第4-18話 過去は付き纏う
ギリアムは蔵でありとあらゆる剣や、他の武具などを閲覧しユキが解説すると言った流れで、約3時間ほど楽しんでいた時彼女から質問が投げられた。
「そ…そう言えば、ギリアムさんは、何故ここに?」
その彼女の質問で、今の今まで完全に忘れていた「鍛冶師・ユキ」の【赤岩探偵事務所への招待】を任された事を思い出したギリアム。
「これがアカイワからの招待状だ、お前の他にもう一人雇うと聞いた、俺もまだ会ったことは無いがな」
「そう…ですか…あの!ギリアムさん!一つ聞きたいことが…」
そう言った彼女の口を、人差し指で押さえ沈黙するよう促す、そして彼は今までの嬉々とした少年のような顔ではなく、外の異変を感じ取った戦士の面構えとなった。
「質問は手早く済ませ、小さな声でな。…外に敵が居る、お前を狙ってか、はたまた別の目的か…表からさっきをビンビン感じる。」
コクリと彼女がうなずくと、先程よりか幾分小さい声で、ギリアムに質問をする。
「もし…私がアカイワさんにお仕えして…作った剣達は…その…人を殺す道具になるんですよね…聞きました…アカイワさんは…魔人という敵と戦っていると…」
「あぁ…そうだ…、剣は人を殺す道具だ。そして魔人とは言え元は人だ、お前がそれを拒否し「嫌だ」というなら断ればいい、それでお前を敵視することは無いし、何より赤岩はお前の意思を尊重すると言っていた、断ると言うなら俺が伝えておこう」
その事に戸惑いを隠せないユキ、いくら剣とは言え自分の打った物、それは作る者としては息子娘のような、自身の子供と何ら変わりない代物だ。
自分の作品を人を殺す為だけに使われる、というのは彼女自身、気持ちの良い話では無い。
ギリアムは彼女の返答を待たず、扉の方へと歩み寄っていく、彼女を守るようにただ真っ直ぐと。
「今回のアカイワからの命令は、お前の返事を持って帰る事。お前に死なれちゃ答えが聞けん、敵を排除したら答えをきかせろ」
扉を開けさっきを放つ者の前へと、姿をさらけ出すギリアム。
空中で佇みながら手を後ろで組む男、細身の体によく合った執事服に片眼鏡、そして特徴的な紫と金が混ざった瞳。
髪は女性かと見間違えるほど、長く美しい深い茶色。
「お久しぶりです、ギリアム先輩」
彼はそう言うと空中から、飛び降りギリアムと対等な位置に降りてくる。
「…久しぶり?、俺には執事なんてしてる知り合いは居ないが」
ギリアムがそう言うと、目の前の執事風の男は苦虫を噛み潰したように、恨めしそうにギリアムを見つめる。
「はぁ…、まぁ覚えていないというのも無理はありません、何より最後に会ったのは10年以上も前なのですから」
彼はそう言うと右手を振り上げる、それと同時にギリアムは宙吊りにされ、空中で固定された。
「…糸か」
固定されども焦る素振りは見せず、容易く糸を手刀で切断し、着地を華麗に決めてみせるギリアム。
「流石先輩だ…それくらいの拘束、振りほどく等容易と」
「何が先輩だよ、俺はお前のことなんざ覚えてねぇよ」
男は頭を下げ、右手を胸に持ってきギリアムに自分の名を名乗る。
「では…我が名は『ベルート・ランペリオン』、昔同じ師の元で暗殺拳を学んだ仲ではありませんか」
彼の名を聞きギリアムは、完全に彼の存在を思い出し頬から一筋の汗を流す、自分と同じ暗殺拳を使うのに加え、糸による多方向からの攻撃を可能にした彼との戦いは、守りながら戦うギリアムにとって非常に不利というのを察していたからゆえである。
足を開きゆっくと腰を落とし、左手を腰へ、右手を正面へと構える。
ギリアムに合わせてか、ベルートもギリアムと同じ構えを取る、それは挑発か彼なりの礼儀としてか。
互いの殺気が渦のように、濃密に絡み合い、その殺気はやがて重力をも捻じ曲げたかのような錯覚を見せた。
木の葉が揺れ枯れ葉が落ちた時、二人の姿は一度消えた。無から姿を表した二人は、けたたましい破裂音を挙げさせながら拳と拳、足と足で互いの攻撃をいなしていく。
「本当…ギリアム先輩は一流だ、あの頃よりも拳の冴えが一段と上がっている」
「あんときゃ俺の真似ばっかりしてた奴が、よくもまぁここまで出来るようになったもんだ。うざったらしい」
互いの拳が交わった時、衝撃波で周囲の土はえぐれ上がっていく。
するとそこからギリアムの死角めがけ、縦横無尽に行き交う糸が走らされるも、ギリアムは氷の盾を形成し弾く。
執事服の男 ベルート・ランペリオン VS 氷鬼の処刑人 ギリアム・ツェッペリン
開戦
To Be Continued




