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巫の血脈  作者: 櫟木 惺
第9章 空蝉の修羅
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第40話 偽りの陽動

 よく晴れた土曜日の陽射しを浴びながら、俺はのんびりと家に向かって歩く。

 何より今日は懐も温かいし、思わず鼻歌まで出てしまいそうだ。

 こんな気分のいい日には、何かいい事でもあるんじゃないかって気がしてくる。

 この先の角を曲がれば行きつけの焼鳥居酒屋『とりなが』があるな。幼馴染の須永(すなが)が父親と一緒に開いている店だ。この時間だと、ランチタイムも終わったか?


 そう思っていると、通りの向こうで見知った姿が大きな段ボールを抱えて歩いているのが見えた。


(お、須永じゃん!)


 大きく手を振りながら駆け寄ろうとした俺の横を追い抜き、少し前方にすうっと停車したのは黒塗りの大きな車。窓にスモークまで貼られている。

 助手席と後部のドアが一斉に開き、黒スーツの一団が一瞬で俺を取り囲む。


(……なに? こんな風体のみなさんに囲まれる覚えはないんだけど)


「突然、申し訳ございません。上代(かみしろ)凱斗(かいと)様でいらっしゃいますね。どうか我々と一緒に来ていただきたい。お手間は取らせません」

「は? どういう事すか? 一緒にって、なんで?」

「我々にはあなたの力が必要なのです。我らの神も、あなたがおいでになるのを心待ちにされております。是が非でもご同行いただきたい」


(……かみぃぃぃ?)


 こんな胡散臭い誘いが他にあるか?

 ちょっと顎を上げ、眉をひそめながら斜めの目線を返す。


「力って、何のこと?」

「ご謙遜ですか? 先日の悪霊を封じた闘い、我々も拝見いたしました。あれほどの力をお持ちとは、誠に感服いたしました。──ご同行、願えますね?」


 悪霊を封じたと言えば、あの念のドームの件だろう。生憎と俺は気を失っていて覚えていない。

 巫女さんが俺の身体を使っていたのだが、こいつらはそれが俺の所業だと思っているのか。


 いや、違うな。何だろう、何か──


 手の甲で鼻をこすり、軽く啜り上げる。


「──あのさぁ、そんなんで、はいはいって付いてくヤツがいると思って……」

「凱斗兄さん?! どうしたの? 何してんのさ?」



 ──まずい。このままだと、こいつまで巻き込まれてしまう。


「あぁ、彼は弟さんでしたね。では、弟さんもご一緒に……」

「あいつは関係ねぇだろ!」


「ねぇ、ちょっと……大丈夫?」


 10メートルほどの距離をおいて、(榛冴)が肩に掛けたバッグの紐を両手で掴んで立ち尽くしている。


(ビビりのお前は、こんな状況でそれ以上近寄れないだろう。そのままそこにいろ、頼むから)


 このままでは弟まで巻き添えになる。何とかこの場をうまく切り抜けて……。


「ねぇ、兄さんってば!」


(!!!)


 あろうことか、ビビりの弟が俺の方に近寄って来た。


「──榛冴(はるひ)!!」


 強く名前を呼ぶと、びくっと身体を震わせて立ち止まる。


(……それでいい。それ以上近付くな)


