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84:天使

 

 なんか王都に行くのは俺達待ちということが分かったので、全て殲滅していく方針から攻略速度優先へと変えた


 魔物は遭遇したものだけを倒して最短距離を駆け抜ける


 魔物についてはアイテムボックスから取り出した連結剣と持っていた2本の剣を飛剣で操り俺だけで片付ける


 最短距離に関してはフレッドのスキルで分かるらしいのでフレッドの案内で進んだ。俺やソウマでもやれば出来ない事もないが手間がかかるし疲れるのでフレッドにお願いした


 因みに31層から34層は神殿と言ったらこんなのを思い浮かべるような感じで白い。天井が高くて荘厳な装飾が施された柱が等間隔で配置されている。柱は俺が腕を回しても届かない。俺が2人分くらいだろうか


 ダンジョン内の様子はそんな感じで、出てくる魔物は体が真っ白で表情がない人形。大きさは170くらいで役割によっては多少違いがある。武器を持っているのだが、剣だったり槍だったり杖だったりと様々だ


 その強さは下の層だけあって強い。体は頑丈だし、パワーやらスピードなんかもある。他にも人の形をしていても人形だ。その為、関節に縛られたりする事はなく、意表を突かれる。まあ、慣れたらなんてことは無かった。というか、飛剣で戦っただけなのであんまし参考にはならないが


 31層からボスのいる35層までの道程ではその人形しか出てこなかった。下りていく毎に数が増え、遭遇頻度が上がったくらいだ


 今も遭遇した真っ白人形を飛剣で斬り裂きながら進んでいる。多い時にはソウマも魔法で撃退する


 現在は34層。かかった時間は4時間。結構かかってはいる。普通の冒険者がどれくらいかは分からないが、今までの攻略と比べれば早い。殲滅をしなくなったのが1番だと思うが、フレッドが優秀だということも間違いない。ここまで来るのに1度も立ち止まらなかったし、迷ったり、行き止まりなんてことも無かった。それに罠にも全くかかっていない。俺やソウマも罠を察知するスキルなんかは学校で取得したが、レベルはまだ低い。その為、道中では幾つか察知できなかった物もあったが、フレッドが教えてくれた。別にスキルでやらなければ俺やソウマでも容易なんだが、そこはスキルのレベル上げのためなのでしょうがない。うん。悔しくなんてないよ?


 と、そんな事を戦闘中でありながら頭の片隅で考えていれば35層への階段が目の前に


 さあ、楽しい時間はもう直ぐだ






 階段を下りた先は31層から続く神殿のような雰囲気のままだが、違う点が幾つかある。広いと言えば広いが学校の演習場くらいの広さで円形。天井が球体のように丸い。そして、今までと同じような柱が壁際に等間隔で配置され、中央に4倍ほどの柱が1本。各柱には、鳥のような羽が生えた人の石像。有り体に言えば天使の像だ。勿論、中央の柱の天使は他と違う。他のを天使とするなら、そいつは大天使と言ったところか。石像ではあるが、30層の火龍と同じ様にとても精巧だ。ただ、こちらは石の色合いのままなので勘違いする事はない


 てか今回はなんかやばそうだ。あんまし役に立つ事は無いけど俺の勘が警鐘を鳴らしている。危険があると。いくら深部とはいえ、まだ俺のレベルよりも低い。だけど危険を感じる。恐らく特殊な能力か厄介なスキルだと思われる。ソウマに目を合わせればあいつの方も同じ考えなのが分かった


 ここの神聖な雰囲気にのまれてか、ポカンとしているフレッドに喋りかけながらシールドとソニックをかける


「フレッド、エクストラスキル使って戦って」


「え?今回そんなにやばい?」


「ああ、勘だけどね」


「分かった」


 今のやりとりだけで現状を把握してくれたようだ。やはりフレッドは優秀だね


 警戒を強めながら、中心にある柱に向かっていくように歩を進める


 そして、この場が光に包まれる


「ぐっ!」


「まぶしっ!」


 このフロアにある天使の像が全て光り始めたのだ。俺は【龍の眼】のおかげでなんともないが、ソウマとフレッドは別。突然の光に目を閉じている


 光はすぐに収まった。だが、前後の変化は劇的だった


 目に映る景色は、その自らが持つ羽で飛ぶ天使の軍勢。そして、体から微かな光を発する槍を持つ大天使。天使は槍だったり剣だったり弓など持っている武器は様々。数は天使が200、大天使が1


