第3ー17話 ブラッディ・モンスターズ
~~~華和省・中央通り~~~
「ギリアム!!お前は一般市民の保護!魔物は俺が引き寄せる!ミアは高台から魔物発生原因の捜索!リューコは保護された市民の手当と【障壁魔法】を張って皆を守れ!!」
ジュンは振り払う拳打の衝撃波のみで、目の前に迫る魔物の軍勢を退け、3人にそれぞれ指示を与えていく。
3人は返事こそせずとも、各々指示を受けた場所を担当し、四方八方に散っていく。
「どけぇっ!このゴミ共!邪魔だぁっ!」
氷の手甲を纏ったギリアムは、鬼神のごとく魔物を蹴散らし、市民の元へと走っていく。魔物のヘドロが飛び散り、彼はまるで返り血を浴びているように見える、そしてある程度蹴散らすと、市民にリューコの所へと走るよう命令をし、他の市民の元へと再度走り出した。
リューコは杖を地面に突き刺したままにし、そこからライトブルーの淡い光が発せられ、魔物達の侵入を阻んでいる。そして走ってきた一般市民達は、障壁の中に入ると重傷の者から順にリューコから手当を受けてゆく。額に玉のような汗をかき、神経に傷を付けないよう、跡が残らないよう彼女は集中し、皆の命をつないでいく。
「ジュンさん!!まずいです!!」
ミアは屋根の上から、魔物の軍勢相手に応戦するジュンに声を掛けた、彼女が見たものとは街全体、東西南北の様々な箇所で魔物が生者の血をすすり増殖する様と、その魔物達は国主館に向け一斉に行進しているという状況だった。
手短に説明をすると、ジュンは少し考え込みある提案をした。
「ミア…ギリアムに国主館に向かうよう伝えてから、お前はリューコの障壁の中で衝撃に備えてくれ。おそらく国主館にも幾らか行っている…あいつにはそっちを担当してもらうからな」
「…わかりました。ジュンさん、何をするつもりで?」
「ちょいと疲れるが【超越魔法】を使う。発動は今から2分後だ急いでくれ」
【超越魔法】
最強アカイワジュンが、独自に生み出した従来の魔術を大きく超越した、ジュンのオリジナル魔術。本来発動に必要である魔術を構成する、魔術方程式を必要とせず、詠唱と自分の想像力を原動にした大技だ。
魔力の消費が激しく、ジュンでも発動後少し徒労感を覚える。
ジュンは目の前の魔物に、先程と同じ様に拳打の風圧でなぎ払い、同時に目を瞑り詠唱を開始する。
「火は正義、我は燃え盛る命火を糧に、約束された勝利へと、歩み続ける一筋の矢とならん…」
「水は生命、静寂に佇みし水面は、邪悪を清める荒波となり、我の前へ具現する…」
「地は歴史、黄泉と現世を分ける境界は、砕かれた思いの無念を晴らさんが為、我の前で地獄への門を今開く…」
「風は恩恵、空から山へ、山から我へ、その自然の恩恵を悪しきを討つ刃となれ…」
ジュンは全ての長い詠唱を、一つの舌で同時に聞こえる程の速さで詠唱してゆく、常人の枠を大きくかけ離れた彼のみが出来る芸当だ。
光の粒子となった魔力は、やがて空に4つの巨大な魔法陣を形成してゆく、一重だった円はやがて三重にも四重にも円を重ね、円と円の間の空間には、英語やラテン語にも似た字体の様な模様が浮かんでいく。
空に魔法陣が浮かび上がった頃、人々は空を見上げていた、襲い来る魔物の事など忘れ、言葉を発さず、口を平げその4つの魔法陣を見上げる。
人が空を見上げ呆気を取られていると、その中央に4つの魔法陣が重なったその時、ジュンは自身の発動した魔法陣に引き寄せられるよう、空中を浮遊していく。
ジュンが魔法陣の重なり合う部分、中央部分を超えると、それぞれの魔法陣は激しく点滅する。そしてジュンが両手を広げ、コートが翼の様に舞った時、魔術は放たれた。
「発動【超越魔法:森羅万象・フォース・ジャッジメント】」
魔法陣はそれぞれ、赤・蒼・黄・緑に発光し、円の中心からレーザー状の魔力が打ち出される。
レーザーは狙った魔物のみを追い、着弾すると修復不可能なまでに蒸発させる、その威力は当たらずとも衝撃波だけで立っているのも不可能なほどだ。
先程まで街を包んでいた、ヘドロ状の魔物は一掃され平穏を取り戻していたが、問題は国主館の方角だ。
威力があまりにも強すぎる為、近くを撃てば国主館ごと吹き飛びかねない、そう思ったジュンは彼に仁達を任せたのだ。
「ギリアム…頼んだぜ」
~~~国主館・庭~~~
「ふぅ…ふぅ…この魔物共…どれだけ再生するでござるか…」
「アスタちゃん…大丈夫?」
「うん…でも…割とやばいかも」
3人は円陣を組み、互いに背中を預けるよう中央で固まっていた、それを取り囲むは魔物の軍勢。
「いよぉ~仁、早い再開だよなぁ。どうだ?俺のサプライズ『血液魔獣』は楽しめたか?今度はゲロ吐くんじゃねぇぞ」
屋根の上から、真っ黒な騎士風の鎧に身を包み、背中からは真っ赤なマント…というよりも、赤い液体が広がるように吹き出している鎧を着た庄司君。
そしてその後ろに、白髪で身長は庄司君よりも少し低い女性、紐の様な物で身を包み、何よりも異形なのは頭部に生えた2本の巻角。
「庄司…君…これも全部君が…やったのか?」
激しい吐き気に襲われるが、僕はそれをぐっと飲み込み眼の前の彼に言葉と銃口を向ける
「あぁそうだぜ…、戻ってこい!『血液魔獣』!吸い上げた血液を俺に渡せ!!!」
すると僕達を囲んでいた、魔物は全て庄司君のマントに吸収されていく、吸収が完了するとやがてマントは、どす黒く赤く発光してみせた。
「ショージ…あれが言ってた、地球での貴方の玩具かしら?」
女は何やら手に持った、丸い石を片手に転がしながら、僕達を虫でも見るかのような笑みでクスクスと笑っていた。
「ロザミア、どうするよ?今ここでこいつら皆殺しにでもするか?」
「そうねぇ…好きになさい。目的の物も手に入ったし。」
謎の女 ロザミア
血液を貪る者 庄司
この2人相手に、仁は生還できるか…
To Be Continued




