第3ー19話 ジン第二の覚醒・セカンドステップ 怒
庄司 VS 仁&アスタ開戦
サブローがロザミアと戦闘に入った時と同時刻、2人もまたこの男を目の前にそれぞれ武器を構える。
仁はジキル&ハイドを、アスタは腰に携えたダガーを、そして庄司は無手という完全に仁を舐めて掛かっているが、アスタに関しては別だ。
先日市街地で喰らった、あの破壊力が脳裏に焼き付いており、仁の事など微生物程度の驚異にしか感じていない、狙いは『アスタ』だ。アスタをどう攻略するか、どう仕留めるか、という事を脳内で考えていた。
「仁、さっきの威勢はどうした?俺はここだぜ?早く撃って見せろよ。お前の攻撃なぞで、俺に傷を負わせる事すら不可能だがな」
庄司は仁を歓迎する様に、両手を開きゆっくりと詰め寄る、彼が一歩近寄る度に、仁の額からは玉のような汗がこぼれ落ちる、トラウマにより吐かないにしろ、立っているのがやっとの精神状態なのだ。
仁の精神状態を見抜き、完全に自分が優位に立ったと確信した庄司、表情・呼吸・目線等を観察し分析する、そして相手の精神状態を見抜き、自分に優位が向くよう事を運ぶのが庄司の狩猟法なのだ。
相手の上に立ち、精神を握り、反旗を翻させない、絶対的暴虐の王を体現した彼の立ち振舞い。
「それ以上ジン君に近寄るな!!きっとお前はジン君に酷いことするつもりなんだ!!」
アスタは真っ先に庄司に向かい、攻撃を仕掛けた。腕力の3倍は破壊力が有ると言われる、蹴りでの一撃なのだが庄司はその一撃を防いでしまう。
「(ふん…以前喰らった攻撃よりかは、断然に速度は遅いが、侮れない速度だな。でもこれで足のリーチは見切った。問題は…速度か)」
これ以上に加速する恐れのある、アスタの攻撃は庄司にとっても、悠長に構えてれる代物ではない。
車で言う所のアスタは只今ギアが入った所、これから加速していき、その加速により拳や蹴りにも破壊力が累乗されて行く。
今現在は庄司でも捌ける速度帯ではあるも、これ以上の加速はさせないために、庄司は次の一手を進める。
アスタが空中に舞い、空中回転上段蹴りを放とうとした矢先、庄司は迫りくる右足に向け頭突きをかましアスタは「ギャッ」と短い悲鳴を上げ、そのまま宙返りで仁の横へと降り立つ。
額からは鈍い汗、そして両手で足を抑える彼女、骨折はしないにしろ、酷く挫いてる様でとてもじゃないが速度は出せそうにない。
勝ち誇った笑みで、庄司は2人に再度歩み寄る。そして目の前に到着した時、アスタの前髪を掴み上げ、ジンの顔の前へ引き寄せる。
「おい仁~、こいつお前の女か?情けねぇな~女に守られて、自分はブルってるだけか?」
挑発する邪悪な笑みの庄司、そして汗を額に並べ苦痛の表情を浮かべるアスタ、その時仁の掌に淡く白い光がぼんやりと姿を表した。
「…でもよく見るとこの女、いい素材じゃねぇかお前には勿体ねぇ。食べごろはあと2~3年後って所か?」
下衆な笑みでアスタの頭から爪先まで、じっくりと品定めをする様に眺める庄司、気付いたら仁はアスタの髪を掴む庄司の右腕を撃ち抜いていた。
光の魔弾により、庄司の右腕は消滅しそのまま体へ登るかと思いきや、庄司は迷わず自身の右腕を千切り落とす。
「仁…てめぇ…今何しやがった!?」
「知らないよ…でも、アスタちゃんや他の皆を傷つけた君…お前だけは絶対に許さない!!」
氷像と戦った時と同じ様に、仁の手には光の粒子が無限に吹き出し、ジキルとハイドに吸収されていく。
「あぁはははは!!!そうだ仁!!その目!!良いねぇぇぇっ!!お前のそんな目初めてみたぜ!!!」
庄司は再生した右手の掌に、背中から吹き出す液体を纏わせ先日同様の巨大な大剣を創造する。
「ジ…ジン君?」
アスタは驚きの表情を浮かべ、目の前の男児が今まで見てきたあの弱々しい少年と同一人物か、判断しかねていた。
月夜に照らされる赤髪は、正義の炎をもらい火したように照らされ、弱々しく丸まっていた猫背は、ピンと張られ鍛えられた胸筋が強張っている。
困った表情をする事が多いタレ目は、キリッと引き締まり一匹の狼の様に眼前の庄司を見据える。
スゥッと吸った息は、ゆっくり吐き出され呼吸も正常に戻っていく、震えも汗も止まった万全の戦闘コンディション。
「アスタちゃん…多分僕は庄司君には『まだ、勝てない』。でも時間をかければきっと異変に気付いた赤岩さんや、ギリアムさんが来てくれる。それまで…僕がこいつを食い止める!!!!」
ハイドを小刀モードに、ジキルを射撃モードにした彼は凄まじい覇気を纏い庄司と切り合いを始める。
互いに互角と見えるが、仁の方が体格差で明らかな不利であり、銃口からの角度を計算し弾道を簡単に回避する庄司、だが仁も怯んでばかりではない。
自らの小柄な体を利とした、小回りの効く立ち回りでジワリジワリと庄司を壁際まで押していくも、庄司は壁を蹴り仁の背後を取る。
鍔迫り合いとなった仁は、2丁の銃を小刀モードにし、互いの銃を交差させ庄司の頭上からの一撃を防ぐ。
「一撃が軽すぎんだよぉっ!!じぃぃぃん!!!」
彼の咆哮と会心の切り払いにより、仁は壁に叩きつけられ内蔵を少しばかり損傷し、口から吐血する。
間髪入れず庄司の激しい接近、手から零れ落ちた銃を拾い上げ、ともに銃のモードへ変形させ牽制する。
だが庄司は止まらない、放たれた飛び蹴りは壁をも容易くぶち抜いてしまう。でもその一瞬を仁は回避し、壁にめり込んだ右足を掴み、庄司の体を支える左足を払う。
そうすると雑巾を絞る様に、庄司の右足はグチャグチャに折れてしまう。そして追撃とばかりに、仁は地面に庄司の顔が激突する瞬間、銃身で首を上から押さえつけ、激突の勢いを更に増加させる。
顔がグチャリと音を立て、普通の人間なら無事ではない重症だが、庄司は立ち上がりマントから供給される血液で怪我を修復していく。
その時仁は、屋敷の庭でギリアムと繰り返した実戦式の稽古を思い出していた。
「ヘタレ。敵の動きをよく見ろ、動きだけじゃなく力の流れを見るんだ。相手が強大なほど力の流れは大きくなる、その大きな流れを自分の武器にし戦え。」
ギリアムからの技術、ジュンからの正義の為の力、の2つを受け継ぎ成長する仁。
庄司もこれには想定外だったようだ、ニヤついた笑みは消え、その漆黒の瞳には血液が滾り充血しているように、赤く激しく見えた。
「仁…もう手抜きは無しだ…ぶっっっっっ殺す!!!!!」
怒り心頭の仁 VS 殺意全開の庄司
To Be Continued




