表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の語り部~僕は主人公じゃない  作者: 時雨
第5章 20年の終止符
100/111

第5-5話 ニューファミリー加入?

 あれからといえば、俺は自分の借りた部屋に戻り一服を済ませ浅い眠りについた。

 寝たと思えば、翌日の早朝に目が覚めロビーに降り朝食にしようと思ったが、いつもの女将の姿が見えない。

 支配人の親父に聞いても知らない、これじゃ仕事が回らず大変困ると相談を受け、滞納している宿賃の事も有るので散歩がてら辺りを捜索していると、何度も嗅いだことの有る血の匂いが薄っすらと風上から臭ってくる。


 風上に向けてゆっくり歩んでゆくと、入り組んだ路地裏の隅に横たわる中年の女性の亡骸が、力無く転がっていた。

 見慣れたエプロンに刻まれた顔の皺に、何も入っていない買い物カゴは血に濡れ、いくら返事しても、声すら帰ってこない。

「おばちゃん!おばちゃん!どうした!?おい!」


 狛猫亭の女将の亡骸は、首が変形しておりとてつもない握力で締められたと推測できる。

 一体なんの為にと考えていると、背後から火球が向かってくる。避ける事は出来たが、女将の亡骸は跡形もない炭へと姿を変えた。

「……見つけたわよ……この悪人が」

 地面に突き立てられた杖からは、此方の動きを追跡しながら発射される火球、そして術者本人から繰り出されるは、拘束を目的とした地面を変形させた檻が幾重にも作り出され、接近する余地を与えない。


 濃紺の魔女帽に髪色と同じ色をした、淡いピンクのミニスカート。

 そして何よりも見覚えがあるのは、ベストの上からもわかる豊満な胸。彼女は間違いなく、赤岩探偵事務所に所属している『魔女・リューコ』だ。

「ちょちょっと!待ってよリューコちゃん、おっさんが何したってのさ!」

「うるさい!あんたが噂になってる、連続殺人犯なんでしょーが!」

 頭に血が登っているようで、あらぬ疑いを掛けられ攻撃されている。とはいえ狭い裏路地で、これだけの手数で攻撃されればジリ貧だ。


 一か八かで魔法での攻撃をかいくぐり、リューコちゃんの元へ接近を試みることにした。

 やはり想像通り近づけば近づくほど攻撃は激しくなる、だが今まで踏んできた場数が此方とは違う。攻め方がまだまだ甘い、懐へ入り込めば自身を巻き込まないよう、杖の自動攻撃も停止した。

 彼女の手を掴み、これ以上魔術の発動をさせないよう拘束する形を取るが、彼女は抵抗する様子は全く無かった。

「……るなら、早くしなさいよ……」

 自分の死を悟ったような口ぶりだが、釣り上がった瞳からは「自分が死んだとしても、まだ負けた訳じゃない」、そんな意思を感じさせる目をし、此方を睨みつけていた。


「殺しなんかしねぇさ、それにそんな険しい顔してちゃ折角のべっぴんさんが台無しだ」

 軽口を叩いてみたが、この場が収まるとは思えない。掴んだ腕から震えが感じられ、強がってはいても死ぬのは怖いのか。

 ふと視界を下に向けると、なぜか耳まで真っ赤に染めてた。

「えっと……なんかゴメンね」

 ふと自分の体勢を見てみると、背後から彼女に抱きつき腕を掴んで、腰に手を回している。これは非常にマズイのではぁぁぁぁぁぁ!


 謝罪をしたと同時に、彼女は瞳に涙を浮かべながら痴漢だと叫んだ。

「性犯罪者撲滅蹴(ラ○ダーキック)!!!!!!」

 彼女が叫んだその5秒程経ってからか、背後から何者かに首から上が吹き飛ぶかと思う程の飛び蹴りが飛んできたのだ。

「性犯罪者はこの俺、最強ザ・ワンが断じてゆるさんッ!……あれ?リューコじゃん、どうした?」



 あれから意識を取り戻した俺は、目の前にジュンちゃんとメイド服の女性に宥められているが未だに涙目のリューコちゃん、それに汚物を見るような目をしたジン・アスタ・ギリアムの三人。

 正座をさせられ、パンパンに腫らした顔と唇で説明する事を余儀無くされた。

「………リューコが悪い!!!!」

 誤解は解けてからというもの、ジュンちゃんは彼女に噛みつきそうな勢いで説教をし、彼の奥さんらしき女性とジン君に止められている。

「ほれリューコ、おっさんに謝れ」

「ジュンさんもです」

「……はい」


 一通り落ち着きを取り戻した頃に、各々が何故このような事態になったかの情報交換会が開かれた。

「てなわけで、ウチの宿のおばちゃんが帰ってこねぇので、おっさんが探してるとおばちゃんの死体を見つけたって訳」

「んでリューコと会って、犯人扱いされたと」

「そうそう」


 ジュンちゃんは腕を組みながら深く唸り、渡された葉巻を吸い空を仰いでいた。

「おい、悩むのは良いが今回の奴『魔人』かも知れんのだろ。それにこの魔女バカはそそかっしすぎて一人でまともに仕事をこなせるとは思えん」

「はぁ?よく言うわよ!早とちりして関係ない人殴った挙げ句、ミアちゃんに物凄く怒られてたのは誰だったかしら~」

「ぬっ!このアマァァァ!」

「ちょっ!ちょっと!お二人ともやめてくださいよ」

 口喧嘩をしている二人を放っておいて、ジュンちゃんは何やら紙に目を通しながら奥さんにこれで良いかどうかと、何かを相談しているようだ。


「おっさん昨日はフラれたけどよ、アンタのゆかり有る人物が殺されたんだ。飄々としててもホントは腸煮えくり返ってるんだろ」

 ジュンちゃんの言っている事は、当たっているのは確かだ。でもその後にニタァっと笑う、巷で聞く正義の味方とは思えない彼の笑みには、どうも嫌な予感がする。


「これ契約書、おっさんさえよけりゃ、ウチに期間内だけ雇われてみねぇか?一ヶ月に付きこの額で、週に4回動いてくれるなら残りの3日は好きにしてくれていい。んでアンタが溜め込んでた宿賃の支払いは、こっちで持つ。それとその期間中に仕入れたあんたのダチの情報は逐一渡す。それでどうだい?」

 悪くない……、っていうか美味しすぎて逆に疑ってしまう。あまりに良契約いいにおいなので、釣られてサインしてしまいそうになるが、やはり彼らを巻き込みたくない、という一心で何とか踏みとどまれた。


「悪いなジュンちゃん……、俺はやっぱり……」

「んでパートナーだけど、リューコを付ける」

「やります」


 一時の性欲……、いや判断のミスにより赤岩ファミリーに加入する事になったデューク。

 これが吉と出るか、凶と出るか…


To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