「あのさぁ、ハル。俺、ちょっと出掛けてくるわ。あいつらには黙っといてくれ」


 昔の呼び名で呼ぶと、弟が怪訝そうにこちらを見ている。


「あ、これ、お前にやる。使い古しで悪いけど」


 ポケットに入っていた使い捨てライターを放り投げると、弟は慌てて右手で受け止めた。


「要らなかったら、誰かにあげてくれ。采希(さいき)あたりは喜んでくれるだろ」


 改めて黒スーツの一団に向き合い、俺は笑ってみせた。


「んじゃ、行こか」



 * * * * * *



 ぞろぞろと離れの居間に降り、采希たちは思い思いの場所に陣取る。

 ソファに座った采希の隣には琉斗(りゅうと)が、采希の足元には那岐(なぎ)がぺたりと座った。

 采希たちに向き合うように榛冴が正座で座る。


「一体、何があったんだ? そもそも兄貴はどこに出掛けていたんだ?」


 琉斗が脚を組みながら榛冴に尋ねる。


「どこに出掛けたかは知らないけど、僕が帰ってくる途中で黒いスーツの男たちに囲まれている凱斗兄さんに会ったんだ。もしかしてヤバい組織の人の車に傷でも付けたのかと思ってさ、慌てて駆け寄ろうとしたら強い口調で止められて……近付くなって言われているんだと思って迷っていたら──これを」


 榛冴が使い捨てライターを差し出す。

 ごく自然に琉斗が受け取り、ちょっと(かざ)して眺める。


「……ただのライター、だよな?」

「采希兄さんなら喜んでくれるだろう、って渡された」

「どうしてだ? こんな残り少ない使い捨てライターで喜ぶはずが──」

「…………琉斗兄さん、まさか本気で言ってる訳じゃないよねぇ?」


 榛冴の冷たい視線に、琉斗が心外そうに榛冴を見返す。


「……どういう意味だ?」


 一瞬、険しい顔になった榛冴と那岐が顔を見合わせる。

 ちらりと采希を横目で見て、榛冴は琉斗の持つライターを取り上げた。


「こんなバカに自分の封印の鍵を任せなくちゃならない采希兄さんに、僕は心から同情するよ」


 芝居がかった言い方で、榛冴は采希にライターを手渡す。

 バカ呼ばわりされた琉斗はとても傷ついたように榛冴を見るが、何故そんな風に言われたのか理解できずに首を傾げる。

 くすくすと笑いながら受け取り、采希はライターのサイコメトリーを始めた。


「琉斗兄さん、凱斗兄さんはあのライターに僕らにしか分からないメッセージを残したんだよ」


 那岐が琉斗を慰めるように、琉斗の肩に手を置きながら説明する。


「しかし那岐、ライターには特に何も書いていなかったぞ」

「琉斗兄さん、采希兄さんの特技、忘れたの?」

「……特技?」

「うるさいよ! もう琉斗兄さんは黙ってて!」


 榛冴に再び怒られ、琉斗がしゅんと小さくなってしょげかえる。

 那岐が気の毒そうに見ているのが可笑しくて、笑いを堪えて采希の身体が小刻みに震えた。


「采希兄さん、笑ってないで、もう読み取れたの?」


 巻き添えで怒られそうになり、采希は思わず首を(すく)める。


「ああ、状況はわかった。だけど──」


 ちょっと考えながら口籠る采希を、那岐が心配そうに覗き込む。


「……とにかく、みんな聞いてくれるか?」



 それは、声だけのメッセージだった。


『采希、絶対に俺を追うな。どうやら奴らの狙いはお前らしい。俺を囮にすることにどれ程の効果を期待しているのかは分からない。相手はおそらく組織立っている。どんな手段で待ち受けてるか不明だ。霊や念が相手なら采希は何とか出来るかもしれない。でも今度の相手は()()だから、お前には無理だ。戦えないだろう? 俺は自分で何とかする。心配すんな。頼むから、俺の頼みを聞いてくれ』


