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第104話 レイ登場

「あ〜あ〜、ユウタは泣き虫だな。」

「やっと唱えたな。我をこんなに待たせおって!」


 目を開けるとそこには…


 淡く光る魔王カミラさんと勇者レインさんが僕を抱きしめてくれていた。


 まさか…これも夢ではないんだろうか? 僕の願望が生み出したカミラさんとレインさんじゃないだろうか?


 だってそうじゃないとおかしいじゃないか、あれは夢だったんだろう? じゃあ今ここに存在しているように見える二人は何? 幻? それとも… 


 今までの事は夢じゃない?


「ああ、現実だ。」

「もちろん我らは実在しているぞ。昔からも、これからもな。」


 ああ、もどかしい。僕の体が正常ならこんなベッドなんか飛び出して二人に抱きつきたい! そんな事を思ったら…


「なんだ? その体は動かんのか。まあとりあえず頭の中で考えるだけでよいぞ。今の我らも幽体という魂でつながっている状態だからな。」


“本当ですか? 聞こえますか?”


「ああ、聞こえているとも。」

「聞こえてるぞ。」


 二人が同時に応えてくれた。


“二人に会えてとても嬉しいです。本当ならベッドから飛び出して二人と抱き合いたいです。特にカミラさんとはいつものように熱い抱擁を交わしてその豊満なボディーを十分に堪能したいのですが…今の僕はこんな状況ですので…”


「だれがいつものようにだ! 一回も熱い抱擁など我が許した事など無いわ!」

「お、ムッツリは健在だなユウタ、安心したぞ。」


“ところで、二人ともよく僕がユウタだって気づきましたね。容姿はこのとおり別人なんですけど…”


「いや、全然わかるぞ。魂が一緒だからな。」

「それにそのムッツリ思案もユウタそのものだしな。」

 そう言ってレインさんが笑う。


「それよりもユウタ、お前の今のこの状況はどうなっているのだ?」

 カミラさんの疑問に僕はこちらの世界に来た時からの話をする。


 目が覚めた時、5年前から寝たきりだった事、僕の家族の事、しかし何も思い出せない事、そして何よりも僕は翔太という人物だった事などを分かる範囲で全て喋った。


“僕はてっきり三ツ俣優太という少年が事故で意識を失った間に見ていた夢の中で、勇者であるレインさんと魔王であるカミラさんと一緒に冒険活劇したり、時にはただれた関係になる怠惰系ストーリーだと思っていたんですけどね…未だに訳がわからないですよ”


「誰が、ただれた関係だ! 清いにも程がある関係しかなかっただろう。」

「あと、冒険活劇というほどでもないしな。」


 …僕の発言に対して、いちいち一人ずつ突っ込んでくれるのが嬉しい。なんかこの感じ大分昔のように感じられるな。


「「ん……」」


二人の表情が一瞬ピリッと張り詰めたような感じがしたので聞いてみた。


“どうしたんですか? 二人とも”


「…いや、なんでも無いぞ。ユウタ、今日はもう疲れただろう。もう夜も遅い事だし眠るといい。」

「…そうだな。眠そうだぞユウタ。」


“えっ僕はまだ全然大丈夫ですよ、それに…カミラさんにはまだセクハラし足りないですし…”


「いや、我にセクハラするなよ!」

「安心しろユウタ。俺たちは幻なんかじゃない、また明日会えるさ。だから明日たっぷりとセクハラをするといい! これからはいつでも好きな時にな。」


“本当ですか? それなら…少し疲れたので、本当に少しだけ寝ますね。だけど…僕が寝た後に僕にエッチなイタズラとかしないでくださいよ”


「誰がするか! 早く寝ろ!」

「ははは、パンツぐらい下ろしておいてやるよ。」


“ふふふ…こんな日がくるなんて…まるで……すーっ”


「寝たな…早くね?」

「それほど我らに会って安心したという事だろう。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺たちはユウタが寝たのを確認して部屋の侵入者に声をかけた。


「お前は誰だ? 敵意はないようだが…」

「やっぱり気づいていたんだね。お見事お見事パチパチパチ。」


 何も無い空間からスッといきなり現れた男は…銀色のメンズマッシュで左目だけが髪で隠れていて、全身真っ白だ。白シャツに白ネクタイのスーツを着ている少年か?


「ふん、そんな仮初かりそめの容姿で…中身はとんでもない化け物が出てきよおったわ。」

 カミラが男を見てそう吐き捨てた。


 確かに今の俺たちは幽体だ。依り代になる肉体を持っていないからこそ感じられたこの男の異質さ。仮の肉体(器)を得てはいるが、中身はとんでもない化け物だというのがひしひしと感じられる。


「お前が俺らの創造主か?」

 俺は思った事を口にする。


「ははははは、さすがだね。まあ、そう身構えないでよ。もっと砕けた感じで話し合いたいな。あ、オレの事はレイと呼んでくれていいよ。ここでの仮初かりそめの名だが。」

 彼はこの世界での設定で通すつもりだ。それならこちらもそれでいいだろう。


「俺の名はレイン・バークレン、勇者だ。」

「…我はカミラだ。」


「ふ〜ん、レインとカミラね〜。まあ、とにかく会えて嬉しいよ。《《悠久の魔女》》と《《捕らわれの勇者》》に会えてね、くくく。」

 悠久の魔女?…謎の二つ名を言われて魔王はムッとした表情を見せる。


 それに捕らわれの…勇者? 誰のことな…カチッ


「捕らわれとは酷い名じゃな。わしは自分の事を捕らわれているだなんて思ったことはないぞ。」


「おっ、本性を現してもよかったのか、じいさん?」

「あくまでもジジイの体裁をとっておるだけじゃ。中身はとてもフレッシュなんじゃぞ、カカカカ。」

「…久しぶりだなジジイ。やっぱりレインには内緒だったのか?」


「カミラはやっぱり知ってて黙っていてくれたのだな、ありがとうよ。もちろん歴代の勇者にはわしの記憶は継承しておらん。代々受け継いでいくと人格が壊れてしまうからのう。ここぞという時だけだ。だが、言っておくが歴代の勇者達もレインも決してわしの傀儡というわけではないぞ。」

「分かっている。でも…その顔でその話し方、すごく違和感があるからレインにはよ代わってくれ、気持ち悪いわ!」


「カカカカ、お前さんははっきり言うのう。そこが好きなところじゃが…それではレイ様、失礼しました。」

「ああ、またな。」


 カチッ


 ん? 今一瞬自分の意識が飛んだか?


「魔王、俺なんか変だった?」

「そんな事はどうでもいいから、今からレイの話を聞くぞジジイ。」


 誰がジジイだ、誰が。こんなぴちぴちのフレッシュマンを捕まえて…と突っ込もうとしたがまた話が進まなくなるので黙ってレイの話を聞く事にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイ君は前作「対価交換」で活躍しました。気になる方は読んで見てください。



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