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異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第2章 研・修・期・間!
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第2ー4話 訓練開始・後半

 「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 何処から発せられるのか!氷像の怒号!耳をつんざくような爆音に、僕は耳を塞ぎ宙から伝わる振動に吹き飛ばされてしまう。

「ヘタレ!こいつにはお前を殺すよう指示を出した!死にたくなかったら戦え!」

「たっ戦えって…いきなり無茶ですよ…」

 仁が目を開け前を見ると、自分と同じ体格だが全身氷の氷像が走ってくる、避けようと右に飛び距離を取るが、氷像はそれに対応し左の拳で仁の頬を撃ち抜く。


 「グハァッ…(いっ痛い…口の中が切れた…血が止まらない…)」

 意識は有るが、迫りくる氷像の動きにはまだ全く対応出来ていない。

「グエェッ…(今度は…腹!み…鳩尾を…)」

 あまりの痛みにうずくまり、起き上がることが出来ない!


 …地球じゃ「庄司君」に殴られて、痛みには慣れていると思ったけど、質が違う…これが…これが「殺す為」の拳…なんて重いんだ。


「ヘタレ!甘ったれるな!相手の動きをよく見ろ!」

ギリアムさんが、僕に激を飛ばすけど、無理だ。足がすくんで動けない、それに受けた攻撃の痛みがまだ残ってる…


 氷像は主人の指示に従うよう、ジンを殴打し蹴り上げ叩きつける。腹から胃液が喉まで上がってくる、吐きそうになったるも、口を抑えぐっと堪える。

「ずっと殴られるだけじゃ死ぬぞヘタレ!攻撃しろ!」


 氷像が2つの拳を合わせ、うずくまる仁の後頭部へ叩きつける、体が前のめりになり地面とキスしそうになった時、氷像は勢い良く顎を蹴り抜く。

あまりにも一方的で、現状では仁に対抗する術は殆ど無い。


「がっ…がはっ(な…何かしないと、殺される…)」


 死の淵に迫った仁は、「集中」する…


 その目に映るは、目の前の氷像だけではなかった、木がある、土がある、ギリアムさんが見ている、…屋敷の窓、窓の向こうで赤岩さんとミアさんがこっちを見ている。…あれは!!!


 仁は走り出した、逃げる為では無い!逆に氷像に突っ込んだ!


「突っ込んだ!?ヘタレ!血迷ったか!無策に突っ込むんじゃあない!!」

 自身が作り上げた氷像と、仁との戦闘を見ていたギリアムには、仁のその行為が自殺行為にしか写っていなかった。


 だが仁は止まらない、逆に走る速度を上げる、飛んで火に入る夏の虫と言わんばかりに氷像は右の拳を振り上げる。


 氷像の拳は振り下ろした時、土煙を上げ辺は濃い煙に包まれる。


「ヘタレ…初日からだめだったか」

「ジンさん…」

ギリアムと窓から見ていたミアは、共に目を伏せる、だがこの男「赤岩 順」は違った、ニヤニヤと笑い煙の中を見つめる。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 氷像の背中には、庭の端に落ちていた順の園芸用の農具が突き刺されていた。仁は一か八かで氷像に突進し、股の下をくぐり抜け小さい鎌を拾ったのだ。

鎌を引き抜き、再度左脇腹に突き立てる。氷像の体は削れるも、効いているのかは不明。そのまま体をねじり、氷像は仁の頬に裏拳を繰り出す。


「(無理…だ…った…、い…意識…が、も…もう…)」



 吹き飛ばされた仁の体は、窓から飛び降りた順に抱きしめられ壁への激突は回避する。

氷像はと言うと、ギリアムが頭を掴みそのまま魔力として分解し、姿を消す。


「ギリアム…、やり過ぎだ」

「ふんっ…アカイワ貴様も大層、暇なんだな訓練の様子をずっと見てるなんてな」

「あぁ今日分の仕事は終わったからな、でも初日でこれは飛ばしすぎだ。本当に死ぬ所だったぞ」

「戦場では、死んだほうが悪い」

「あぁ…その通りだ。でもこれは訓練だ、仁君の治療が終わり次第、書斎に行くそこで話しがある。後で来い」

「ちっ…」


 ギリアム自身も憎まれ口を叩きながらも、ジンを殺すつもりは無かったのだ、それにあの一撃が振り下ろされる時の行動、あれにはギリアム自身も驚かされた。


 「岡野 仁」 敗北 気絶により研修1日目中止


To Be Continued

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