6話目
6話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
二週間、演技や舞台での動きをひたすらに練習し、何とかそれっぽいのは出来るようになってきたのではないだろうか。
演技をし合う内に空間さんと急激に仲が進展し…とかそういう事もなく、俺から見る限り彼女との関係は仕事仲間ぐらいに留まった。
西谷が告白するという事を知っているために、意識的にも無意識的にも関係を深めようとしていなかったからだろう。…この言い方ではまるで、頑張れば全然すぐ仲良くなれますけどと言ってるように勘違いされてしまう。
多分、どんなに頑張ったって知り合いか、精々友人止まりだったと思う。無駄な見栄は自分を追い込むだけである。
衣装の西谷は海柱さんの協力もあってか彼女とはそこそこ接することが出来、それを遠目ながら見た感想としては彼女は特別嫌そうには見えなかった。
時々、彼女自身から西谷に話し掛けにいったりしていて、本当、俺がここまでする必要はないんじゃないかと何度も考えた。
生徒会と実行委員主導の投票の結果も、部長が宣言していた通り公開告白に決定し、文化祭当日は概ね計画通りに迎えられた。
…まだ入り口にお客も来ていないような朝っぱらに呼び出され、行うことになったのは劇の通し。
海柱さんと同じく衣装担当だった彼彼女だったり、複数の女子を主に完成させた赤を貴重とした貴族っぽい華やかな服。それでいてゴテゴテ感を無くした、数度の調整を経てサイズを完璧にしたそれに袖を通し、文化祭用に飾り付けられた舞台へ上っていく。
立候補した当初こそ周りのなんでお前の目は痛く辛かったが、そこは流石の文化祭。
完全に無くなった訳ではないが、ここまで時間が流れると割りと落ち着いてきた気はする。
舞台袖の小部屋から出て舞台にとんと立つと、暇だからか見に来ていた同じクラスの奴等がおーと、驚いているのか何なのか分からない声を出し、ほとんどが俺に視線を向けてくる。だが、それも少しすると一気に減る。
同様に衣装を着込んだ空間さんや他の序盤に出番のある脇役だったりも舞台に立てば、そちらに逸れ、苦笑いで止まっていた自分の表情が僅かながらほどける。
「それじゃー、曲流すから自分のとこ行ってー!」
名の知らない女子が手をパンパンと叩いて声を放てば、俺含めて舞台に立つ全員が立ち位置に向かう。
衣装を着ては始めてだが、こうして通すのも舞台に立つのも結構な回数。皆、慣れたものでそこに矢印でも指しているかのように各々の初期位置に間違うことなくぴたっと足を置く。
最初のシーンは、王子が舞踏会にて使用人として働いていた平民の彼女と出会う場面。
通しの練習が始まった。
…通しの練習や細かい動きの確認を済ませておよそ30分。
校舎全体に鳴り響いた文化祭開始が近い事を告げる実行委員の声。
聞き漏らしを減らすためかその連絡がまた頭から繰り返されるのを聞きながら、役のある人たちは舞台上からそそくさと退散していく。
文化祭が始まってすぐ、何処かの部活によるパフォーマンスが行われる。その人達に無理を言って貸してもらっているから長居は出来ないと劇の指揮していた女子が言い、ひとまずそれにて劇団は解散。
衣装のまま文化祭をうろつく訳にもいかず、また袖の薄暗い小部屋に戻り、西谷と彼彼女に手伝ってもらいながら衣装を脱いでいく。
「どう?動きにくかったりはしなかった?」
衣装を脱ぎ、適当にそこらに纏めて置いていた制服をぱっぱと着ていると彼彼女が尋ねてくる。
「あぁ、まぁだいぶ」
「そっか。少し長かったりとかしたら直しとくけど?」
「いや」
