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37:突然の襲来

 

 クウガと別行動をしていたソウマは馬車で4日の距離を2日で王都へと向かい、着いたその日に城でナキアと会うとナキアを連れ出して城下町に買い物に出ていた。


 ソウマは今まで貯めてきたお金が有ったので高価な物が買える。と思っていたのだが、ナキアが選んだのは露店にあった、値段の安い翼の形のペアネックレスだった。


「本当にそんな安いので良かったのか?」


「値段なんて意味ないわよ。これが気に入ったの」


 買ったネックレスを持って元気な笑顔を見せられ、ならいいかと思うのだった


 その後も色々とお店や露店を冷やかして、夜は王や王妃と共に城で食事を摂り最近の事を話して城に滞在した。


 そこから2日はナキアの魔術の練習に付き合ってあげたり、兵士や騎士の訓練に参加して、模擬戦をしたりという感じで過ごし、ミネラへは2日かかるので今日が最後だ。


 その日は特に今までと変わりは無かった強いて言えば空が曇りであったことか。城の練兵場で朝の鍛錬を行っていた時だ。突然、殺気と魔力を上空から感じ横に飛び退くと先程までいた場所に炎の槍が突き刺さり爆発した。攻撃の飛んできた方向を確認すれば鳥の羽を背中から生やした紫髪の女が空からこちらを睥睨していた。


 誰だ?何で攻撃された?


 そんなことを考えた瞬間、ギリギリ目で追えるほどの速さで腰にあった剣を抜剣しながら降下してきた。


 はっや!


 その速さは声を出す間もなく、ギリギリで避けるのが精一杯だった。女は地面に着地する


「今のを避けるなんて流石はあの《魔闘士》の息子と言ったところかしら」


 俺のことを知っててやったみたいだな。狙いは何だ?


「お前は誰だ?何が目的だ?」


「あたしはね~、魔王ハリウス様配下ネルシウス。貴方を捕らえに来たのよ。あんたの父親である《魔闘士》を殺すためにね。大人しく捕まってもらうよ」


 父さんを殺すために俺を?んなの捕まるわけにはいかねぇじゃねぇか。


「はっ!テメェなんかに捕まるかよ!」


 確かに速さは俺よりも速い。だけどあれ位なら負けることなんてない。


「そうなのよね~、あたしの強さはそこそこあると思っていたのだけど。まあ、あたしの本領は別なのよ。ハリウス様に与えられたこいつを使うことだからね!」


 ネルシウスが両腕を広げると真後ろに巨大な、城に匹敵するほどの大きさの魔法陣が出現した。


「来い!ベドラグア!」


 ソウマが知るところでは無いが、それはクウガが見たある英雄譚で語られていた魔物だった。巨大な熊の見た目に8本の尻尾の先端には顔がある魔物。


 ソウマは感じた。その圧倒的な魔力と圧力を。今までの魔物とは違う。圧倒的な格を。


 ベドラグアが吼える。


 ゴアァァァァァァァァァァァ!


 練兵場の地面が咆哮の威力に耐えられずひび割れる。


「そこの坊やを攻撃しな!」


 ネルシウスの命令を受け、ベドラグアの視線がソウマを捉える。


 ソウマは構えた。


 だが、次の瞬間には吹き飛ばされていた。


 は?


 突然の激痛と共に吹き飛ばされてソウマの中ではその事態を理解できずにいた。


 練兵場の壁を突き破り、王城を囲む内壁の外へと繋がる扉もぶち抜いて貴族街に吹き飛ばされた。


 ソウマは飛ばされた大通りを暫く転がって停止した。周囲にはいきなり内壁の中に魔物が現れ、ソウマが吹き飛んできたことで早くから働いていたりした者たちが驚いていた。


 まずい。こんなに大勢の人が居るのにあんなのが暴れたら!


 それを危惧したと同時に急に辺りが陰る。ソウマと周りにいた者達は上を見上げ理解した。なぜ影が辺りに出来たのかを。雲が太陽を隠したのではなく、ベドラグアが跳び上がり上から降ってくる所だったのだ。


 ソウマは一瞬で判断を下す。スキルの【高速思考】《並列思考】を起動、更に身体制御で知覚速度を引き伸ばし風の魔術で近くにいた人を飛ばし、自分も地を蹴り離脱する。


 ドッゴーン!


