70:新たな仲間
放たれたメテオーロ・ラスタバンの辺りへの被害は甚大とは、ならなかった
位相をズラしていた時空魔法の効果は無くなってしまったが時空魔法はしっかりと役目を果たしたのだ
俺は上半身だけとなりながらもしっかりと生きている異形の下に向かう
異形の下に向かいながら思うのはあのよくわからない意思のこと。気にしないようにしていてもずっと聞こえていたのが途中から全く聞こえなくなったのだ。結局あの意思の意図するところは何だったんだ?
それとソウマの方はしっかりやってくれただろうか。あいつは偶に物凄く間抜けなことしでかすから少し心配だ。まあ、俺もソウマのことは余りとやかく言えないが
そう言えば異形の正体も分かってないんだよね
まあ、ステータス見たりすれば分かることか
異形の仰向けに倒れふす横に着いた
「ちゃんと生きてるな」
「カラダハウゴカナイガナ」
ちゃんとした応答。改めて思うのはしっかりと知性があること。それと最初よりも会話が成立する。俺と会話したことで成長したのだろうか
まずは治してやらんとな。契約や何やらはその後だな
「少しじっとしてろ」
異形の胸の辺りに手を置き、スキルの【再生lv10】を使う
たちまち、異形の体はスキルの銀色の光に包まれ光が消えた後には下半身が元通りとなっていた
その事象に驚きを顕にする異形。自分の再生力でも治らないものが治り、訳がわからないと言った感情が伝わってくる
いや、俺のこのスキルがとんでもないのが悪いと思う。だからって使わない訳じゃないけど。ある物、持ってる物は使ってこそ意味があると思うんだよね
体が元通りとなった異形は立ち上がり軽めに跳ねたり、足踏みしたり、手で触ったりと元通りとなった下半身を確かめる
ひと通りやって落ち着いたのか動きを止めこちらを見る異形
すると突然片膝を地面につけて頭を垂れた。所謂臣下の礼をとった
「そんな体勢になってどうした?その意味分かってるのか?」
ラキアも同じ事やってたっけ
「イミハナカラナイ。ダケド、コウシタホウガイイトオモッタダケダ」
意味はわかってないけどするってことは本能か?それともその知識を持っているのか
「まあいいや。結局俺の仲間になるって事で良いんだな?」
「イヤ」
え?
勿論大丈夫とかそこら辺を予測していたのだが完璧に外された。まさかまだ戦うのか?いやね、俺としては嬉しいけども
「ナカマデハナイ。シュジュウダ」
シュジュウ。主従か?
「オレハヒトデハナクマモノ。ソレニ、オマエハオレニカッタノダ。チャントシタガエテミセロ」
唐突に顔を出した獣の本能。それは大きく、力強いものだ。そして、最初の時にはなかった己の意思が乗っている
それにしても、生意気なことだ。だが、それでいい。従うだけの人形なんて要らないのだ
「アルジヨ、ワレニナヲ」
そうだな
「お前の名はファイオスだ」
~~~~~~
「うわー、あれ使ったんかよクウガの奴。そんなに苦戦してたようには見えんかったんだけどな~。まあ、向こうは終わったみてぇだしこっちもそろそろ吐いてくれると楽なんだけどな~」
白銀のドラゴンが天へと消えていくのを見ながらそう告げる金の怪物
今の状況は最悪だ。私と生かされた1匹のドラゴン以外が全て殲滅された。気絶させられたとかではなく、全て殺された。目の前にいるまだ子供だと分かっている今回のターゲットに。一瞬の躊躇いも、逡巡も、迷いも、なく殺された
働くのが面倒で、でも死にたくなくて、それで試しにやってみた人殺し。その後は親を殺して金を奪い、村にいた野郎どもを殺しまくって女を犯し、金を奪って村を出てからも窃盗や殺人色々やって流れついた魔王軍でそれなりに出世してきた。今回は副隊長という地位を得て成功すれば出世の可能性の高い簡単な任務だと、そう思っていた
だが今回の任務は簡単な物なんかではなかった。珍しく作戦のようなものまでやって、5000を超える戦力でもって襲撃したにも関わらず、結果は惨敗。いや、完敗と言うべきか
我々はターゲットである2人の化け物になすすべも無く蹂躙され、残るのは拘束された俺だけだ。隊長なんか急に現れたもう1体の化け物に殺されたし
くそが。俺は死にたくねぇ
「俺を逃がしてくれんなら言ってもいい」
最後の望みをかけてそう言えば
「んー……良いぞ。言ってくれたら逃がしてやる」
こいつはとんだ甘ちゃんだったみてえだな
ははは、俺にも運が残ってやがった
「わかった!なら言う!俺達の上は魔王のゲオルギウスだ。目的はお前ら2人の抹殺だ」
「やっぱりか。ん、ご苦労様。言って良いぞ」
俺を拘束していた光の鎖が取れる
こう言う時はさっさとおいとまするに限るぜ
そうしてこの場から速攻で去るために反転し駆け出そうとした俺の視界が揺れた
なんだ?
視界は地面にまで落ちた。そんな視界に直ぐそばで倒れる首から上の無い見覚えのある体
「てめぇみてぇな屑生かしとくわけねぇだろうが」
そんな声が聞こえたのを最後に俺の意識は無くなった
~~~~~~
「なに!? 全滅!?」
おっと、少なくとも負ける可能性は考えていたのだがな。全滅するとは思わなかった。まあ、あのウザい奴が死んだのは喜ばしい事だ
「はい。1体のみ帰還したドラゴンがいるにはいたのですが、それも逃がされたようなものなので全滅と言うのか正しいかと。隠密による確認も済んでいます。それともう1つ報告が」
まだ何かあるのか
「1体だけ帰還したドラゴンですが、先程爆発して周りに小さくない被害が出ました」
警告かただの嫌がらせか。どちらにせよ直ぐに仕掛けることは出来ん
何よりも奴等が予想以上に強い。今回の戦力も決して弱いと言うことはなかったのだ
だからそれ相応の戦力をぶつけなければならないが、今は回せる戦力がない。堕神がやられてしまったことが大きい。扱い難い奴だったが有能だったことには違いない
「報告は以上か?」
「はい」
「分かった。なら下がれ、私は今から魔王様に報告に向かう。それと奴等に決して気付かれんように常に動向を捉えておけ」
「分かりました」
部下が退出し、私も部屋を後にしてクソ魔王の下に向かう
こんな物が無ければあんな屑野郎などの為になど働かんのに
首に嵌る黒い首輪が恨めしい