 采希の肩や腕に乗せられていた三人の手が離れていく。

 凱斗のメッセージを聞いて、那岐が天を仰ぐ。


「相手は組織立った人間か……確かに、采希兄さんにとっては最悪の相手かもね」


 全員、黙って那岐を見つめた。

 確かに霊や念相手なら、今の采希には恐らく問題ない。


 だが采希は、生きている人間を相手にするのは、どうも苦手だった。

 基本的にあまり他人が信用できず、人付き合いも苦手だが、何よりも生身の人間を傷付けることに何故か怯えていた。

 弟の那岐と従兄弟の凱斗は特に、その事をよく知っていた。


「俺のせいらしいから、行かない訳にはいかないだろ」


 ぽつりと言った采希を三人が怪訝そうに見る。


「采希兄さんのせいって、どういうこと?」

「今のは凱斗からのメッセージだ。でも凱斗のポケットに入っていたこのライターからは、攫われた時の状況も視えたんだ」


 采希はライターを左手で弄びながら、ゆっくりと三人を見渡す。


「この間の瘴気のドームであの麻呂眉を封じたのは、凱斗だと思っているような口調だった。凱斗の力を借りたいから、って誘いを掛けている。──榛冴も脅しに使いながらな」

「あの状況では確かに、凱斗兄さんが封じたように見えるだろうね」

「でも実際、あきらが兄貴の力を使ったんだから、勘違いじゃないだろう?」


 榛冴の言葉に琉斗が異論を唱えると、那岐が否定するように首を振る。


「ううん、あの時、凱斗兄さんは気絶してたから、巫女さまが使ったのは自分の力だよ」

「そうそう。まあ、(はた)から見ていたら分からないよね」


 納得したような榛冴に采希は頷く。


「だけど奴らはあの力が凱斗によるものだと勘違いしているフリをしている、かな? 凱斗もそう思ったんだと思う。凱斗を誘う口実だって。だから自分を囮にして俺を誘い出そうとしていると思ったんだろうな」

「だから采希兄さん、どうしてそう思ったの?」

「それなりの力を持つなら、あれが凱斗の技じゃないって気付くだろ? お前や那岐にもあの『蓮の結界』が視えたように」


 結界はその意図と手法によって形状が変わるらしいと龍神(ナーガ)から聞いていた。

 あの蓮の華は巫女独特のもので、その界隈ではよく知られているとのことだった。

 那岐と榛冴が迷いながら頷く。自分にだけ結界が視えなかった琉斗は、納得できないように身を乗り出した。


「力がないから、兄貴──凱斗がやったと思って攫ったんじゃないのか? その可能性もあるだろう?」

「いや、それはない。かなりの力があるはず」

「だから、どうしてだ?」

「あのドームの中は異次元空間で、俺たちの他に人は存在していなかった。だったら何故あの闘いを知ってるんだ?」

「「……あ!!」」


 那岐と榛冴が声を上げて見つめ合った。


「榛冴も『傍から見ていたら』って無意識に言ったように、あの戦闘があることを知っていて高みの見物をしていたヤツがいたってことなんじゃないかと思う」

「でも兄さん、あの空間には本当に人の気配はなかったよ。一体どうやって……」

「それは俺にも分からない。でも、お前たちが家に閉じ込められるまでは、他の人も存在していたんだろ? お前らの動きを封じ、ドームごと異次元空間に放り込んで気脈を断つとか、組織的にじゃないと無理だって、今なら分かる。かなりの技量が必要なはずだが、あきらみたいな化け物巫女がそうそういるとは思えない。何かの意図があってずっと俺たちを監視していたのかもな」


 采希の言葉に榛冴がぶるっと身震いし、那岐が難しい顔で黙り込む。

 琉斗は采希が巫女を『化け物』と呼んだことに首を傾げていた。琉斗にしてみれば、巫女も采希も那岐も同類だった。



「そいつらには、凱斗兄さんの力を利用できるってこと? だから攫ったの?」


 榛冴が泣きそうな顔で采希に尋ねる。


「いや、それは──」

《それは無理ですね》


 唐突に上から声が降って来る。


《凱斗さんの力は特殊ですから、凱斗さんの意思を無視して利用することはできません。マスターにすら出来ないのですから。多分、凱斗さんを攫ったのは采希さんを捕えるための罠、で正解だと思われます》


