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異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第4章 裏切り者をぶっ飛ばせ! 編
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第4-12話 磁場空間の騎士・隻眼の魔人

 白銀の騎士 対 ジン 開戦


 走り出した仁は、ガルムの静止を聞かずに一人単独で動いた。怒りを目の前の、白銀の騎士に向け。

「はっ!小僧、何をそんなに怒ることがある。何だ?あの少女を傷つけた俺が許せないか?」

 わかりやすく挑発する彼は、その兜の中では仁を嘲笑する様にほくそ笑み、弱体化している仁の攻撃を全ていなしている。

「貴方がどんな人生を送ってきたのか知らない!でも…、貴方は関係のない人を巻き込んで、アスタちゃんを傷つけた!僕はそれが許せない!ここで…貴方を倒しす!」

「倒す?戦場では生か死か、すなわち殺すか殺されるか…それに俺の憎悪は貴様には理解できない!」

 白銀の騎士は仁の振り下ろされる斬撃を、左の篭手で静止させ、そのまま体を回転させ仁の喉仏めがけ、重い回し蹴りを打ち込む。

 

 普段ギリアムやジュンと言った、この世界の化け物クラス人物達と稽古している仁からすれば、到底避けれない蹴りでは無い。

 だが発動された磁場空間の影響で、反応速度が遅れ切り合いすらままならない。

「ジーーーーーン!」

 あまりの勢いに、通りに隣接する一軒家の壁をぶち抜き、壊れた家具の中に埋もれる仁。

「これが俺達の作り上げた、魔封具の力。お前達の様に才能ある者達を潰すそのためだけに作り上げた。…さて、次はガルム…お前だ」

 ゆっくりと歩み始める騎士、それとは反対に磁場空間の間合いを読み切り、徐々に後退するガルム。

「天才って…俺は天才じゃねぇよ。それに何故お前は俺をそこまで付け狙う」

「白々しい…善人ぶって俺から地位も名誉も奪った男が何を言う!!」

 

 兜越しに怒りを露わにする彼は、憎しみだけを載せた拳をガルムに放つ。ガルムは磁場空間内と言えど、拳を打ち返し互角の力で相殺する。

「おいおいどうしたよ騎士様よぉ、その腰にぶら下げてる剣はお飾りか?」

「貴様を殺すのはすぐにでも出来る!だが!それだと俺の無念が晴れん!痛ぶってから殺す!!」

 均衡する拳を払い除け、騎士はガルムの特徴的に伸びた顎を蹴り抜ける。

「貴様が来てから、俺を取り巻く環境は変わった…、元あった地位はポッと出のお前に抜かれ、国王様の信用もお前の方が上、今まで俺が築き上げたもの全てを攫っていった!そしてお前はそれに飽き足らず、武勇の才もある。俺の気が晴れるのは…ガルム!貴様が死ぬしか無い!!!」

「んなもん…ただの言いがかりだろ…それになぁ…俺はお前の事を認めてたんだぜ。『デレク・グラッソワ』今お前の正体に気付いたよ…」

 ガルムが正体に気付くも、白銀の騎士デレクは微動だにしない。

「その通りだ指揮長、そして俺がこうして出張って居る理由が分からん貴様では無いだろう。デレク・グラッソワ!ただいまこの時をもちイーリア国へと反逆を開始する!俺の復讐と真の平等の為に!!!!」

「反逆なんて大義名分背負っちゃってさぁ…お前!それはただの八つ当たりだろ!だが…お前のその気持に気づけなかったのは俺のミスだ…いまここで俺がお前を止める!」


 デレクの背後から、無数の雨の様な魔弾が発射される。一つの魔弾は磁場空間の分解をすり抜け、デレクの鎧に当たる。

「っく!小僧!生きていたか!完全に首を折ったはず!」

「…っ、た…確かに、あのまま当たっていたら…僕は死んでいた…でも…ギリアムさんが教えてくれた技術…赤岩さんから貰った正義への思い…それに少しでも恩返しする為に僕はまだ死ねない…」

 額や肩等の体の至る箇所から出血している仁、蹴りが仁の首を狩る瞬間、半身だけ後ろへ飛び直撃を免れた仁、だが威力は完全に殺せず怪我はしてしまったようだ。

「それに…僕は今考えなしに魔弾を撃った訳じゃない!ガルムさん!背後です!背後は磁場空間の影響が薄いです!」

 この極限状態の中で仁は、磁場空間の仕組みを少し理解した!


「…来たか」

 デレクはそう言うと、ジンの方など全く気にせずガルムに歩み寄る。

「先生の弱点を見破ったのは称賛を送るよ…でもね、先生の矛であり盾である僕が来たからジン君って言ったけ?君はここで死ぬんだよ」

 ジンと背丈は同じ程の、顔半分が焼け爛れ左目が失明した少年、短い短剣2本を携え仁に襲いかかる。

「マリード…城への行進準備はどうだ」

「先生の合図でいつでもいけますよ!さぁっ先生!早く合図を!反逆者なかま達も今か今かと待ち望んでおります!」

 仁と激しい切合いをこなしながら、少し興奮気味にデレクに首尾の状況を語るマリードという少年。


「(こいつ…強すぎる!サブローさんや、アスタちゃんに及ばないにしろ…速い!)」

 暗闇の中で少年2人を照らすは、刃と刃が重なったことにより散らされる火花のみ。

「君に一つ良いことを教えてあげよう、これは先生にも内緒だったんだけどさ、僕はね君の恩師の『最強ザ・ワン』が追いかける魔人なんだよ」

「魔人…通りで強いはず…」

 仁がジキルを一度銃モードへ戻そうとした刹那、マリードはジキルを蹴り上げ仁の手から弾き落とす。

「距離を取ろうとしたって無駄、魔人化した影響で僕の左目には君の未来が写ってるからね。何をしようとしたって無駄なのさ」

 ハイド一本で彼の攻撃を捌く仁だが、やはり手数で圧倒される、小さな傷が付き始め徐々に出血する仁。

「先生に逆らった罪、今ここで償ってもらうから!」


 狂気に満ちた笑みで、仁のハイドを弾き飛ばし武装を完全に解除させるマリード。

「しまった!」

 そう気付いた仁の腹部には、彼の持つ短剣が根本まで深く突き刺さり、彼の服を真紅に染めていく。

「はい、終了だよ。グッバイ、ジン君」



 腹部を貫かれた仁、磁場空間の中防戦一方のガルム


 彼らは生き残れるのか…


To Be Continued

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