「うん、分かった」
話す彼彼女の視線は衣装一点で、その手に持たれた衣装が綺麗にぱたぱた畳まれていく。両手で抱えられるぐらいに小さくなった衣装を見て、西谷が凄いな…と呟く。
「俺ほとんど手伝えなかったけど…この出来見ると、なんかそっちの方が良かったんだなってすごい思う」
この衣装はほとんど彼彼女の手によって出来上がったものらしい。
確かにその結果素晴らしい完成度になってはいるが、俺がここまで身体を張っているというのに西谷はそれで良いのかと冷たい視線を送れば、苦い顔と一緒に彼の視線はすうっと俺とは反対に逃げる。
そんな西谷に彼彼女は救いの手を差し伸べた。
「ちゃんと手伝ってくれてたよ?布とか足りなくなったらすぐに買いに行ってくれて、お陰で僕も集中して作れたし」
本当に助かったよ?と彼彼女が念押しすると、西谷はそう?と心底嬉しそうに口の端をほどく。
彼彼女は畳み終えた衣装と細かい装飾品を『1-C』と手書きの文字が書かれた紙の貼り付けられた段ボール箱に丁寧に入れ、その蓋を閉じて近くのテーブルの上にかたんと置いた。
それと同時に小部屋の扉がとんとんと誰かにノックされた。
「着替え終わった?」
扉越しに聞こえてきた女子の声は海柱さん。
大丈夫だよーと彼彼女が返事をすれば扉はがちゃんと開けられ、やはり海柱さんが入ってくる。念のためか最初に入ってきたのは頭だけで、俺が制服なのを確認すると外に置かれていた身体も付いてくる。
「なにか用事?」
「うん。劇の始まる一時間前にはここに来て準備してって連絡。あと、片付け終わったらそのまま解散」
彼彼女の質問に海柱さんがそう答えれば、それじゃあと彼彼女は小部屋から出ていく。残されたのは俺と西谷と海柱さん。
これが赤の他人ならばじゃあ俺もと続いて部屋を出れたが、今日の日を目指して進んでいた作戦もあってそれは叶わない。
何より扉の前に海柱さんが立っていて小柄な彼彼女はするりと通れたが、俺が通るには何かしら一言、もしくは出ると示した視線が必要。
しかしその行動は、きっと会話の始まりを告げるだろう。
「もう今日なんだね、西谷くん」
かといって黙って立ち尽くしていても、こんな風に誰かしらが口を開いて確認が始まる。
海柱さんの言葉に西谷は深く頭を降り下ろし、戻すと不安げに口を動かした。
「空間さん、なんか俺のこと変に言ってたりしなかった?あんまり衣装も出来なかったし…じ、邪魔とか」
「んー、別に?帰りとか話振ってみたけど普通に頑張ってるねーって。それだけ」
「それは良いのか悪いのか…」
取り除かれなかった不安が、西谷の表情と声に曇りを残す。
「嫌われてはないと思う、うん」
片やあっけらかんに話す海柱さん。
成功して欲しいという意思はありそうだし、実際そうだから手伝ってくれているのだろうが、表情に動きが少ないからありのままの事実を淡々と話している感じがあって、良い風には受け止められない。
「八つ橋は?この後どうするの?」
真実の分からない答えに頭を悩まされてる西谷をよそに、彼女の疑問は俺にも及ぶ。
「あー…」
考えてみれば公開告白や劇の事ばかりで、文化祭についてはほとんど考えていなかった。何処に何があるぐらいは姉さんが見るついでに見て把握してはいるが、余裕の無さからか行きたい場所は見繕えていない。
まぁ居るかは分からないが、とりあえずこの後行こうと思っていた場所の名を口にした。
「部室に一回寄ってみようと思ってる。部長がいるなら色々確認も必要かもしれないし」
「…部室あるんだ」
気のせいか、彼女の瞳の奥がきらりと輝いた。
