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94:決着

 

「ぐっ」


 枝分かれし、俺を貫いた槍の刃を引き抜くように後方へと下がり、ハイヒールにより即座に治す


 クソが、完璧に嵌められた。あそこまで計算してやがったな


 それに、俺もクソだ。この程度の実力で驕りがあるなんて最悪だ


 苛つく表情しやがって


 ふー、落ち着け。冷静に冷静に


 ドゴッ


 クウガのやつも苦戦してるっぽいな。やっぱり此奴らは、強い


 槍に拘るのは止めだな


「余所見をしないのは及第点だが、意識を持っていかれているようではまだまだだな」


 瞬間移動したかのように思える程の速さで俺の目の前に


 そして、嫌味なんだか助言なんだか微妙に分からん事を言いながら槍を繰り出した。槍は突き出されるのと同時に枝分かれし、点でしかない槍の攻撃範囲を瞬時に面へと変える


 だが、俺が貫かれることはない


 王が突き刺している場所に俺はいない


 朧。父さんに教えてもらった数少ない技の1つ。足運びやタイミングとかは簡単に出来たんだが、相手を欺く可能性を上げるための偽装で魔力をその場に残すってのに練習では苦労したもんだ


 ここでさらに朧を連続で使用、右側面、背後、上、左側面に虚偽の俺を作り出し、揺さぶりをかける


 敵は俺を捉えられていない。敵の突きが虚像を消していく


 今度こそ、デカイの1発ぶちかましてやらぁ


 朧によって生み出された虚偽の俺が正面から攻め、隙を突くようにして背後から迫るが、


 枝分かれが穂先とは反対からも伸びあっさりと対処された


 まあ、そこまでは織り込み済みだ


 俺は奴の正面、そこから20m離れた位置から敵の様子を確認


 右足に俺の持つ適正属性、火、風、雷、光と【赫雷】を纏わせる


 喰らえ


「アストラル・ヴォルフ!」


 俺が右足を振り抜けば赤と黄の輝きを放つ狼が飛び出した


 そして、不用意に飛び込まない


 これにも必ず対処して来るはずだ


 その予測は当たっていたが、その対処のされ方が問題だった


 魔力を一切感じなかった


 衝突の瞬間、奴からあれだけ放たれていた魔力が消えたのだ


 にも関わらず、俺の攻撃は槍のひと突きによって破られた


 魔力でなくて、魔法でもないのならスキルの力かと思ったが、スキルを使った相手から感じる独特な感じがしなかった


 けれど、どこか違和感を感じた


 奴を見えない力が取り巻いている


 その力が奴に力を与えているのか?


 タイミングを同じくして別の場所からも目の前にいる王が放出しているのと同じエネルギーを感じた


 クウガの相手だ


 てか、クウガは気づいてないと思うけどあの騎士は絶対女の人だな。見た感じは鎧が女性物といった感じはせず、ゴツゴツしているから分かりづらいが、あの所作と雰囲気、女騎士だ


 まあ、そんなことは置いておいて


 どうすっかな~


 さっきの結構強い技だったんだが、どうしたもんかね


 奥の手出しても向こうもまだ手札を全て出した訳じゃ無いはずだ。ここで俺から奥の手を切って、その後ひっくり返されたら笑えねぇ


 1番手っ取り早いのはあの力を使えるようになる事だな


 魔力でもスキルでもねぇんなら氣とかそういった感じだろ


 あるって分かってりゃ、いけるはずだ。あとは適当に感覚と直感で……お、これかな?


 おー、出来た出来た。1発で出来るとは俺はやはり天才かもしれんな。ハハハ


 魔力を引き出すのと似た感覚。けれど、引き出した力は全く別物


 力を引き出すことに成功したおかげか? さっきまで見えなかったあいつを取り巻く力が見える


 森の、生い茂る木々のような、どこか雄大さを感じさせる緑の色だ


 そして、俺の色は黒。いや、漆黒っていうんか?

