第4-15話 ガルム闘争
体内の魔力を大幅に乱され、本来の50%も発揮出来ないガルム。
そんな彼と互角に戦うは、裏切りの騎士デレク。
プロレスラー顔負けに、手と手を交差させお互いに1歩も引かない、膠着状態に思えたが少しずつガルムが押し負けていく。
その時ガルムはデレクに持ち上げられ、近くの壁へ激突させられる。投げられた反動で、壁から打ち離れたガルムは、ロープの反動を利用するプロレスラーの様に喉仏へ、ラリアットを浴びるガルム。
体が180反転し、頭から地面へと激突する。
「どうしたガルム!さっきまでの威勢はどうした!!!あの一撃はまぐれか!!!」
馬乗りになったデレクは、左右から重たい一撃を爆撃の様に振り下ろす。
何度も続く殴打は、嵐のようにガルムへ降り注ぐが、ガルムも負けはしない。
降り注ぐ拳を掴んでから捻り、馬乗りになっていたデレクを投げ飛ばす。
「俺だって…正直お前の気持ちは解るよデレク…」
頭部から痛々しい程の出血をしながら、ガルムは歩み寄りながら、デレクに言葉を綴っていく。
「俺は3年前…ジュンと一緒に旅をした事がある…そして、その前にはアイツと戦った事だってある」
思い出を掘り起こすような、彼の言葉には妙な静けさと、重みが有った。
親が子を叱るような、そんな静かさと重みだ、デレクは己の消耗した体力と気力を少しでも回復すべく、その話をただ黙って聞いている。
「アイツは最初こそいい勝負をした仲だが、旅を続けるにつれ、俺達の差はどんどん広がっていった。…俺も1歩間違えればお前と同じだったんだ」
「今更そんな同情を買うような話!誰が信じれる!それに今話した所で、お前が私にした事は何一つ変わらん!!!!」
デレクの言うこともまた正論、自分の築き上げた地位・名誉・信頼、それらすべてをガルムにあっという間に超えられたのだ、嫉妬をするなと言うのが無理な話だ。
「あぁそうさ…何一つ変わらない…だから俺は過去の自分を見た気がして…お前を止めなきゃいけない気がするんだ!」
ガルムは駆けた、迷わず磁場空間にその身を投げ入れた。
「この磁場空間では貴様の本領は発揮できまい!」
そうデレクが言った時、ガルムの助走をつけたドロップキックは、デレクの顔面に当たり体制を崩させる、そしてその大きな見た目とは裏腹に、ガルムは空中で一回転し地面に手と足をつけ、下段回し蹴りを放ちデレクを転倒させる。
デレクは転倒するも、すぐさま倒立の体制に入り、重厚な鎧を身に纏っている事を忘れさせる身軽な動き、そこから二人はボクサーの様に拳と拳を打ち当てていく。
「貴様と俺を同じにするなぁぁぁぁぁっ!!!天才と凡夫…その差は一生掛けたとしても、追いつけはしないんだ!!!俺の何が解る!貴様に一体俺の何がぁぁぁぁ!!!」
「そんな事はない!!!俺に出来ない事をお前は出来るじゃねぇか!!!何故そうやって自分は凡夫と決めつけ、無い物ねだりをするんだ!それに人間は地位や名誉で、全て決まる訳じゃねぇだろ!!!」
その時ガルムの拳が、デレクの頬を撃ち抜く。
「人間の価値ってのはな…自分が背中を預けれる!自分の信用に足る人物に何人と出会えたかで決まるんだ!!!」
拳にガルムの魂が乗ったのか、デレクに体ではなく魂に重い一撃を浴びせていく。
「お前は嫉妬という自分の心に巣食う、闇に負け正常な判断を失ってんだ…そんな状態で俺に勝てるわけがねぇだろ!!!」
ガルムの拳はデレクの顎を上に打ち抜き、体ごと宙へ浮かした。
「(…俺の負けか…もう発動の為の魔力も…殴り合う気力も残っていない…)」
地面にデレクが落ちてくると、辺は静寂に包まれたが、デレクの気絶を悟ったマリードは仁との戦闘を投げ出し、デレクに駆け寄る。
「先生!!!先生、返事してください!!!」
「マリード…一時後退だ、雌雄決する日は、俺達の傷が癒え次第とする。」
なにか吹っ切れた顔をしたデレク、そして消耗の激しい仁とガルム。
「ガルム!そしてガキ!!!今日は一時撤退とする!!!だがもう俺は止められない!!!俺が止まるのは死ぬ時だけだ!」
そう言い残すと、マリードに背負われ彼らは姿を、夜闇の中へと消してゆく。
「ガルムさん…無事…で…良か…った」
仁は限界が来たのか、その言葉を残し地面へ倒れ込む。首から伸びていた、光のマフラーも姿を消し目から徐々に生命の光が失われつつある。
「おい!ジン!ジィィィィィィン!!!」
ガルムが揺さぶるが、仁からの応答は一切ない。
「はいはーい!ちょっとどいて欲しいッスよ~」
緊急事態というのに緊張感の欠片もない言葉遣いの、一人の少女は仁に駆け寄る。
「きっ君は?」
「最強様の所で、新しく働くことになった、ルナと申しますッス!種族は【サキュバス】ッス!」
語尾の「ッス」が特徴敵な、小悪魔的な耳と尻尾を携えた少女。
髪は背中を隠すほどの長さだが、1本の大きな三つ編みを作った淡い水色。
むっちりとした太ももを隠すようなズボン、上は胸を隠すためだけの下着型の布のみ。
新しい仲間のルナ、彼女は一体何者なのか?
To Be Continued




