第2ー8話 緊急会議
氷像を倒した僕は、戦闘中に胸の奥で何かが熱くなって、力が溢れ出るのを感じたんだ。
暖かかくて、ふんわりした、とっても小さな熱を。
「仁君よくやったな。おめでとう」
放心状態の僕に、赤岩さんが方に手を置き祝ってくれた。誰かに少しでも認められるって、こんなにも大変で…嬉しいだなんて。
目頭が熱くなって、心臓の鼓動が早くなって、嬉しいのに泣きたくって。
ギリアムは見届けた後直ぐに、リューコに紙を手渡し何処かへ歩いて行く。
「おい魔女、これがこの一週間で集めたヘタレのデータだ。引き継ぎはしたからな」
「はいはい、ってあんた何処行くのよ」
「仕事だ。まだ計算や記入するもんが残ってるんだよ」
庭で皆が歓喜の渦に湧いている所に、少しかたい表情をしたミアさんがやって来た。
「ジュンさん、少しよろしいですか。「黒封筒」が届きました。それも2通」
「…解った、書斎に行くよ。それと書斎にギリアムを寄越してくれ。」
少しいつもとは違った赤岩さんの表情、盗賊団と会った時に見た以来見ていない、彼の真剣そのものの表情。
ーーー屋敷・書斎ーーー
黒い封筒の中身を確かめ、ギリアムとミアに説明するジュン。
「…という事だ、これが獣人国とシシリアルから「魔人」の目撃情報の内容だ。」
「アカイワ、最近魔人の報告例が多いな。ガセの可能性は無いのか?」
「いや、その可能性は低い。信頼できる筋からの情報だ、それにこの「黒封筒」を知っているのは、俺達と世界各国の重役だけだ」
「…そうか。なら人員の配置はどうするんだ」
ジュンは口に手を当て、少し悩んだ後に口を開いた。
「シシリアルには、俺・ミア、獣人国にはギリアム・リューコ・アスタそれに、仁君で行ってくれ」
「アイツをもう実戦に出すのか?まだ練度も実力も足りないぞ」
「具体的には、魔人の捜索及び討伐自体は「ギリアム・リューコ」のペア、周囲に被害が出た場合に「アスタ・仁君」を救護班兼避難誘導班として使ってくれ」
「…わかった、なら他の事に関しては現地判断で俺が決めるがそれで良いのか」
「あぁその方の采配はお前に任せる。それと魔術学会から「コレ」が届いた。仁君に渡しといてくれ。」
ジュンは小包を引き出しから取り出し、ギリアムに手渡す。小包にしては、少々重く中が木箱で覆われとても厳重に梱包されていた。
「ジュンさん、「アレ」ジンさんに渡しても良かったんですか?」
「あぁ、それに俺じゃ使えないからな。それにあーゆう飛ばす得物は俺には向いてないんだ」
ーーー屋敷・仁私室ーーー
部屋の中で、アスタちゃんに軽く文字を教えてもらってる途中で、扉を叩く音が聞こえると同時にギリアムさんが入ってきた。
「おいヘタレ!…なんだチビも居るのか。まぁ丁度いい」
「チビじゃない!アスタだよっ!」
「ギ…ギリアムさん、何でしょうか」
「お前ら明日から仕事だ、用意しとけ。それとアカイワから「コレ」をお前にと、預かってきた。」
ギリアムさんは、それだけ伝えると僕に小包を手渡し、研究所の方へと歩いていった。
小包を空けると、そこには「2丁の拳銃」が入っている、横には弾倉だろうか長く黒い鉄の筒が8つ程入っているが、肝心の「弾」がない。
「ねーねー、ジン君これなーに?」
「えーっと…」
付属している紙に目を通し、説明を読み上げる。
「えーと、試作魔導拳銃ジキル&ハイド・詳しい説明は先日送った書類に書いてある通りに、弾倉は所持者の魔力を自動的に吸い出し、中に保存する仕組みとなっております。って」
掻い摘んだ説明だが、僕もアスタちゃんも何一つ理解出来ていない。とりあえず箱の底にあった、ガンホルダーを腰に巻き付け、弾倉をガンホルダーから両太ももにに付いてるポケットに入れ、二丁拳銃を手に持ちポーズを取ってみる。
「おーー!ジン君かっこいー!」
「え…えへへ、そうかな」
その後アスタちゃんに急かされ、庭で試し撃ちをすることに…
ーーー屋敷・中庭ーーー
薪にする予定だった、木を標的に試し撃ちをを試みた。
「んー自動的に補充されるって言ってたけど、もう良いのかな…」
「ねーねージン君はやくー!」
真っ赤な魔導銃「ジキル」を触っていると、辛抱できなくなったアスタちゃんが肩を揺さぶり、トリガーに指が当たり魔弾があらぬ方向へ飛んでいく。
飛んでいった先には、赤岩さんとミアさんが…
「いだぁっ!」
魔弾は赤岩さんの額にぶつかり、赤岩さんはその場でしゃがみこんでしまう。
「あっ…赤岩さんすみません!大丈夫ですか!?」
「ししょー!大丈夫?」
「…いったぁ、あのなぁ2人共俺だからコレで済んでるけど、他の人だったら大怪我してたぞ!」
額を真っ赤に腫らした赤岩さんに、僕とアスタちゃんはこっぴどく叱られたが、その後詳しい使い方を教えてくれた、ボタンを押すと小刀のモードに変形したりもするらしい。
「ったく…今度からは周りをよく見て使うように、解ったな!」
「「…はい」」
あれから使い方を試し、勉強していると夕食の時間になり、済ませると赤岩さんは、全員風呂が済むともう一度食堂に来るようにと言い、自室へと戻っていった。
ーーー屋敷・食堂ーーー
「それじゃあ、明日からの仕事について話すぞ。明日から皆も聞いた通り突然だが、「獣人国」に行ってもらう。現地ではギリアムに指揮権を任せるので、3人共ギリアムの言うことをよく聞くように」
「資金はギリアムさんにお渡しますので、必要なものがある場合はそれで用意してくださいね。」
作戦系統は赤岩さんが、資金面はミアさんが説明をしてくれたが、ギリアムさんは…
「おいチビ・魔女、お前ら言う事聞かなかったら一ヶ月小遣い無いと思え」
「えーーっ!そんなの酷いよ!」
「はぁ?!ふざけんじゃないわよ!指揮任されたからって横暴こいてんじゃないわよ!」
「うっせぇ!黙れ!」
ギリアムさんは、アスタちゃんとリューコさんに色々言わているが、ギリアムさんも口喧嘩で怯むこと無く言い返していた。
それから細やかな説明等を受けていると、すっかり就寝の時間になってしまった。
明日から船に乗り、初じめての他大陸「獣人国」に出発となる。
この時の僕は、まだ生まれて初めて知る悲しい別れを、まだ知る由もない。
To Be Continued