 聞き覚えのある声と口調に、采希が思わず笑顔になる。


「シェン!」


 宙空に浮かぶように出現した光の粒子がくるくると渦を巻いて収束し、青銀の体躯を翻してロシアンブルーが現れる。



「じゃ、本当の狙いは凱斗兄さんが言うように、采希兄さんなの?」

「シェン、説明してくれないか? なぜ采希を捕らえようとするんだ? これまでの悪霊どもと違って、奴等は生きている人間だろう? 采希の力を欲しがっているのは悪霊どもだけじゃないっていうのか?」


 ちょうど腕の中に降りて来たシェンを抱え直しながら、琉斗が尋ねる。


《間接的に──例えば除霊を強要して働かせる等、采希さんの力を利用しようと考える輩もいるということでしょう。先日の瘴気のドームですが、あれ自体に人間(ヒト)の手が加わっているそうです。悪霊や邪な念を集めていたあの親玉をけしかけ、さらにその収集に手を貸した者がいるらしいと分かっています。あの公家(くげ)の怨霊に采希さんを取り込ませ、後で横取りしようとしたのではないでしょうか》


「あのドームがそんな意図だったの? 僕には全然分からなかった……」

《こちらには呪術のスペシャリストがいますので。それでも気付くのにかなり時間が掛かったようですよ》


 眉を寄せる那岐に、シェンが(いたわ)るように言った。


瀧夜叉(たきやしゃ)姫か……)


 采希が(うちぎ)姿の姫君を思い出していると、琉斗がシェンの背中を撫でながら尋ねた。


「そいつらが欲したのは凱斗ではなく采希だったということか? じゃあ何故、采希ではなく凱斗を攫ったんだ?」


 琉斗の質問に、全員が一斉に溜息をつく。


「……当然、采希兄さんの力が怖いからだろうね」

「誰が考えたって、采希兄さんを直接相手にするのは不利だって分かると思うけど」


 那岐と榛冴が呆れた声を上げる。

 生霊に狙われたあの日以来、采希の力は徐々に強くなっていた。封じられた記憶が少しずつ戻り、それに連動するように采希はその能力を操れるようになった。

 それは那岐の覚えている幼い頃の采希の姿と同じだった。──霊能力と念動力(P・K)。その、類稀な能力。祖母の助言のおかげでこれまで周囲の目からは隠されてきた。


(……生霊に、龍神の贄、祟り神に悪霊ども。どの時点で兄さんの能力に気付かれたのかは分からないけど……)


 那岐は苛立ちを抑えるようにゆっくりと息を吐き出す。


 この世には、際限なく力を求める者たちがいる。采希が狙われるのは当然だとしても、采希には守護がいる。霊獣たちや龍神、それらの護りをくぐり抜けて采希を捕らえるのはどう考えても難しい。