相づちの温度としてはへーとかふーんと同じ、興味が無いときぐらいのだった筈なのに、感じた違和感。
海柱さんは俺たちの部活の事を多分告白を手伝う部活と認知しているかもしれない。
その上部室までバラしてしまえば、頼んでもないのに誰かの頼みを持ってくる可能性もある。
考えすぎであればそれで良し。
別に外しても脳の疲れだけで済むが、もしも本当になれば身体的にも疲労が来かねない。
西谷みたく俺も未来に不安を感じていると、また校内放送。
あまり人の出入りの少なそうなこの小部屋にも一応時計は掛けられていて、見れば文化祭開催時刻までわずか。
急いで出た方が良いだろうと目配せをすると、西谷から向けられてきた視線が俺から外れない。
「なに」
「その…八つ橋」
八つ橋呼びが西谷にまで伝染した事に不満を感じたが、それを指摘して良いのか躊躇うほど彼の目は俺をしっかりと捉える。揺るぐ事も逸れることもせず、その真剣さは声にも伝わる。
「八つ橋がここまでしてくれたんだ。俺、空間さんに…この気持ち、ちゃんと全部ぶつけるから」
「…あぁ、分かった」
何度も見てきた彼の真面目で一直線な部分だが、今日のが一番強く感じられた。
お陰で、西谷についてろくに知らなかったこの目も、どういう人間かを焼き付けられた事だろう。それは一部分かもしれないが、何も知らずに自分で決めつけて思い込むよりかは遥かに良い。
と、海柱さんの不満そうな声がねーと割り込んでくる。
「私にはないの?お礼」
「あ、あぁ海柱さんも」
「ふふ、じゃあ」
そう言って前にすっと出された海柱さんの背中向きの手。
「別にそこまでは…」
円陣の誘いなのだろうが、何というか普通に気恥ずかしい。が、西谷は俺とは違いかなり乗り気で海柱さんの手に自分の手を重ねると早くと視線で急かしてくる。
「……」
渋々俺も手を重ねれば、二人のえいえいおーの掛け声と共に三人の手は上へと上がった。
文化祭が開催して僅か、休日もあって早々に校舎に人は溢れ、部活棟の窓からはごった返す中庭が見えた。
普通棟、中庭、体育館、グラウンド。
文化祭中一般に解放されているのはこの部分で、部室棟については学生のみ。
流石に全てを解放させてしまっては学生が準備する場所の確保も危うくなる。だからとそこは一般の立ち入りを禁止していて、左側の一階廊下の所には通行禁止のポールが突っ立っていた。
それを越えて廊下を進んでいけば、クラスの出し物で使うのだろう箱を抱えて駆けていく奴だったり、中庭をボーッと眺めて休憩を取っている奴もいた。
そんな人達の横をとたとた抜けていき、探偵部の名前を一時的に拝借した、名無しの部活の扉をがらりと引く。
「おう」
「どうも」
椅子に腰掛けていた部長。
前は手にスマホが収まっていたが、今回はたこ焼き用の楊枝。スペース的に考えて八個あったたこ焼きだが、今はもう残り半分に差し掛かっている。そしてそれが、部長が文化祭を楽しんでいるという証拠になる。部長のその姿を見る度、不安は形を大きくしていく。
とりあえず、俺も目の前の椅子を引いて腰を下ろした。
と、見落としていたが中身を減らしたたこ焼きのパックの横に、もう一つ同じ未開封のパックが。
「同じの二個食うんですか?」
「んー、いやお前のだ。あれこれやって貰うんだしお詫びにな。いらないか?」
たこ焼きのパックが俺の目の前、テーブルの端ギリギリまで部長の手でぐいっと押される。買ってきたばかりなのか、パックからの熱が肌に触れてくる。
「…それってつまり、これ食ったら告白確定になるんですよね?」
「なるな」
えーと文句を込めた視線を投げれば部長は俺をジッと見返してくる。
「食わなくても出てもらうがな」
