第4-13話 磁場空間の騎士・隻眼の魔人②
ガルムVS白銀の騎士 デレク・グラッソワ 開戦
デレクに接近すればするほど、ガルムの体内魔力は乱れ常人であれば先のように戦闘不能となるこの磁場空間。
だがガルムは倒れない、デレクの積り積もった思いを受け止めるため、自分が引き金となり彼を狂わせてしまった贖罪として。
「ガルムーーー!!!貴様来てからのこの3年間、どれほど俺が惨めだったか解るか!!!」
デレクの拳はガルムの右頬を打ち抜き、そこから蹴りでの左腹を狙った一撃。
「貴様やアカイワジュンが来てからと言うもの、皆お前達ばかり!!!何が最強だ!!!何が全体指揮長だ!!!ふざけるな!!!俺が十年以上掛けて築き上げた努力を…お前達天才はすべて一瞬で持っていく!!!俺の努力を返せ!!!」
彼の悲痛な叫びは、いくら攻撃されても倒れないガルムの心に深く傷をつけていく。
その時に仁が吹き飛ばされ、中で交戦していたと思われる破裂音が止んだ…
土煙の中、それをかき分けガルムの前に姿を表したのは、顔の左半分が焼け爛れた黒と白の混在する髪を持った青年が、姿を表した。
「先生、こっちは終わったよ。もうあの子時期に死ぬから」
「そうか…良くやってくれた。俺もそろそろ決着をつけるとしよう」
デレクが白銀のブレードを抜いた時、ガルムの瞳に写っていたのは、その青年の持つ血に染まったナイフ。そして先の言いぶりからすると、仁は戦闘不能となったのだろう。
「死ねい!!!ガルム!!!その血で俺の恨みを流せ!!!」
脳天から真っ二つにするような、剣の一撃はガルムに当たるその瞬間、ガルムの拳は剣を破壊しそのままデレクの顔を殴り抜ける。
吹き飛ばされたデレクは、地面をゴロゴロと転がり壁に激突する。
「…こんなの悲しすぎるよ…俺が最初殴られてお前の恨みを晴らせれば…俺が死ぬことでお前が救われるならと思った…でもよ、子供が俺達の戦いに巻き込まれて、今生死の境に居る…」
大粒の涙をボロボロとこぼし、殴った拳も震わせるガルム。彼は決意した『デレクを倒す』
「ジュンならあの子を危険に合わせず、守りきっていただろう…でも俺はなんてちっぽけなんだ…子供一人すら守りきれないなんて…」
涙を流しながデレクと青年に歩み寄る、たった一匹の悲しみを背負った狼。
「これ以上…先生に手は出させない…僕は先生の最高の矛であり盾、先生の命が危ないとあれば僕は命令を無視してでも、あなたを殺す!」
眼の前に立ちふさがる、青年はその華奢な体格とは似つかず、ガルムと同等の剛力で交戦に入る。
互いに1歩も譲らない打ち合い、青年のナイフはガルムにかわされ、また数秒後の未来を見る青年の目で、ガルムは攻撃を見切られており互いに攻撃が当たらない。
紙一重の間合いで互いに殴り合っている、その時青年の背後から、幾重にもなる光の魔弾。
腹部の傷口からは、おびただしい出血の仁、だが倒れず眼の前の敵を見据えている。
「はぁ…はぁ…ガルム…さん、僕は子供…なんかじゃない…僕は『正義のヒーロー』だ!!!困っている人を助ける為にこの魔力を使うヒーローだ!!!」
仁は自身の咆哮で体を叩き上げ、心と体を完全に同調させ、へっぽこヒーローから彼は本物のヒーローへと姿を変える。
首の骨から魔力が長い帯状に伸び、マフラーの様な風貌に変化していく。
「ジン!!!生きてたのか!?」
「はい…でも…かなり傷が痛みます…長くは戦えないかと…」
「いいさ!!!お前が生きててくれるだけで!!!」
ガルムは仁に駆け寄り、大粒の涙をボロボロとこぼしているが、起き上がったデレクを見つめるとすぐに戦闘態勢に入った。
「ガルムさん…あの…魔人は僕が…ガルムさんはあの騎士を…お願いします」
「あっあぁ…でも本当に倒せるのか!?」
「わかりません…もしかしたら今度こそ…死ぬかも…でもこんな所でアスタちゃんを助けきれず!ガルムさんに頼ってばかりだと僕は赤岩さんに顔向けできない!!!!あの憧れに近づけないんだ!!!それこそ死んだと同じなんだ!!!」
仁の思いを聞き遂げたガルムは、拳を構えデレクを見据える。
「…死ぬなよジン、…お前もジュンも本当によく似てる。」
それだけ言い残すと、二人は散開し各々決めた敵と戦う。
正義のヒーロー ジン VS 隻眼の魔人 マリード 開戦
「デレク…立てよ、俺はお前の上司としてお前を止める!そして一人の大人としてジンの力になる!」
「貴様ぁ…良いだろう、剣は折れたが拳で貴様を殺す!発動!【アベリッシュ・レイド】!!!」
イーリア国 全体指揮長ガルム VS 裏切りの騎士 デレク・グラッソワ 開戦
To Be Continued




