2 順応とステータス
[災暦1482年 6月18日 21:00]
あのお爺ちゃんの子供に、半強制的になって早1ヶ月。
1日の7割以上を寝て過ごしている私だが、今まで生きていた世界とは違うこの世界について、少しずつ理解し始めてきた。
この世界はまるでゲームだ。
明確にどんなゲームなのかと聞かれれば、ゲームをあまりやったことがない私には説明できないが。
とりあえず、子供の頃に夢見た不思議な生き物と魔法が出てくるような世界だと思って欲しい。
ーーまぁ、少し違うことといえば、その魔法。
この世界では魔術だそうだが、それを使って人同士や人間の敵である異種族と言われる亜人などを殺すためーー大半の魔術が使われていると言うことだろうか。
全くーーどの世界でも力がこんなことに使われていると思うと、本当に悲しく思う。
「エルよ......何故そうすぐに転生したことを、受け入れられているんだ?」
(え? ーーあぁ、ちょっと育ってきた環境が特殊だったから、かな?)
「特殊とは?」
(私のいた世界って、この世界の魔術はなかったけど、その代わりに超能力があったの)
「超能力とは神通力のことか?」
(そうそう。あれ? この世界にも超能力って言うかーー神通力ってあるの?)
「一般的にはあまり知られてはいないが、ごく稀に使えるものがいるとは聞く。お前さんがいた世界では、誰しもが神通力を使えたのか?」
(ーーまさか、ごくごく一部の人間だけよ。それに、さっきも言ったけど、私の育ってきた環境が特殊だったからこそ。神通力の存在を知っていただけで、普通の人達はそんな力あることなんて知らなかったわ)
今の説明でお爺さんは、私がなぜこの状況を受け入れられているのかを、なんとなく理解してくれたようだ。
一応説明しておくと、今私がお爺さんと喋れているのも精神魔術の一つのおかげだそうだ。
「それにしても、我が子エルよ。お前さんのステータスは謎が多すぎやしないか? なぜバジリスクの王にちゃんと話を聞かなかった?」
(お爺ちゃん...... あなたはもしかしてボケてるの? まず私は貴方の実子じゃないし。あのトカゲに話を聞く前に、殺してしまったのはお爺ちゃんよ?)
「まぁそうだが、これを見てみろ。わけがわからん」
お爺さんはそう言うと、赤い石が埋め込まれた黒いネックレスを渡してきた。
そのネックレスを受け取り、赤い石の部分を握ると前には、俗に言うステータス画面なるものが現れる。
名前:エル・バルレッチ
性別:男
種族:人間
年齢:0
身分:準貴族(C)
ギルド:-
商業:-
称号:幻想師の隠し子(A=C)
能力:SS=C
評価:Cランク
装備・魔具
・龍帝型認証盤(記録石)
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所持金:----G
能力値
・HP(体力):1000
・VIT(生命力):200
・INT(知力):5000
・MP(魔力):0
・DEX(器用):5000
・MND(精神・魔術耐性):300
・STR(攻撃力):3
・AGI(敏捷):3
・LUK(運):77
魔術適性
・火.水.地.風.雷.木.毒.氷.光.闇.無.聖.精.陰.陽
『スキル』【アビリティ】
『魔力断絶SS』【環境適応SS】【集中力向上S】
【超回復S】【言語理解S】・----
・----・----・----
[災歴1482年 6月18日21:03]
「ーーお前のステータスは異常だ」
(いや、私もお爺ちゃんに聞いて、確かにおかしいとは思ったよーーでも私もなんで自分がこんなステータスなのかはわからないのよ)
ーーそう。お爺さん曰く、私のステータスはおかしい。
一体何がおかしいかと言うと、お爺さんが言うには常人の数十倍の知力と器用さに加え、魔術の根本たる知力が高いのにも関わらず魔力がなくーー魔力がないにも関わらず全属性の魔術適性がありーー基本的にSランクが最上位であるこの世界において、生まれながらにしてSSランクという馬鹿げたランクを持っていることだそうだ。
おそらくこれが、あのトカゲの言っていたーーウロボロスの生まれ変わりと言うのと、何か関係があるのだとは思うが。
お爺さんが殺してしまった以上、もう知ることはできないのだろう。
「とりあえずお前の正式なランクは、Cランクになるようそのネックレスーー認証盤と言うが、それで偽装してある。だから心配する必要はないがあまり気づかれるような行動はするなよ」
(......私赤子ですよ?)
小さくため息をつく。
移動することもままならない赤子である私が、逆にどう気づかれる行動をすればいいのか......
(ーーッ!)
「どうした?」
(ねむい......)
「それなら眠れ。赤子はよく眠るものだ」
たしかにそうだ。息子の時も生まれてからしばらくの間はずっと寝てて、もしかしたら病気かも知らない。なんて思って病院に連れて行った事もあった。
まさか私自身がこんな経験をするなんて思ってもいなかったが......いや、よく考えればこれが二度目なのか......
(......っん? あれ、お爺さん?)
「どうかしたか?」
(昨日私のステータス見たときに、自分もSSランク......みたいなこと言ってなかった......?)
「言ったが?」
(......なんでやねん!)
って、あぁ......でもねむい。
Sランクが基本的に最上位だといっていたお爺さん自身がSSランクだと昨日聞いたことを思い出し「このお爺さん、何者なんだろう」と思い。質問しようとしたが、抗うことの出来ない眠気さに襲われ、陥落した。
誤字脱字わからない表現があれば教えてください。
意見大歓迎です。ありがたく読ませてもらいます。
順次修正して行きます。