「…じゃあ食います」
食わなきゃもったいないとパックを掴み、適当に楊枝で刺したたこ焼きを口にぱくっと放る。文化祭だし期待は薄かったが意外にもまぁまぁ美味しく、少し多めに掛けれられたかつおぶしが口の中で香りを残す。
いつもは何処かの部活の快活な声が部屋に届くが、今日は子供の無邪気な声が主。
それに耳を傾けていると、最後の一個を食べ終えた部長がパックの蓋を閉じてから話を切り出した。
「そういや西谷には会ったか?」
「えぇ、さっき」
「どんな感じだった?」
「なんか結構張り切ってました。ここまでやってくれたんだからって」
記憶を引っ張り出して何の脚色も加えずに純粋な感想を述べる。
「そうか…なら」
言葉はまだ続くかと思ったが、その先は部長の頭の中で終わったらしい。少し待ったが現れたのは沈黙だった。
なら、という言葉を用いたという事は彼のやる気の具合は作戦を左右する物なのだろう。
「……」
その内容についてまた聞いてみても良かったが、どうせ答えは今までと一緒な気がして、声を使おうとした自分の口をたこ焼きで封じさせた。
…そう言えば、公開告白の件で一つ気になっていたことがあった。
たこ焼きを飲み込んだ口で「あの」と沈黙を破った。
「どうした?」
「公開告白ですけど、そもそも俺が手挙げて選ばれるんですか?他の人が何回も選ばれて終わり、とかあるかもしれないですけど」
ようじをパックの縁に置き、一旦間食の手を止め尋ねる。
公開告白が一体どれだけの盛り上がりを見せるかは見当が付かないが、口にした可能性はそこそこあり得ると思っている。本気か悪ふざけか読めないが、調子に乗りやすい男子高校生は数多にいる。ここだけ例外な訳ない。
具体的な作戦内容こそ知らないが、やはり鍵を握るのは公開告白。作戦の話を最初にした時も部長が一番に出してきた話はそれだし、そこら辺確実性をどうしているのか。
「安心しろ、絶対選ばれる」
聞き覚えのある言い方に言葉を返す。
「…またなんか仕組んだんですか?」
「いや仕組んだとかじゃなくて…少し考えてみろ」
「はあ…」
言われて、頭に意識を向ける。
俺が考える体勢になったのを見て、部長は確実になる要因を話し出した。
「公開告白はお前の劇が終わったすぐ後だ。つまり、体育館に居たほとんどの奴の印象にお前が残ることになる」
「…あんまりそれは想像したくないですけど」
「大丈夫だ。人の噂も75日と言う、どうせ皆いずれ飽きて忘れるんだ。八つ橋だって中学の時に聞いた人の噂とか、ほとんど覚えてないだろ?」
「…まぁ」
思い出そうと思えば幾つか出てくるが、ネタ元とか細かい部分とかは霧で覆われている。
俺もそんな感じに、劇でなんか主役やってた人、ぐらいの認識で終わるのだろう。ましてや高校生。噂が広まるのも早ければ、飽きるのも早い。いつだって求めるのは新鮮さ。無念、俺はタピオカにはなれない。
確かにと頷けば部長は、話を戻すがと本題に引き返す。
「で当然、公開告白でMCをやる奴の頭にもお前は残っている事になる。ついさっきまで主役やってた奴が手挙げて、見逃さないなんてことないだろ?よほどひねくれてない限りな」
「もしもひねくれてたら?」
「そんな奴はMCなんてやらない。納得したか?」
「…はい」
中々説得力はあったと思う。
勝手に言い負けたような気になって返事が小さくなってしまい、それを聞いた部長は勘違いしてしまったのか「不安なら劇の衣装でも着れば良い」と案を立ててくる。
それに考えときますと言って、またたこ焼きタイムを過ごしていると部長が席からがたりと離れる。
「何処か行くんですか?」