 ベドラグアの巨体が着地したことで石で綺麗に舗装されていた大通りを破壊、近くにあった店なども破壊されている。


 外に出ていてソウマが視認できた者たちはソウマが助けることが出来たが、建物の中にいれば死んでしまったか、助かっても重症だろう。


 そして、ベドラグアが右手で攻撃を仕掛ける。知覚速度を今できる最大で知覚速度を引き伸ばしたので今度は目で追えている。だけども回避が間に合わない。腕をクロスして防御を図り、目の前には咄嗟に作り出した障壁5枚。そして攻撃が当たる瞬間飛ばされる方向へと跳び、威力を流す。


 だが、それでもソウマは猛烈な勢いで吹き飛ばされ家々を突き破りながら飛んでいった。


「良いわね!このまま王都を破壊しなさい!」


「んなことさせるか!」


 右手によって吹き飛ばされた時に負った怪我をハイヒールで即座に治療し王都を破壊するために振り下ろそうとしていた腕目掛けて炎牙を放った。


 腕を断ち切るつもりで放った炎牙はしかし、少し切り裂いた程度の効果しかなく。腕は無情にも振り下ろされた。


 バガン!


 地面がお皿のように割れた。


「きゃあぁぁぁぁ!」


「うわぁぁぁぁ!」


「た、つ助けてくれー!」


 人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。兵士や騎士が城に地下の避難所があるので誘導していく。


 ここにきて、ソウマの内心は荒れ狂っていた。ここで冷静さを失ってしまえば良いことが無いのはわかっていても。王都にはそれなりに生活していたことから知り合いも居るし、何よりも彼らは戦士では無いし、罪は無いはずだ。それなのに理不尽によって殺されている。


 そして、ソウマの中で冷静さを保っていた部分が破綻した。


「やめろよぉぉぉぉぉ!」


 声を上げベドラグアに向けて突貫する。その強い衝撃に蹴った地面がひび割れ、ソウマがとんでもない速さで駆ける。


 瞬く間に距離を詰めて渾身の跳び蹴りを放つ。


 だが、その攻撃は避けられるでも、防御されるでもなく、ただただその分厚くて強靭な体毛に阻まれた。冷静さを失って繰り出した攻撃は技も何もなくただ力にものをいわせただけであった。


 ベドラグアは全然効いた様子もなくソウマを鬱陶しそうに払いのけた


「うぐっ!」


 またソウマは吹き飛ばされる。


『主!ワシを出すのだ!時間稼ぎなら出来る!』


 ジアラが声を掛けるも冷静さを失い焦燥感の中にあるソウマに聞こえてはいない。それに、ジアラが出ても時間稼ぎにしかならない。ジアラも強いのだがベドラグアには勝てない。


「がはぁっ!」


 吹き飛ばされ、建物にぶつかったことで止まり、血が口から吐き出される。


 早く倒さねぇと行けねぇのに!このままじゃ王都の人達が。ナキアが。死んじまう。


 力が、力が足りねぇ。あの魔物を倒せる力が。俺には助けることは出来ないのか?


『諦めるのか?』


 声が聞こえた。女の声だ。


 それは突然だった。ジアラの声も届かなかったソウマに声が聞こえた。それには答えないといけないと直感で感じた


「力が足りねぇんだ。俺の今の力じゃあいつを倒せねぇ」


『ならば求めよ!善の心を持ち悪を滅し善を成そうとするならば!我がお前に手を貸してやる!』


「俺は欲しい!あの何の罪も無い人々に害を為すあの魔物を滅する力が!みんなを守れる力が!」


『であれば叫べ!我が名は、宝具ギルティアス!我を使い敵を撃て!』


「俺に力を寄越せ!ギルティアス!」


 ソウマの叫びに応じて、目の前の何も無い空間が輝きだす。その光は強く、ネルシウスにベドラグアや王都の人々がその光に気付き光の方を向く。


 光の中から現れたのは1本の槍だ。白に赤の模様が入れられ、途轍もない魔力を内包していた。ソウマはその槍に見入っていた。そして、ギルティアスがソウマに声を再び掛ける


『さあ、我を手に取り力を使え!そして我を使いこなして見せよ!』


 ソウマは手を伸ばす。ネルシウスはそれに危機を覚えた。あれはマズイと。


「ベドラグア!あの坊やに槍を取らせるな!」


「ガァァァァ!」


 ベドラグアが吼えソウマに向けて尻尾を向かわせる。それは物凄い速さだったが、ソウマが槍を手にする方が早かった。


 ソウマがギルティアスを手に取ったことで能力が発動する。ギルティアスを持ったソウマを白色のオーラのような物がその身を覆った。その瞬間にソウマの先程受けた傷は全快し力が溢れてくる。


 何だこれ、俺の全力の何倍くらいの力だよ


 そして、ベドラグアの尻尾がソウマへと迫り来る。ソウマは尻尾を捉え、ギルティアスで打ち払う。先程攻撃した時はダメージも衝撃も与えられなかったほどだったのに、今回は尻尾を弾き飛ばした。