 天使は石像だったのだが、光の後には火龍と同じように本物と見紛うほどの精巧さに加えて髪の色、肌の色が石の色から変わっていて生きているようにしか見えない


 そんな何処か幻想的な光景


「我は主の代行者。そなたらに試練を与えよう」


 そして、大天使が両の手を開き鷹揚にそう告げれば、天井にいくつもの光が生まれた


 量が多い上に1つ1つがかなりの魔力を内包してやがるな


 と冷静に分析したところで予想外の事が


 キェェェェェェェェェ!


 天使達が悲鳴のような、それでいて超高音の声で叫び始めたのだ。その声はここの円形広場で反響、増幅し俺達の脳を揺さぶる


「ぐっ!」


「がっ!」


「うっ!」


 突然の大音量にフレッドの耳から血が流れる。俺とソウマはレベルの補正で鼓膜が破れてはいないが獣人の特徴として耳が良いのでとんでもなく辛い


 早く対処しないと主にフレッドがやばいので打開の一手をうつ。照準を喧しい天使供の口、使うは風属性。音を伝えさせない為に真空に。残念ながら石像なので息が出来なくて死亡ということはない。しかし、本命の喧しい音は消す事が出来た


 そして、天使達の音を止めたタイミングで光の雨が降り注ぐ


 ソウマはまだキツそうだったので俺が対処する。正直、音で脳が揺られたことと先程の天使達への魔法で集中力がかなりヤバイ。だからスキルに任せる


 発動したのは、あるダンジョンをクリアして手に入れた【七星】。7つの浮遊する物体が俺の意志のもとに自動で迎撃する。浮遊する物体の形は全て違い、丸、トゲトゲ、三角の合わせなど。それらが俺達に当たる攻撃を全て迎撃した


 その間にフレッドにハイヒール、自身にもヒール。自分にやったのは念のため


 しばしの間、降り注ぐ光と【七星】の攻防が続いた


 にしても殺す気満々だな。急に難度上げ過ぎだろう


「聞いていた通りですね」


 光の雨が止むと同時に大天使が言葉を発する


 こいつ、しっかりと意志がないか?

 最初は予め決められた事を喋ったのだと思ったのだが、今のは確実に感情が篭っていた。あんなの唯の作り物に出せるものではない。ただ天使達は別のようだ。生きているようにしか見えないが、感情も意志も感じられない。大天使と比べるとその雰囲気も、目も違う


「お喋りは良いんだよ。劇的な挨拶貰っちまったからな。今度はこっちから行くぜ」


 お、ソウマにスイッチが入ったみたい


「ふふふっ、そう焦らずに」


 が、大天使の方は取り合わない。というか、何処かこちらを見下した感じがするのは気のせいだろうか


 そんな事に気付かないソウマではなく、すぐさま槍を両手に持ち、切っ先を大天使に


 そして、口を開きかけた大天使目掛けてソウマの音を置き去りにした突きが放たれた


 パァン!


 その速さに槍が霞み、音は遅れ、空気が破裂する。生まれた衝撃波が大天使に飛んでいき、吹き飛ばした


 大天使は後ろで浮遊していた天使達の方に飛ばされ、突っ込んだ。天使とぶつかっても大天使の勢いは止まらず、2体3体と次々に吹き飛んでいく


 暫く吹き飛び続け、自分の羽で静止した大天使の顔には屈辱と憤怒が浮かんでいた


「下界の人如きが、偉大な神に造られし私を……」


 小さい呟きを漏らし、顔が下に向き表情が隠れる


 次に顔を上げた時にその顔にあったのは溢れんばかりの殺気。大天使の魔力が膨れ上がり、バキンッと何かが壊れた音と共に羽が1対増え、輝きが増した


 明らかに封印を解いた様子の大天使


 てか、短気だな。おい


 更に大天使につられようにして、天使達の表情も変化し、怒りを表しているように見える


 まあ、強くなったことは歓迎すべきことだ。フレッドはキツイだろうが頑張ってもらおう。まあ、数は減らしといてやるか


 戦いは、ここからだ



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