「あぁ。あ、部屋の鍵だが別に盗られるような物ないし、適当で構わないからな」
そう言い残して、部長は近くのゴミ箱にたこ焼きのパックをぽいっと捨てると、じゃあなと扉の奥に消えていった。
なにか、事前の準備でもしに行ったのだろうか。
もう一個、たこ焼きを口の中に放り込んだ。
…ラストのたこ焼きを食べ終えて、時計をふと見上げてみれば、時刻は午後を目指して一直線。
短針と長針が12で重なるまでもう少しと言ったところで、俺もたこ焼きのパックを捨てて部屋から出る。鍵は適当で構わないと言われていたし、そもそも鍵を持ってないしで、不用心ながら鍵を掛けずに中庭へ足を運んだ。
いつもは人の来ない右側も、今日ばかりはベンチが足りないぐらいに人で埋まっていて、群れを成した数多の声は喧騒として耳の中に響く。
しかし、聞き慣れた声というものはこういう時でさえ意識を簡単に奪い去る。
「おーい」
家でいつも聞いている声が呼んでいる気がして、そっちに顔を向けてみれば、居た。
ベンチに腰かけてお酒の代わりにプラスチック容器のジュースを飲む姉が。
先に気付いたのはあちらで、俺が後から視線を合わせるとこっち来い来いと手招く。
「……」
だが高校生ならば、いや学生全てが当てはまる心理として、こういう学校のイベントで身内と直接会うのはなるべく避けたい事である。そしてそれは友人が多ければ多いほど強くなるもの。
友人知人に身内を会わせる、見せるのは、言いがたいむず痒さのようなのがある。
知人がそんなに多くない俺でも遭遇は避けたい事。
視線こそ合ってしまったが、人混みに紛れて流されちゃったとゆらりゆらり去れるんじゃないかと、そう思い少し歩いたところで、肩に誰かの、確実に姉の腕だろう物体がぐるっとマフラーみたく巻き付いてくる。
その際、ぐげっと濁った声が漏れた。
「なんで逃げんのさー。来るって話したじゃん」
「いや…別に良いでしょ…」
幸いにして、賑やかさというのはこういう行動に対しての周りの目を少し和らげてくれる効果がある。真横を抜けてく人が密やかに横目を向けてくることはあれど、一斉に集結したりはしない。
「もー…ま、分かるよ。私も昔、文化祭でお母さん来た時そんな感じだったしー」
「…そう」
「でさ、お昼ってもう食べた?」
「いやまだだけど…」
たこ焼きこそ一パック食べたが、流石にそれだけでは胃は満たされない。
「じゃさファミレスでも行かない?久しぶりの外食♪」
「外で食うの?」
折角の文化祭で、きっとあるだろうお昼に向いた出し物を無視するのかと聞けば、だってさと姉さんは自論を言う。
「高校生を三年間やってたお姉ちゃんの体感として、こういう文化祭の食べ物はアタリハズレが結構激しいの。だったらファミレス行った方が絶対でしょ?」
「まぁ…」
そこで蘇った前の高校の文化祭での記憶。
ウェイターやってた身として覚えているが、うちの出し物の料理は多分、ハズレに該当していた。
衛生的な観点からと食材に細かく制限が掛かり、唯一許可された冷凍食品をごちゃ混ぜにして出した結果、お客の反応は皆苦み走った顔。今回、俺がそのお客の立場になるかもしれない。
「どうする?50パー狙ってみる?」
「いや…ファミレスで」
「りょーかい。あ、劇の方ってだいじょぶ?遅れたりしない?」
「それならまだ全然」
ファミレスで六時間も消費するのは逆に至難の技。
他の喫茶や簡単なゲームなんかをしているクラスとは違い、シフトが無く、時間が来るまで暇でいられるのはありがたい。しかしそういう普通が無いというのはやることが特殊である証拠。
「よーし、じゃしゅっぱーつっ!」
…劇の開幕まで残り六時間。