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異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第3章 獣人国・宝物蔵の守護者編
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第3ー5話 幸か不幸か…

 僕達はあれから街に繰り出し、3人で遊んだりしていたがもう夕刻になり館に帰る時間となっていた。

「仁や、我はもう少し遊びたいぞ」

「だっ駄目ですよ、九尾様。ナナさんに言われてますし…あれ?」


 仁は九尾をなだめ、館に帰ろうと促すが遠目ながらにも、屋根と屋根の上を飛び交い戦闘状態に入っている青年2人を見つけた。一人は真っ白いコートにタバコを口元に咥えたギリアム、だがもう一人は全く知らない、恐らくギリアムさんが見つけた「もう一人の魔人」だろう、見るからに緊張が伝わってくる。

 アスタに九尾と共に、館に帰り直ぐにリューコにこの事を知らせるようにと仁は促し、2人を見失わないよう近くの梯子を借り、屋根の上まで駆け上がり2人の戦闘の痕跡をたぐって、追跡していく。


~~~華和省・市街地~~~


 屋根と屋根を行き来しギリアムさんは氷で作り上げた剣、もう一人の男はギリアムさんよりも大きいかも知れない大型の刀剣、2人共不安定な足場だと言うのに見事なまでの打ち合いを繰り広げている。

「中々やるね~お兄さん、あんた相当強いよ。こっちに来てから2ヶ月…位か、そん中で戦った中で1番強ぇえよっ!!」

 この声…何処かで、聞いたことが…


「幸運だな…、まさかフルグラを殺したやつとこんなにも早く会えるなんてな」

「フルグラ~?あー居たっけなそんな奴。なになに?あいつを殺した俺を追ってたの?うひゃひゃひゃそれはご苦労様だねぇ~、でもよーアンタもフルグラも一緒さ、最終的には全ての「王」たる俺に食われ糧にされるんだからよぉぉぉぉっ!」

「…意味の不明なことを言うな、貴様の様なバカなガキは嫌いなんだ俺は。黙ってここで死ね」


 ギリアムと謎の男が、互いに距離を取り着地しようとした時、謎の男に向け一発の魔弾が発射された、そう仁の「ジキル」から発射された魔弾だ。

 だが男はいとも簡単に、魔弾を手に持った大きな大剣で防いでしまう。


「ギリアムさん!大丈夫ですか!!」

「…!ヘタレ何故ここに居る!九尾の護衛と言う指示は出しただろ!」

「すっすみません、でも九尾様と街に出ていた時に2人を見つけて…」

「…はぁ…、まぁいい、魔女に連絡は?」

「アスタちゃんにお願いしてます、幸い館からあんまり離れていないから、直ぐに合流できるかと」


「…ん~?もしかしてさぁ…もしかすると、お前「仁」だよなぁ?岡野 仁だろ?」

 何故目の前の男は、僕の事を知っているんだ…こっちの世界には地球での僕を知っている人は居ないはずなのに、それにこの聞き覚えの有る、嫌な雰囲気の声…

「俺だよ俺「山下 庄司」一緒の学校だったろ?何だ忘れちまったか~?」

 僕は知っている、この眼の前の男の事を…、地球に居た頃より筋肉質になり、あまりにも邪悪な顔に最初は気付かなかった…いや、どこかしら心の奥底で、否定していたのかも知れない、庄司君じゃないって…彼を見ると思い出す、地球での散々な日々を、魂の奥底まで深い傷を付けたあの日常を!

「うぷ…おぇぇぇぇぇぇ!!」

「…ヘタレ!」

 思い出したことにより、恐怖でその場に座り込み嘔吐をしてしまう、寒くないのに体が震える、目の前に焦点が合わない、頭痛もする、耳鳴りもだ。


「おいおいおいおい、俺との再開が嬉しいか「ゲロ」吐くくらいか?俺はお前との毎日楽しかったぜぇ~!遊んでやった恩を忘れたか?」

「うぅ…あぁ…」

「ヘタレ!しっかりしろ!おい!」


 ギリアムは必死に仁を正気に戻そうと、体を揺すり声を掛けるが仁には届かない、

手前てめぇこいつに何しやがった…精神支配系の魔術か?」

「何?何って…俺はただこいつと昔から遊んでやってただけだぜ~、人聞きの悪いこと言うなよ」

「…という事は、お前も「地球」という所から来た…そういう認識で良いんだな」

「あぁそうさ」


 庄司が喋り終わる前に、ギリアムは氷剣を手甲へと変化させ、庄司に殴りかかった。その鋭い右の拳打を庄司は、辛うじてかわすも右頬の肉はギリアムの手甲から生えた、視認すら難しい微細なトゲに削り取られていた。

「…お前を…殺す!」

「うひゃひゃひゃひゃ!!おー怖え怖え。」

 あまりの硬度に、鉱石以上の強度を誇るギリアムの手甲、それに対するは庄司の大剣、小回りは利かないが一撃一撃が「必殺」という、規格外のパワー。

 2人は互角に打ち合うが、やはり近接している分リーチの短いギリアムの方が、小回りが利き庄司を押しつつ有る。

「(なんだ…こいつ、さっきの剣より速度が違いすぎる!…一度距離を取り直すか…)」

 庄司は後ろに飛び上がり距離を離すも、ギリアムはそれすら予測していた。

「逃さん…殺すと言っただろ。」


 そう言うと庄司が着地した、足元から大きな氷剣が飛び出し庄司の大剣を持つ、右腕をいともたやすく切断してしまう。

「何!?」

「お前の様に、大きな得物を使う相手は飽きるほどしてきている、距離を詰めれば自身のリーチに引き込む為に距離を取るのは必然、お前では俺には勝てん…大人しく死ね」

「くくく…うひひひひ…うはははは!確かにお前は強ぇぇ!でもなぁ俺にはまだまだ策はあるんだぜぇ!行け「ハルピュイア」!仁の血をすすり俺の傷を癒せ!!」

 転げ落ちた大剣は、ガタガタと不気味な異音を上げ飛び上がった。そしてひとりでに座り込み、意識が朦朧としている仁に向かい突撃をする。

「しまった!!」


「かの者を厄災から守りたまえ!フォーチュン・シールド」

 仁の前に不可思議な、光の壁が作り上げられ大剣の突撃を止めるが、突進の勢いは未だに衰えを知らず、突進を続けているが大剣の腹を鋭く蹴り上げる少女の一閃。蹴り上げられた大剣は、あらぬ方向へ飛んで行き屋根へと突き刺さり動きを静止させる。

「ギリアム!ジン君は大丈夫よ」

「ジン君!?大丈夫!?」

 仁の間一髪の所に、リューコとアスタの到着が間に合い魔法の障壁と、アスタの蹴りによって大剣を静止させたのだ。

「魔女…あいつが今回のフルグラ変死の犯人だ。それにあの傷が徐々に回復している所を見ると、魔人である可能性は高い」

「わかった…それに、状況を見た限り「アイツ」がジン君に何かをした…っていう認識で良いのよね」

「あぁ…それで良い」


 魔人・山下 庄司 対 赤磐探偵事務所 計3名


戦いの火蓋が切って落とされた。


To Be Continued

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