第12話 換金できないかな?
「俺達の異世界の物をユウタ達の世界で換金出来ないかな?」
レインさんの案は愚案じゃないく名案の可能性がぐんぐんと上がった。
「本当なら俺達の貨幣が使えればいいんだけれど、使えないよな。」
そう言ってレインさんはメルニーク王国の貨幣を取り出した。
何の金属を使っているかわからない素材だが、結構大きい貨幣だ。直径10cmぐらいあり、荘厳な装飾が彫られている。
「これは聖金貨だ。これ1枚で大金貨10枚ぐらいの価値だな。」
「えええ、これ1枚で1000万円もの価値が…これ1枚で…ごきゅり。」
金額の大きさに僕は思わず生唾を飲みこんだ。
「確かに我も我が国の貨幣で支払らえれば簡単なのだがな。」
そう言って色々な貨幣といってもさすがは魔王さん、小銭などはない。金貨や大金貨、聖金貨をどこからともなく取り出した。
この間貨幣価値を教えてもらったのだが、だいたい日本円に換算すると金貨1枚10万円ぐらいで大金貨が100万円ぐらいなのだ。この金貨1枚でも換金できればな…ん? この材質金じゃね?
「カミラさんこの金貨材質は何かわかりますか?」
「ん、今鑑定してみるが…24金と出ているな。」
24金! 18禁じゃなくてよかった。もし18禁なら出禁をくらうところだった。ちなみに金貨は1つ約10gぐらいとして今日の金相場でだいたい6700円だから、金貨1つで67000円か…これなら売れるな。
「なんだユウタ気色悪い笑顔でニタニタ金貨を見て。この24金がこっちの世界でお金になるというなら我は塊でたくさん持ってるぞ。」
そう言ってカミラさんはまたどこからともなく金塊を取り出した。ゴトリと重そうな音を立てて机の上に転がった。
「ふわわわわわ〜〜すっすごいですよカミラさん! これなら100万、いや1000万ぐらいの価値がありそうです。」
「ふわっははは、そうだろうそうだろ、もっと褒めたたえてくれても良いのだぞ!っていうか褒めたたえよ。」
カミラさんはものすんごいのけぞている。あまりののけぞり具合にナイスバディの胸がこんもり盛り上がっているのを僕はじっと凝視した。カミラさんの高笑いが収まるまでじっと凝視した。
それにカミラさんが気づき恥ずかしかったのをごまかすように僕に質問した。
「それだけあればユウタのご飯はどれだけ食べれるのだ?」
そう質問したカミラさんに僕は答える。
「僕がカミラさんのお嫁にいけます…お嫁に行きますよ。」
真顔で答える。
「だが断る! ユウタがお嫁は断る!」
力強く断られました。ヒモとして生涯生きる決心をしたのに早くも破れました。
「とにかくこれで資金の目途がついて生活は賄えると思います。早速これからお店で換金してきますから待っていてくださいね。」
僕はカミラさんにもらった金塊を抱え外に走り出した。
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「換金できませんでした。」
「「なっ何だってえええええええええ」」
よくよく考えたら金を売るにも僕は未成年なので売れなかったわ…それに金を流通させようとしたら世界のバランスが壊れる事になるのでそもそもが無理だったみたい。たぶん少量なら謎システムのお目こぼしもあったかもしれないが…。
速攻で気を取り直して次の提案だ。
「じゃあ、こんなのはどうだ?」
そう言ってレインさんが今度は色々な剣を取り出してきた。どっから出した?
「これは俺が2年前にドラゴンを倒した時に使っていた魔剣ドリュプスだ。俺たちの世界なら聖金貨100枚はくだらないぞ。それにこの聖剣ビフィタスは癒しの効果が付与されるとっておきの逸品だ。これも聖金貨100枚はする。」
「…この世界はめっちゃ平和なんです。ドラゴンが闊歩する世界でもないから全く需要がないんじゃあ…」
いや、待てよ。この世界にも刀剣マニアはいるからマニアには需要が有るかもしんないな。
「レインさんそんな聖金貨クラスじゃなくて金貨クラスの剣はありませんか? もっと安めのならこちらの世界でも売れるかもしれません。美術品として。」
「ん〜金貨クラスの安い剣となると…じゃあこれならどうだ。スタンダードタイプの剣で銘はないけど質がいいからなかなか人気がある剣だ。」
そういって同じ剣を3本取り出した。
「これはいい剣ですね。これはいい値段で売れると思います。早速これからお店で換金してきますから待っていてくださいね。」
僕はレインさんにもらった3本の剣を抱え外に走り出した。
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「銃刀法違反で捕まりました。」
「「なっ何だってえええええええええ」」
『刀剣類』とは刃渡り15センチメートル以上の刀、刃渡り5.5センチメートル以上の剣の事を言うみたいだ。みんなも気をつけてくれよな!
速攻で気を取り直してまた次の提案だ。
「じゃあこのポーションではどうだ? 我の世界ではあって当たり前の商品だが、こっちの世界では無いようだから売れるのではないか?」
確かにポーションが売っていたら僕も欲しい! 誰もが憧れる異世界グッズNo.8と言っても過言では無い。
「カミラさん、ポーションの種類はどんなのがあるんですか?」
「ポーション<ハイグレードポーション<マスターグレードポーション<パーフェクトポーション<エクストラポーションの順で効果が高くなるぞ。」
…ん〜どことなくガンプラのグレードの様に感じてしまうがすごさがわからない。
「このエクストラポーションなんかは四肢欠損でも治す事が出来るのだぞ。」
そう言ってかざすと何か虹色に輝いている…神々しい。
「おっ魔王すごいなエクストラポーションまで持っているなんて、俺も1回だけお世話になった事があるな。どれユウタに俺が効果を見せてやるよ。」
そう言って勇者レインは自分の腕を魔剣ドリュプスで切り落とした。
「な、何を…レインさん、は、早く治療を。」
僕が目の前の出来事に慌てふためいているが、二人は全く動じない。
「ユウタに効果を見せるデモンストレーションにはもってこいだな、やるな勇者! しかと見ろよユウタ! 種も仕掛けもないこの液体、我の国自慢のエクストラポーションの効果を見よ!」
そうカミラさんが告げるとレインさんがエクストラポーションを失った腕と反対側の手でつかんで飲み干した。ごきゅごきゅと喉を鳴らして美味しそうに最後の一滴まできれいに飲み干した。
「ほれ、次第に失った腕が元どおりに…」
「飲んだらすぐに腕が元どおりになる…」
どくどくどくどく…
切り落とされたレインさんの腕から血が流れ続ける。
どくどくどくどく…
それをじっと三人揃って眺め続ける……えっこれ何待ち?
「やっやばいのだ! そういえばこっちの世界は魔素が少ないんじゃった。忘れておった! 勇者すぐに帰ってこのエクストラポーションを飲み直すのだ!」
「ああ、うっかり忘れてた! やべっ、すぐ帰らないと。」
魔王は慌てて新たに取り出したポーションを勇者に渡し、それを受け取った勇者は血が流れ過ぎてふらふらしながらも何とか異世界に帰っていった。
それからしばらくして…
しれっと腕が生えた勇者が戻ってきて、僕と魔王の座っている近くに腰を下ろした。そして魔王と勇者はお互いに目を見合わして僕の方を向いて呟いた。
「「なっ」」
いや「なっ」じゃねーし! 何の「なっ」なんだ? 「なっ」大丈夫だろう?の「なっ」なのか。「なっ」腕が生えただろうの「なっ」なのか小一時間問い詰めたい心境だ。




