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異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第4章 裏切り者をぶっ飛ばせ! 編
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第4-16話 鍛冶師の娘

 時は仁とアスタがデートをした日のもう少し後、この男ギリアム・ツェッペリンは【獣人国・亜人国家】へと降り、森の中を彷徨っていた。

「…確か住所にはこの辺りと…」

 一枚の紙に目を通しながら、ギリアムは森の中を歩いているのだが、泥濘んだ地面と生い茂る木々に、少々疲弊を隠せずイライラしている。

 通行人も居なけりゃ、茶飲み屋等の店もない彼は、木に腰掛け水筒に入ってる水を飲み、タバコを吸い地図を確認している。

「…ったく…、こんな辺境の土地で一人で住んでるのか…頭のおかしい野郎だな…」


 ぶつくさ文句を言っても始まらない、そう思ったギリアムは再度歩みを始めた。

 すると5分ほど深い森を歩くと、火の有る所なのか上空には、1本の煙柱が天に向かい伸びている。

 その方角へ歩みを進めると、ボロ小屋の隣に大きな窯の様な施設を設けた、一軒の民家が目に入った。


「この窯の作り…それにこの火のくべ方を見る所間違い無さそうだ…」

 窯を一通り見て回ると、ギリアムは小屋をノックし中に居るであろう人物に声を掛ける。

「すまない!赤岩探偵事務所から派遣されてきた、ギリアムという者だ。事前連絡したとおり話が有ってきた」

 それだけを告げると、小屋の中からゴソゴソと物音が聞こえ、扉越しに声が聞こえた。

「あわわわ…どっどうしましょう…ユキお客様お出迎えしたことなんか…」


 扉前でゴソゴソしている声の主は、何かに怯えたように扉を少し開け、身を半分だけ出しギリアムの前へと姿を現す。

「よっようこそ…アカイワ様からお話しは…ヒィッ!」

 そんな短い悲鳴を上げ、ギリアムの前から姿を隠す少女。

 ギリアム自身睨みを効かせたわけでは無いが、目つきの悪い彼にすっかり怯えた少女。


 そんな対応に少し頭に来たのか、ギリアムは少々強引に扉を開け、中へとズカズカ入っていく。

「客が来たのに締め出すとは、貴様常識を知らんのか」

 少し呆れたようにギリアムは、彼女に言うと近くにあった椅子に腰掛けた、それを扉付近で怯えていた彼女は、パタパタとキッチンへ駆けていく。

「あぅ…すっすみません、すぐにお茶を…」


 そう言う彼女は、しばらくするとキッチンから姿を現すが、その手に握られた盆はガタガタと震え、まるでその盆の上だけが震度6の地震が来たのかと思う程揺れている。

 そして彼女はギリアムが座る椅子の向かいにある、テーブルへと盆を置くが、置くに適した力ではないのか、激しく音を立てて置きその飛沫がギリアムへと飛び散る。

「熱っづ!!!」

「あわわわ…すっすみません!」

 彼女から手渡された手拭いで、顔を軽く拭きティーカップに入ったお茶を口に運んでいく。


「不味っずぅぅぅぅ!!!」

 口に含めば鼻まで透き通る不快感、そして後味の悪い苦味。吹き出さずには居られない、体がこの味に拒絶反応を示した。

「テメェ…何だこれは!!!!クソマズイにも程があんだろ!!!」

「ヒィっ…すみません」


 自分は客人という立場を完全に忘れ去ったギリアム、彼はキッチンの方へ勇み足で向かっていくと、到着するとすぐに完全にキレたのか発狂を始める。

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!何だこのキッチンの汚さは!!!」

 几帳面すぎる彼はというと、あまりの惨状のキッチンに発狂し、突然清掃を始めだした。



~~~25分後~~~

 落ち着かない様子の少女、そしてスッキリした様な表情のギリアム。

「これが茶の淹れ方だ。あんな高温で淹れてしまっては、せっかくの風味も旨味も全て逃げてしまうからな。飲め」

 そういった彼は、勝手にキッチンを清掃し、自分が納得行くように茶を淹れ直す。

「ほわぁ…おいしいです、えーと…おな…お名前は…なんとお呼びしたら?」

「ギリアムだ…ギリアム・ツェッペリン、さっき名乗っただろ。…あんたは?」

「私は…ユキです。ユキ・ヨーデル…です」


 彼女のファミリーネームを聞いた彼は、立ち上がり興奮を隠せずに居た。

「ヨーデルか!?あの名鍛冶師のヨーデルの娘か!?」

「あわわわ…そう…なのです」

 そこからヨーデルと言う、鍛冶師がどれだけ優れているか、どれだけの名作をこの世に放ってきたのか、とギリアムは熱く語りだし夜を迎えた。



 今回の目的の人物であるユキへと、接触出来たギリアムであるが、本来の目的を完全に忘れている彼は、ジュンから託された依頼をこなす事が出来るのか…

To Be Continued


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