第3ー9話 赤岩夫婦シシリアルにて②
長い絹の様な淡い水色の髪は、うなじから馬の尻尾の様に結ばれその結び目には真っ赤なルビーの髪留め、瞳は自身の髪と同じ淡い水色をしており鼻筋がスッと通っており、彼女自身が宝石ではないかと錯覚させる可憐さと美しさが相まった顔立ち。
首の所から括り付ける様に生地が腰へ降り、背中や脇などは露出しているが下品さは与えない気品に溢れる、彼女の目や髪と同じ淡い水色。上半身と一体になり腰からくるぶしまでふんわりと足を包む、ブリリアントドレスを連想させる、宝石の散りばめられた王族としての正装で現れた、この人物こそ「メイリーン・レノ・シシリアル」だ。
行進隊を掻き分け現れた彼女にジュンとミアは、軽い挨拶をお互いに済ませると彼女に王城の一室へと招かれた。本当に室内かと疑いたくなるような明るい部屋に、中は植物園の様に草木に囲まれ、薔薇から始まり紫陽花・パンジー等の多種多様な花々、一体この設備を作り維持するのにどれだけの費用を投入しているのか、考えたくもない額なのだろう。
室内の噴水の前に用意された、机にそれぞれ3人は腰を掛けると、一人の侍女を残しメイリーンは他の護衛ですら全て退席させた。
「アカイワさん、単刀直入に言うわ。この「魔人」と名乗る骸骨の事に関して全て」
「お願いします。」
出された紅茶をすすり、侍女の配る書類に目を通すと、大まかな情報は馬車で読んだものと差異は無いのだが、この魔人の奇行が全て記され馬車の中で覚えた奇妙さをより深く覚えさせた。
「ふんふん…「目撃者は例外なく、健康そのもので帰還。だが皆それぞれ口を合わせて「クッキーは好きかい?紅茶も有るよ」と質問をされる、好きだと答えた者は骸骨の集団に部屋に招かれ、クッキーと紅茶を食し、朝日が登った頃には墓地の前で目を覚ます。排泄物からは毒物魔術毒の痕跡は無し、調査班の調査で主原料は小麦に砂糖と多少の睡眠薬のみ、それも体に無害な量」ねぇ…」
目をしかめながらも、この魔人の奇行を分析しているジュンだが、この魔人がどこか可笑しいという事しかわからない、なにせこんな事は前例が無いのだから。
「この魔人は何がしたいんだ?友達が欲しいだけか?」
「さぁどうなんでしょうか?本当にそうならまだ話し合いで解決出来るかも知れませんが…」
ミアは多少戸惑いながらも、魔人との話し合いでの解決を提案する、もちろんジュンも相手が話し合いが通じるのであれば、その方法で解決すべきだとは思うが、やはりいつ暴走し人を襲うかは解らないという一抹の不安も合った。
「そしてその魔人の1番の奇行はこれよ…」
メイリーンは侍女に手をかざすと、1枚の銀盆に乗せられた二枚の封書を侍女は静かに前へと置き、再びメイリーンの背後へ戻る。
「…招待状?俺に骸骨の知り合いは居ないはずなんだが…どれどれ」
ジュンは中を拝見する為、同じ銀盆に乗っているペーパーナイフで開け口を作ると、中の1枚の手紙を読み始めた。
「「最強」アカイワ様、此度は貴方様を私主催の、真夜中の茶会へご招待させて頂きます、奮ってご参加ください。随伴の方はもう1枚の封書が招待券となっております。フェミリア・アルクラウド」
中の手紙にはこう書かれており、とても丁寧な文の招待状を贈られたジュンは、その不気味さの正体や意図が全く掴めず、眉をピクピクと動かしている。
「はい、ジュンさん」
ミアは手慣れた手付きで、ハンドバックから一本の葉巻をジュンへ手渡し、それを彼が咥えると流れる様に金属製のライターで火を付けた。
「…!ミア、俺が葉巻吸いたいってよく解ったな。」
「ふふっ、ジュンさんの癖は覚えてますから」
ジュンはここまでされ、殆ど無意識で葉巻を口にし喫煙していた事に、自分の妻ながらも称賛せずには居られなかった。
「でも吸いすぎはダメですからね」
ここでミアは微笑みながらも、ジュンに少し釘を指しておくと、彼も「あはは、気をつけるよ」という他無かった。
「アカイワさんも喫煙されるのですね」
「ん~まぁ、内のヘビースモーカーよりかは吸わないけど、たまにね。煙ダメならやめるけど?」
構わないと言った風に、メイリーンは手を彼にかざすと言葉を続けた。
「アカイワさん、申し訳ありませんが今回のこの魔人の件、よろしくお願いしてもよろしいかしら?」
「わかりました。この件引き受けさせていただきます、方針としては話し合いで解決出来るようなら話し合いで、駄目な様子だと武力をもってと言う形になりますが」
「はい、それで構いません。」
よろしくお願いします、と彼女は席を立たないにしろ深い礼をする。
「メイリーン王女、一つ質問が」
「はい、なんでしょう?」
「俺達の迎えにあんな行進隊を使う必要はあったんですか?」
「そりゃあ世界一の殿方を迎えるなら、する必要はございましてよ!」
とメイリーンは出会った時、同様に全開のドヤ顔に少々ジュンは引きつった笑顔で微笑むしか無かった、なぜならその真意は自身の財力のアピールの為なのだから。
「それにアカイワさんがお望みなら、このシシリアルにお迎えしてもよろしいのですよ?雄としてね。なんなら私が後妻としてそちらに、幸い私は女色もイケますし」
「ははは、俺は既婚者ですから丁重にお断りしますよ、って王女さまあんた本当に下ネタ好きですね。そんなんだから嫁の貰い手が無いんですよ」
2人は互いに冗談と解りきっており、ボケにはツッコミをと言った具合にじゃれているが、ミアは真剣な眼差しでジュンに一つ質問をした。
「ジュンさん、「そっちのくち」とは一体何でしょうか?」
ジュンはミアが真面目に質問しているとは、わかっているのだが内容が内容なだけに、言い渋っているとメイリーン王女はミアに声を掛け、満面の笑みで答えを言おうとしていた。
左手で「OK」のハンドサインを作り、右手の人差指びを輪に通らせようとし言葉を続けた。
「セ~ッ…!!」
流石にジュンはこればっかりは止めずには居られず、メイリーンの額に強烈なデコピンを放つ、放たれた額は真っ赤になりメイリーンは涙目になっている。
「おふざけが流石に過ぎますよ王女」
ジュンは一喝するが、彼女はへこたれず額を抑えながら涙目でジュンに反論をしていく。
「ぶったね!父様にもぶたれた事無いのに!」
「何処の宇宙世紀の話だよ!っていうか過度な下ネタはやめてくださいよ!うちの妻に変なこと教えないでください」
メイリーンは唇を尖らせブーたれて居るが、ジュンにしっかりと怒られている。
一通り仕事の打ち合わせとしての話し合いは終わり、2人はメイリーンの城から離れ夜に備える為、昼に仮眠を取るため適当な所で宿を取っていた。
「ふぃ~、地味に疲れた…」
「ジュンさん、楽しそうでしたね。でも今夜は魔人との「話し合い」ですか、少し不思議な感じです。」
「そうだな…俺もちょっと違和感が有るよ…まぁ話し合いだけで解決出来るのが1番だよな」
ミアは部屋の窓を閉め切り、いつものように寝間着へ着替えると、ベットに横になりくつろいでるジュンの側へ座り証明を消し、ゆっくりと眠りに2人で付いていく。
To Be Continued




