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異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第5章 20年の終止符
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第5-0話 敗北を知り学ぶ

 光は全く入らない冷たい地下室、そこに鎖で繋がれ雄叫びを上げながらもがく庄司。

 体から煙を上げその身は焼け爛れ、傷も癒えずダメージが蓄積しているのがひと目で分かる。

「そうだショージ!君はあの脆弱な少年『オカノ ジン』に敗北した!屈辱的だろ!辛いだろう!君の輝かしい覇道に泥を塗った奴を思い出せ!君の怒りはこの炎に負けるのかショージ!!!」


 楽しそうに笑いを上げ、大型の火炎放射器の様な魔道具で庄司を焼き、彼に苦痛と敗北したという事実を刻み込む男フェミリア。

「フェミリア”ア”ア”!!!モットダ!モット温度ヲ上ゲロォォォォォォ!!!」

 声帯も焼け体も徐々に炭に変わっている筈なのに、庄司は獣の様な雄叫びを放ち鎖に繋がれた体を激しく揺さぶっている。

「あらあらまだ続けていたのね、私も少し驚いたわ」

 闇から姿を表したロザミアは、完全に絶命している男を闇から吐き出し、フェミリアに譲り渡す。


「フェミリア確か新型の魔人種まじんしゅが出来上がったと言ってたわね、こいつに使えるかしら?」

 火炎放射器で炙られている庄司を無視し、死体の男に興味を示し始めたフェミリアは、骸骨達に実験室へ移すよう指示を出すと、ロザミアに魔道具の使い方を説明し、一目散に走り去っていく。

「なんで私が……えーと……ここが、こうで良いのよね」

 温度の上昇と低下を司るハンドルを回し、温度を徐々に上げていくロザミアだが、温度の上昇のしすぎにより室内温度が上がり、コントロールパネルも火を吹き上げ大破する。

「あっあら……間違えたかしら」

 次の瞬間に火炎放射器は、大爆発を起こし部屋ごと吹き飛ばす。ロザミアは魔術障壁で防御をし、ダメージは全く無いが庄司は爆炎を全身に受け止め、引きちぎれた鎖と共に地面へ崩れ落ちる。


 人の形をした炭に変わった庄司だと思われたが、ロザミアも彼の不死身具合には少し驚いた。瓦礫と炭の中から姿を現し、身に纏った炭は徐々に崩れ落ち、中から新しい細胞で構築された艶と張りの有る肌が現れた。

「あはははははは!俺は新しいステップに立った!あいつよりも上の所に立ったんだ!!!!」

「死んで無くて良かった……と言うべきかしら。でもショージ……」

 月夜の光を全身に浴び自分の新しい力に酔いしれる彼に、ロザミアはため息混じりに声を掛けた。


「前は隠しなさい。みっともないわ」

 

 これがベルードの加入する、数時間前の話なのだ。


~~~数日後・????~~~


「……で、ランペリオン君。答えは出たかね」

 紅茶を啜りながら、ベルードに先日の答えを聞くべくロザミアとフェミリア。

「私が蘇った経緯もわかりました。ではこちらから一つ条件を出してもよろしいですか?……ロザミア様紅茶のおかわり、お入れします」

 ベルードはすでにロザミアの従僕の様に、彼女の空いたカップに追加の紅茶を入れ、横に立ち直しフェミリアの方へ向き直る。


「赤岩家が敵となれば、ギリアム・ツェッペリンと戦うのは必須。勝った時は、彼を私の支配下に置いても良いという条件でどうでしょう」

 ギリアムに関して、敵の戦力として重要視しているが、後の処遇をどうするとは決まっていなかったため、彼らは2つ返事でベルードの条件を飲んだ。


 そしてベルードは初仕事として、フェミリアに地下室まで案内され、重く閉ざされた鉄の扉をくぐった。

 開けた瞬間に室内から大の男の生首が此方へ飛んでくると、べルードはそれを簡単に受け止め、傷口をじっくり見て解析する。

「ほう……力任せに引きちぎられ、所々噛みちぎられたような後。死体の処理が私の初仕事ですか?フェミリア様」

「ははは冗談を、君の初仕事はあそこの中央に居る、青年の家庭教師をしてもらおうかとね」


 剣を構えた戦士や、魔術の準備をし迎撃体制を取る魔術師、はたまた徒手空拳で応戦しようとする格闘家。その中央に上半身裸で、暴れまわる庄司が居た。

「並の格闘家では相手にならなくてね、彼の経験値にならないんだ。そこで君に白羽の矢が立ったというわけだ」

「はぁ…具体的には、どういった事を」

「彼は確かに攻撃に関しては、紛うこと無く強い部類だ。そして血液の補充さえ有れば、死なないという不死性。だがそれ故か、防御は素人以下、よって君にはショージへ防御や戦術テクニックをレクチャーしてほしい」

 ひとまずベルードは庄司の戦い方を観察し、これからのプランを練っていく。


 庄司は剣を構えた男の頭を持ち、そのまま掴み上げ股間部をもう一つの手で掴む。そのまま本を閉じるくらい簡単に、背骨をへし折ってしまう。

 魔術師は火炎弾を発射するが、剣士の死体を盾にやり過ごし、それを魔術師に向けて蹴り飛ばす。


 横から格闘家の鋭いアッパーカット、庄司は目もやらず気配だけで回避し、両手を組み格闘家の後頭部へ叩き込む。

「どうかねランペリオン君、私の作品は」

「確かに攻撃を受ければ、私であってもひとたまりもないでしょう。でも完全に攻撃の軌道が読めるし、なによりも発生から次の行動までが遅い。それに防御も確かに素人以下」

 そう言ったベルード、彼は糸を出し庄司に向かい走っていく。


「フェミリア……なんだこいつは、新しい飯か?」

「いいや違うよショージ、彼はこれから君に技を教える君の師となる人物だ」

 無関心そうに返事をした庄司は、彼に構わず他の二人を喰らおうとするが、少し動いた所で体が完全に硬直した。


「何……しやがった……テメェ!!!」

「これから教育してもらう、師匠になる人にその口の聞き方は、少し見直す必要があるね」

 糸を解かれた瞬間、庄司は殴りかかるが流れる水の様に、ふらりと避けられ力を利用され庄司は頭から地面へ叩きつけられる。


 そこから片手一本で滅多打ちにされた庄司、いつもなら激昂して防御を捨てた特攻に走るが、仁戦やギリアム戦と時もそうだ、怒りに任せ暴れた結果負けたのだ。

 いやでもそれを自覚した庄司は、一度距離を取り拳を構える。

「ほう……ショージが初めて構えを……」


 それを見たフェミリアは、関心を現し近くの椅子に腰掛け、指一つで何処から召喚したか不明の骸骨兵を使役し、生き残っていた魔術師と格闘家を惨殺する。

「君達はこれからじっくり鍛錬に励みたまえ。食事や何か必要な物があれば私がこしらえよう、ショージ……次こそは奴らを殺して貰うからそのつもりで励むように」

 彼はそう言うと重い鉄の扉をくぐり、退出していく。



 敗北を知り、苦汁をなめた庄司はフェミリアの用意した家庭教師に、戦術の基礎や戦い方を伝授されていく。

 次に相まみえる時は、今までのような結果にはならないだろう。



To Be Continued

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