プロローグ・死んだけど、息子が無事ならそれでいい。
日本のとある山の中、一軒の日本式に作られた豪邸の庭からは大きな池が見えるそんな場所に、私は座っていた。
空を見上げれば満天の星が目に映り。
山奥で空気が綺麗なおかげが、それとも今が冬のだからかーーはたまたその両方のせいなのかはわからないが。
幻想的に一つ一つの星たちが輝いて見える......
私は殺されるーー後悔は微塵もない。
大切な息子のために死ぬのだから、後悔するはずがない。
それなのになぜだろう......まだ幼い息子を思い。いずれ大人になる姿を思い描くと、涙が溢れて止まらなくなる。
息子は平和な世界で生きていける。
彼奴はそう約束した。だから、もういい。
ーー彼奴と呼ばれる人物とした約束。
それは私の息子を守ってもらう代わりに、私がある人物を助けると言うものだ。
ある人物が一体誰のことを指して、これから死ぬ私にその約束が守れるのかは分からないが、きっと何かしら意味があるのだろう......
ーーまぁ、何はともあれ私は死ぬ。
私にこの先があるのかわからないが、私は微塵も後悔してない。
ーーーーーーーーーー
(............)
朦朧とする意識の中目を開けると、私は真っ白な正方形の形をした空間の中にいた。
周囲を見わたそうと思い後ろお見た途端。
「ーー初めまして紀代子さん」
「うぁ!?」
目の前から突然の声をかけられ、声の聞こえた方を振り向くーーするとそこには白髪で、手首や首を頑丈そうな鎖に繋がれる小さな少年がいた。
「えっと、はじめまして......って、なんで私の名前を知っているの? ーーというか首は大丈夫!?」
名を呼んできたのはーー綺麗な白髪の少年。
鎖に繋がれる首からは血を流し、とても痛そうに見える。
「はい、大丈夫です。気にしないでください」
「それならよかった。ーーって、んなわけないでしょ! ちょっと見せてみなさいーー外してあげるから!」
ふふっと、白髪の少年は笑いーー
「まるでお母さんみたいだ......」
と小さく呟いた。
「そうよ。私はお母さん。あなた達のじゃないけどね。あなたのお母さんは?」
少年にそう聞くと、下を見て少し悲しそうな顔になった。
きっと、何かお母さんにあったのだろう。
「......ごめんなさい」
「気にしないでください。母さんは死んだわけじゃありません。ただ、僕がもう会えないだけです」
「それってどう言うこと?」
もしかしたら、この少年がある人物かと思い聞いてみようとするとーー
「僕のことはいいです。ただ貴方にーー貴方にしかできないお願いがあります。名前は言えないですがーーある人を助けて欲しいんです!」
「ある人って......」
少年が言うある人とーー彼奴の言っていたある人物が、同じ人を指しているのだろうと気づき。
白黒の道化師のような服装をした彼奴ーー収集家のにやけ面が頭に浮かぶ。
「一体貴方と収集家に何の関係があるのかわ分からないけど、それが私のやる使命なのよね? なら任せて! ーーなんだって、やってやろうじゃないの!」
「えっと......質問とかは無いんですか?」
少年が何かに驚いたように質問してくる。
何か驚くようなことを言ってしまっただろうか。
「質問して答えてくれるの?」
「......ちょっと、だけなら?」
疑問風に返答する白髪の少年を見ながら、息子と影を重ねて微笑んでいるとーー
「おい! あんまり喋れないって言っただろ?」
「ごめん......」
白髪の少年が現れた時と同じ様に、突然ーーやれやれといった表情で黒髪の少年が現れた。
白髪の少年を叱り、私の目の前まで近づいてくる。
「ーー紀代子さん。あまり事情を話すことはできません。ただーー貴方にはこれから異世界に行ってもらい。ある人を待ってもらいます。ある人と出会えるのが一体いつになるのかはわかりませんーーでも、待ってください。それと、ある人が現れるまで、貴方は自由に生きてください......最後に、ごめんなさい」
「ーーッン!!」
黒髪の少年は簡潔に話をすると突然ーー私の胸に手を突き刺した。
まさか、死んだ後にまたーー死ぬ感覚を味わうことになるとは思ってもいなかったが、きっと本当に死ぬわけではないのだろうことは、少年の瞳を見ればすぐにわかった。
少年のその瞳は、何か目的のためーー必死に頑張っている。
そんな、真っ直ぐな瞳をしていた......
誤字脱字わからない表現があれば教えてください。
意見大歓迎です。ありがたく読ませてもらいます。
順次修正して行きます。
至らないですが、見てくれた方は本当にありがとうございます。