゃかす雰囲気でもなかったので真面目に魔王様仕事プランを僕とレインさんで検討し色々と案を出した。カミラさんがお金を稼がないとこの部屋に来れなくなるし…それは正直寂しいからね。
すると…
「なんだ?」
「ん?」
レインさんとカミラさんが急に立ち上がり辺りを見回した。
「どうしたんですか? 二人と…も…うわああああああ」
思わず僕は叫んでしまった。なぜなら僕が今いる場所は空中なのだ。地面が下の方にみえる…上空に浮いているのだ。今まで僕たちがいた僕の部屋が跡形もない。
どうゆうこと?
と考える間も無く地面(推定100mぐらい)に向かって落ちだした。怖い!
「うわあああああ……………あれ、止まってる。」
加速した体が地面に叩きつけられるかと思い目をつぶったのだが、地上5mぐらいで止まった。
「慌てるなユウタ、我の魔法をかけておいたからゆっくりと地面に降りられるだろう。」
「ありがとうございます、カミラさん。初めてあなたが頼もしく感じられます。」
「サンキュー魔王、とっさの判断助かったぜ。」
「ふふふ、我の能力の片鱗に過ぎんがもっと感謝するがよいぞ。」
「そんな事よりここはいったいどこなんだ?」
確かに、見渡す限り森という感じで人の気配はない。というか絶対に日本じゃないな。木や植物が地球と違って異質な感じがビンビンする。
「たぶんここは地球では…」
そう言いかけた僕の頭に音が響いた。
“ピロ〜ン”
「ええええええ、ミッション?って」
「どうしたユウタ急に」
「何かわかったのか? ユウタ」
どうやら二人には聞こえなかったようだ。なぜ僕だけ? いや、今はそれどころじゃない。ミッションの内容を伝えなければ。
「今僕の頭にまた例の謎システムから通知があったんだけど、とりあえず通知内容をそのまま伝えますね。“mission1 魔物を殲滅するまで帰れません。内容/この先のフリス王都に攻め寄る魔物の群れ三万匹を一匹残らず退治しろ。”だって。」
「ふむ、フリス王都か…やはり我の知る世界ではなさそうだな。」
「ああ、俺もそう思う。俺達とはまた別の異世界に来てるなこれは。」
「とりあえずこのまま進みましょうか。」
僕たちはレインさんを先頭に僕、カミラさんの順で進んだ。何かあったら前後の二人に対処してもらうように。僕を挟んでもらった。
カミラさんは呆れていたが、そりゃあそうでしょ僕は最低戦力の一般ピーポーですよ。まがりなりにもあなた達は勇者と魔王、言うなれば人類最高の最終兵器じゃないですか。僕を守って当然です。と力説しておいた。
3人でわいのわいの言いながら進むもさすが戦闘のプロ、僕とおちゃらけていても警戒は怠らない。ふいに現れる魔物を簡単に凪伏せる。これも三万匹の魔物かな?
そして森を抜けると目の前には切り立った崖になっていたが、そこから見える景色は…見下ろした先には王都らしき街の城壁が見える。おおきな城壁の周りには見たこともない量の魔物に埋め尽くされて、上から見ると真っ黒だ。
改めて考えると三万匹ってとんでもない数だな。所々で火の手が上がっている。まだ人間側は持ちこたえてはいるが、ここから見る限りはぎりぎりか…落ちる寸前なのかはわからないが…。
僕が今まで経験した事のない光景にあっけにとられていると、横にいたカミラさんが前に出る。
「ふん、この程度のザコ我が出るまでもない所だが、たまにはユウタにも我が本当に魔王だという所をみせてやらんとな。ただの大食いじゃないところを見せんと威厳がガタ落ちだからな。」
「そうだな、この場面は魔王が適任だな。今日は譲ってやるよ、せいぜいいいところをみせてくれよ。」
レインも男前なセリフでカミラさんに見せ場を譲ったみたいだ。いつかは勇者の腕前もぜひとも見てみたいな。
カミラさんは僕に振り返りニヒルな笑みを浮かべて、切り立った崖をそのまま歩き進める。地面が無くなってもそのまま真っすぐ空中を歩き進める。レインさんによると浮遊魔法と風魔法を使い自由自在に空を動き回れるのだそうだ。
僕はその姿に見惚れた。威風堂々、それでいて洗練された動きがいつも僕の部屋で夕飯をがっつく姿からは想像ができないほどの優雅さだ。身震いした。
カミラさんはそのまま王都上空にたどり着き、淡く光ったと思ったらカミラさんを中心に8つの巨大な魔法陣が円を描き、そのまま上空へと登っていく。
その魔法陣がフッと消えたかと思ったら…
天空から地上の魔物目掛けて何千、何万もの光の筋がまるでレーザーのように地上に降り注いだ。遅れて耳をつんざくほどの轟音が辺り一面に降り注いだ。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーン!
まるで天罰だったかのような地鳴りや轟音が鳴り止み、空中に舞っていた土けむりが落ち着いた後、地上が露わになったそこには…動く魔物が一匹もいなかった。全て屍に変えられていた。
…すごい。すごいとしかいいようがない。さっきレインさんが僕に説明してくれたが、あれでも第4界光魔法らしい…まあすごさがよくわからないんだけど、下位の魔法のようで、まだまだ上があるようです。
ふと思ったけどカミラさんと初めてあった時に僕の部屋で第8界火魔法を使おうとしてたよね? 第4界魔法でこの威力…ものすごいドヤ顔で優雅にこちらに戻ってくるカミラさんには小一時間問い詰めて反省をしてもらわねば。
そう決心した僕の頭にまたしてもあの音が響いた。
“ピロ〜ン”
“mission1 clear おめでとうございます。報酬としてカミラさんに40000円、レオンさん10000円、ユウタさんに10000円を進呈。10秒後に部屋へ帰還します。”
そう告げられた。これは僕以外の二人にも通達があったようで、二人とも笑顔で僕の元へ。そして3人で喜んだ。
「よし! 帰ったらカツ丼でお祝いだぞ! ユウタのおごりで!」
「シュークリーム食べるか! ユウタのおごりで!」
そしてさらっと報酬を請求してきた。…まあいいかmissionをクリアできたのも二人のおかげだし。
「そうですね、二人のおかげもあるので今日は部屋に戻ったら何か作りますよ。僕のおごりで」
そう告げた僕に二人は子供のように喜んでくれた。こんなにも望まれるって悪い気はしないよな。あっでもさっきカレー食ったばっかりやん。みんな腹大丈夫か? などと部屋に帰還する2秒前になってそんな心配をする僕であった。




