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第108話 ユウタの魂の行方

「いかがだったでしょうか? 自分とレイ君の馴れ初めから、初体験までをダイジェスト2時間30分にまとめてみましたけど。」


「誰の馴れ初めだ! そんな描写これっぽっちもなかっただろうが!」

「ダイジェストで2時間30分って…ダイジェストじゃなかったら? えっリアルタイムで3日間? じゃあしょうがない。」

「ZZZZZZZ…。」


 レイ君は性的な関係を否定して、俺はダイジェストの長さに突っ込み、魔王は寝てる!


「まあ冗談はさて置き、いくつか聞きたい事があるのだがいいか?」

 寝ていた魔王がすぐに起きて質問した。よかった…寝ながらもちゃんと聞いていたようだ。睡眠学習?


「わかりました。だけどその質問の前にカミラさんのスリーサイズ…アウチ!」

「さりげなくセクハラしようとすんな!」

 …ユウタ(父)がレイにどつかれた。


「なんだな…ユウタはユウタだな…ある意味変わらなくて安心したぞ。」

 魔王がフォローにならないフォローをした。ユウタのセクハラ体質は魂レベルだったのだな…。


「ユウタの地球…その仮想空間の地球と、我たちの異世界が繋がったという事は、ユウタの子供の魂、翔太は我らの異世界に存在しているという事か?」

「ああ、そうなるな。あれから色々調べてやっと突き止めた。仮想空間のユウタの魂の分体も馴染んだところでオレが繋げた。それがお前たちの出会いだ。」


 魔王の質問にレイが答えた。


「俺と魔王とユウタの出会いは本当に偶然だったのか? 必然? 仕組まれていたのか?」

「…それに関しては何ともいえない。ただオレの意思ではないという点では偶然だったのかもしれないな。しかし…近しい魂が惹かれ合うという特性をかんがみれば…必然だったのかもしれないがな。」


 オレの質問に対してレイは意味深な事を言う。確かに意図的なものは感じなかったのだが…勇者であるオレ、魔王であるカミラ、そして異世界の魂であるユウタが一堂に会す事など有り得るのだろうか?


 創造神であるレイが関与してないだなんて事は…とつい疑惑という名の思考の海へと潜ってしまっていたが魔王が次の質問をした。


「ミッションが翔太の魂を集める儀式のようなものだと言っていたが、レイだったらそんなまどろっこしい事などをせずとも、魂の破片を集める事など容易たやすく出来るのではないか?」


「それについては…出来ると言いたいところだが、いくら自分が創造神だとはいえ、世界の理、道理を捻じ曲げれば世界のほころびに繋がりかねない。そんなリスクを取ってまでやるかといわれればNOだ。オレの手を煩わせなくても、それなりの手順を踏めば出来る事なのだからな。」


「じゃあ、ダンジョンだとかお使い的なミッションという形にしたのは何故なんだ?」

 オレが聞いてみる。


「ふふ、それは地球のGAMEというのを真似ただけだ。地球では仮想現実的な設定で遊べるGAMEが一般的なのだ。ユウタに馴染みある設定を取りいれたというだけだ。」


 へーそんな遊戯があるんだ…まあユウタにとっては命がけの遊戯だがな…。


 ちなみにもしミッションに失敗したらユウタはどうなるのだ? とレイに聞いてみたのだが…ニヤッと口角を上げるだけの笑みを見せるだけだった。


 …ふと死亡遊戯というGAME名が頭に思い浮かんだのだが黙っておいた。


「そのミッションとやらが全て終わって翔太の魂が集まったとしよう。その後ユウタはどうなるのだ…翔太の魂を集め終わった、仮想現実で我らと供に生活していたユウタはどうなるのだ! まさかそのまま翔太の魂と一緒に地球の、そこのベッドに寝ている翔太と融合されるのではないだろうな? どうなんだ!」


 魔王は一番の懸念事項である事柄をレイに聞いた。それはオレの危惧する事でもあったのだ。オレの正直な気持ちは…また3人で生活したい。あの何気ない日常を…俺と魔王とユウタの3人で過ごしたいのだ。


 なんだろうこの気持ちは…例えるのなら…「家族」に近い感情かな。自分にもこの気持ちはうまく説明できないのだが…多分魔王も俺と同じ気持ちなのだと思う、そしてユウタも。


 そう思える程、今まで3人で過ごした時間はそれぞれ異なる境遇で育った俺たちが、確かな絆で結ばれたのだと感じられる程に濃密な時間を過ごしたんだ。


「それは…」

 ユウタ(父)が顔を曇らせて答えようとするのをレイが遮った。


「それはオレから答えてやろう。対価交換だ! オレが翔太の魂を復活させる代償としてユウタの分離した魂をもらったのだ。つまりユウタの所有権は俺にある、くくくく。」

 レイが半笑いで俺たちに告げる。


「何が目的だ…。」

 魔王がレイを睨みながら問い詰める。


「くくく、ユウタの魂がそんなに気になるのか…そうだな。」

 そう言ってレイは魔王をジロジロと舐め回すように品定めする(俺判断)。


「ぐぐぐ、わかったのだ。この身を捧げよう! 肉なり焼くなり舐めるなり好きにしていいぞ! レインの体を!」

「おおおおおおおおい! おいおいおい! 勝手に俺を差し出さないでくれる?」


 魔王はあっさりと俺を売った。てっきり自分の身を捧げるものだとばかり思っていたのに、あっさりと俺を引き渡した。


「よかろう! レインの体で手を打とう!」

「おおおおおおおおい! おいおいおい! 本当に了承しないでれる? 怖いんですけど!」


 レイはあっさりと俺を買った。てっきり罵詈雑言の後にいらないと言うとばかり思っていたのに、あっさりと俺を所望した。


「わかった、じゃあ自分はカミラさんを貰いますね。貰ってもいいですか?」

「おおおおおおおおい! ユウタ(父)は黙っててくれる? ここぞとばかりに会話に入ってこられるとややこしくなるんで!」


 ぜーぜーぜー、疲れた。何で勇者である俺が魔王と創造神とユウタ(父)に一斉に突っ込まないといけないんだ。っていうかやらせんなよな!


「くくくく冗談だ。ユウタの魂は翔太の魂を集めた後に分離して、翔太の魂は地球のこの体に。ユウタの魂はそのままオレの星に貰い受ける。これがユウタ(父)との間で結ばれた対価交換の内容だ。」


「…ということはユウタは。」

「ああ、今まで通りの生活でいいぞ。というか、仮想空間は消えて無くなりお前らの異世界で生活するという事になるのかな。もちろんオレにとっても利が有る。オレの星に良質な魂が増える事は望ましいことだからな。あとは好きにしてかまわないぞ。」


「ふん、そういう事ならユウタは我がもらってやっても良いがな。」

「いや、ユウタは俺がもらってもいいぞ。」

 お互いが目を合わせて、ふふと笑い合う。俺と魔王にとってはこれ以上ない提案だったのだから。


 ミッションが成功し終わっても、今まで通りにユウタと生活していける。その事実だけが俺と魔王の今までの鬱蒼うっそうとした気分を晴れ晴れとさしたのだった。




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