 とにかくそんな感じ。色が違うのは魔力と同じで個人で違うのか? 魔力の場合は髪と同じっていうか近い色になるんだっけか


「見ただけで会得するか、向こうの小僧といい、お前といい、とんでもないな」


 本当に、心の底から驚いたという風な顔でそんな事を抜かしやがる


 それに、クウガもこの力を引き出すことに成功したみたいだ


「そりゃどうも」


 ここからだ


 向こうのアドバンテージは俺がこの力を使えるようになった事で減った。向こうの有利はステータスの高さと、この力の習熟度、それと経験、技術


 経験は考えてもしゃーない。ステータスは工夫と閃きで何とかなるもんだ、この力の習熟度も今はどうしようもねぇ。技術はもう俺の持てる全てを出すしかない


 後は武器だな


 素早く今手に持つ槍をアイテムポーチへ収納し、ギルティアスを手中に


『久々の戦い、しかも格上か』


「おう、頼むぜギルティアス」


『任せよ』


 半身となり、腰を落とし、ギルティアスの穂先を下へ


「既に宝具まで持つか」


 先程の驚愕の表情は消え、冷静に俺を分析してくる


「今度はこちらから行くぞ」


 奴から感じる重圧が一層重くなった


 そして、奴を取り巻く緑のオーラとは別の黄色のオーラが見え始める


 色からして魔力だろう。この力は魔力との併用も出来るらしい


「お前達は選ばれた、この世界に生きとし生ける者達の中から、お前達が最適だと判断された、アレを打倒する為に」


 くそ、大事な部分はいいやがらねぇ


「だが、それが本物なのか。俺達は見定めねばならん。知恵を絞れ、技術を見せろ、度胸を示せ、俺達に全てを見せろ」


 奴が一歩を踏み出すと同時、感じる時の流れが遅くなる。奴の速さに対抗する為に俺の知覚速度が反射の如く引き延ばされる


 待ちはしない


 俺も前へ


 相手に習うように力を纏ったまま魔力を纏う


 そして足を前へ踏み出そうとした時、変化は起きた


 知覚速度が引き延ばされている中、奴の動きですら遅いのに、俺は速く動けたのだ


 理由は直ぐに分かった。俺の金の魔力を黒い力が取り込んでいるのだ。これは異常な事の筈だ。奴の驚愕を露わにした表情。それに、奴が纏う力と魔力は混ざり合わず、むしろ反発し合っているように見える


 理由は不明だが、今この瞬間が好機であることに変わりは無い


 初見殺し過ぎてこれを使うのは戦いがつまらんくなるから使いたくなかったんだが、そんな事も言ってられない状況


 甘さは捨てる


 未だゆっくりと向きを変える王の前へと移動する


 急な力の上昇はギルティアスやその他、似たような効果のある武器や魔道具で慣れている為、問題はない


 王が槍を繰り出し、あの枝別れを用いて面の攻撃で以って迎撃してきたが、俺は気にせずにギルティアスを突き出し




 王の核を貫いた




 ~~~~~~




 バキンッ


 何かが壊れるような感覚を感じながら、力を引き出すことに成功した


 そして、溢れ出した力は、魔力の色とほぼ同じ銀。多少、白に近いかなといったくらいの細かな違いだが


 それにしても、この力は想像していた以上に凄い


 魔力だけの時と比べて身体強化による諸能力の上昇が凄まじい


 だけど、コントロールが上手くいかない。というよりも出来ているのかすら分からない。どの様な力か分かっていない為、どうしたら良いのかが分からない。身体強化はただ纏っているだけで上昇している様に感じる


 今出来そうなことと言えば、この上昇した身体能力でもって近接戦闘をするか、この力と魔力をアギスへと集めて敵へと一気に放出する事くらい。正直なところどんな事になるのか分からない。でも、今回は後者の方で十分な気もする


 アギスを大上段へと構え、2つの力を纏わせ、敵を見据える


 どういう原理かは分からないが、今は騎士の見えなかった力が見えている


 青だ、光を呑むような深い青


 騎士も俺と同じように大上段に構え、赤の魔力と青の力を螺旋のように纏わせている


 不必要な情報を遮断して行く


 音が消え、色も落ち、ただこの剣を振ることのみに力を傾ける


 視線が交錯する


 騎士の視線からは驚愕、好奇、寂しさ、色んな物が伝わってくる


 それに対して俺が思うことは悔しさと尊敬


 剣で及ばなかった。あの力を使われていなかったとしても、俺はあの騎士に剣のみで勝ててはいなかっただろう。剣で勝てなかった悔しさと、その腕前に敬意を表する


 そして


 剣は同時に振り下ろされ


 力が衝突し


 俺の2つの力が合わさった銀のエネルギーが騎士の放った赤と青のエネルギーを吹き飛ばし、騎士を呑み込んだ

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