「でも、凱斗兄さんが人質になっていたなら、采希兄さんは手を出せない。白虎さんやロキさんも」


 那岐が窓の外を見ながらぼそりと呟くと、琉斗がいきなり立ち上がる。


「そんなの! 卑怯じゃないか!」

「そうだね。でもこれが一番効果的だ。だから凱斗兄さんは采希兄さんに『追って来るな』って言ったんだ」


 那岐の眼は琉斗の方にゆっくりと向けられたが、琉斗には自分ではなく、自分を通して()()を見ているように思われた。

 その眼に宿った光に一瞬、気圧される。

 琉斗は腹に力を込め、言葉を絞り出した。


「……だったら、俺たちだけで!」

「琉斗兄さんてば、采希兄さんの力無しでどうやって闘うつもりなの?」


 榛冴が両手を広げ、やれやれと言わんばかりに首を振る。


「相手は人間なんだろう? 腕づくで……」

「琉斗兄さん、シェンさんの話、聞いてなかった?」


 とうとう那岐にまで呆れた声を出される。


「相手は僕らや巫女さまを出し抜くほどの能力(ちから)の持ち主だよ? 腕力の問題じゃない」


 琉斗を(さと)すようにゆっくりと話す。

 琉斗が再びしょげた顔で那岐の言葉に俯く。

 榛冴も隣で頷き、琉斗の腕の中にいる、シェンの顔を覗き込んだ。


「──琉斗兄さんにもやっと理解できた所で、シェンさん、巫女さまの見解は?」


 シェンが少し困ったように榛冴を見てから、采希の顔を見上げる。

 どこまで話せばいいのか迷っているのだろうと察した采希は、ちょっと悪戯っぽく笑った。


「シェン、あきらがお前だけをここに送り込んだのは、どうしてだ?」


 シェンがぴくりと反応し、さらに困ったように視線を泳がせる。

 采希はそっとシェンに顔を寄せ、にやりと笑って小さく呟く。


「──あきら、先見(さきみ)の力が戻ったんだろ?」


 一瞬でシェンが耳も尻尾も全身の毛も逆立て、びくりと跳ね上がる。


《…………どうして……》

「この間、ちょっと様子が変だったからな。琉斗の魂を呼び戻した事で受けた罰は、それ以上の徳を積んだから償った事になった──違うか?」


 驚いた表情のシェンに、采希は勝ち誇った顔をしてみせる。


「お前だけがここに来たのは、あきらが俺たちだけで解決できるって予知したから。俺はそう受け取ったけど」


 恨めしそうに見えるシェンの表情に、つい采希の口元が緩む。


「どうだ? 当たってるか?」



《まあ、当たらずと言えども遠からず、といったところか》


 琉斗の座る向こうから、聞き覚えのある声がする。


「……ロキ?」


 驚きつつ采希が呼び掛けると、白い大きな狼が姿を見せた。


《大丈夫だと確信している訳ではない。お前たちならやれるだろうと、そういう期待を込めてといった意図のようだぞ。巫女は今、別件で手が離せないのもあるが》


 白狼の言葉に、那岐の表情が硬くなる。


「……確実では、ないの?」

《この世に確実な未来などない。あるのは可能性の未来だと巫女が口癖のように言っているぞ》


 采希はふうっと長い溜息を吐く。


「まあ、そうだろうな。既に決まっている未来に向かって進むなんてのは、俺は御免だ」


 それでも先見の巫女が、自分たちが凱斗を助け出せる可能性を示唆してくれた。


 采希の心は決まった。



「ロキがここにいるって事は、もしかして俺たちを手伝ってくれるのか?」


 采希が白狼に問い掛けると、琉斗の顔がぱあっと輝く。


《力になれることがあれば、だがな》


 琉斗が勢い込んでこくこくと頷く。


「また俺の守護をしてもらえるんだな?」


 嬉しそうな琉斗に、白狼が苦笑しながら答える。


《いや、今回はお前たち全員の力となるためだ》


 あからさまにがっかりしている琉斗から、采希は腕を伸ばしてシェンを自分の方に抱き寄せる。


「だけどシェン、琥珀は、いないんだ。俺は──」


 腕の中で采希の胸の辺りに前脚を掛け、下から覗き込むように見上げたシェンが軽く頭を傾ける。


《采希さん、琥珀の矢は采希さんの力を分かりやすく放つための道具(ツール)です。正確には琥珀自身の力も含まれてはいますが、琥珀がいなくとも采希さんには同じだけの力が使えます》

龍神(ナーガ)にも言われたから、頭ではわかってる。でも……」


 唇を噛みしめる采希の左腕に、後ろから銀の縞が入った白い尾が巻き付いてきた。


《白虎も任せろと言っておる。自分の力を信じろ。此度はお前のこれまでの縁に頼ることになるのだからな》


 白狼の言葉にどういう意味かと訝しんで顔を上げると、シェンが采希の腕からするりと抜け出した。


《私はひとまず戻らせて頂きます。また後ほど。──采希さん、くれぐれも無茶はされませんよう》

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