「ギルティアス、これどうなってんだ?」


 ソウマがギルティアスを見て尋ねる


『それが我が持つ2つの能力の内の1つ。悪しき者に対峙した時使用者の身体能力の向上だ。多くの人々の祈りによって我に発現した。だがこれは制限時間付きだ早々に勝負を決めろ』


「そうか、なら早速行くかね」


 ソウマ、冷静に


 クウガの言葉が脳裏に蘇る。


 ああ、分かってる。今度はしくじらねぇよ


 地面を蹴り、【縮地】を使いベドラグアの横に一瞬で移動し、ギルティアスを尻尾の付け根に向かい突き出す。


 ボッ!ギャアアアアアアア!


 ソウマの突きによって尻尾が吹き飛び宙を舞う


 このままじゃあ、王都が滅茶苦茶になっちまうな。


 そう考えソウマは大地を踏みしめ左足を少し後ろに引き、ギルティアスを左側に引き横に振るった。


 横に振るわれたギルティアスに強打されたベドラグアは宙を舞い王都の外へと吹き飛んだ。


「まじでできてしまった」


 普通に出来てしまったことに驚愕していると。ネルシウスが逃亡しようとしているのが視界に入った


「ジアラ、さっきは悪い。あの女を頼めるか。捕まえたりはしなくていい」


『心得た』


 ネルシウスはジアラに任せソウマはベドラグアのほうへ向かう。1回の跳躍で外壁よりも高く跳び【空歩】で宙を蹴り飛んでいったベドラグアの所へ向かう。


 ベドラグアは飛ばされはしたが、無様に転びはせず、着地を決めていた。が、そこにソウマの追撃の横殴りが頬に入る。


「グギャッ!」


 ベドラグアはもろに攻撃を食らってしまうも7つの尻尾をソウマへと振り下ろす。


 尻尾が吼えながらソウマへと向かう。ソウマは空中で静止しギルティアスを引き絞る。引き絞ったギルティアスに炎が纏わりつく。7つの尻尾が迫り、ソウマの間合いへと入った瞬間ボッ!という音と共に尻尾の先端にあった顔が7つとも一斉に消滅した。


 ガアァァァァァァァ!


 最初の他を竦ませるのうな咆哮では無く、痛みの絶叫をあげた。先端を吹き飛ばされた尻尾は地面をのたうちまわる。


「まだまだ行くぞ!」


 ソウマが留まっていた宙を蹴り、痛みに呻くベドラグアの左腕に向けて降下する。ベドラグアは反応出来ずにソウマは腕の付け根辺りをギルティアスを突き出して、貫通した。左腕は地に落ち、ベドラグアは再びの絶叫を上げるが無視をして、攻撃を続ける。地面に着地してすぐに目の前にきた左足に向けて3回突きを放つ。ギルティアスの能力によって向上した力でもって大穴を穿っていく。ここでベドラグアからの右腕による反撃が入ったが、ギルティアスで弾き右腕の付け根へと突撃し、左腕と同様に腕を地に落とし、一旦距離を取る。


 両腕を失い左足は大きなダメージ、尻尾の顔も吹き飛ばされベドラグアは既に満身創痍だった。だが、最後の抵抗だろう。ベドラグアは魔力を高め大きく口を開けてそこに魔力を集中させていた。


「ブレスか。ならこれでケリをつけよう」


 ソウマはギルティアスの穂先を下に向け構え、ソウマもまた魔力を高めとっておきを使う。


 ギルティアスに炎が、雷が、風が纏わりつく。それは3属性の同時行使。3つの属性が螺旋を描きギルティアスを覆う。


 そして、両者が攻撃を放つ。


 ベドラグアは炎の収束したブレス。収束したと言ってはいるが物凄い太さだ。


 対するソウマはギルティアスをブレスに向け突き出し、力を解放した。それは一条の閃光となり、ブレスと衝突するとブレスを蹴散らしベドラグアの頭を吹き飛ばし、そのまま空へと向かい鬱蒼と立ち込めていた雲を吹き飛ばし消えていった。


 ベドラグアは頭を吹き飛ばされ、前のめりに倒れていき動かなくなった





 ベドラグアを倒した後、ギルティアスの強化が消えるとかなりの怠さに襲われベドラグアはアイテムポーチへと仕舞い、戻ってきたジアラと王都へ入り城に向かった。ナキアに大勢の前で泣いて抱きつかれちょっと恥ずかしい思いをして疲れをとるために睡眠をとり、起きてからは腹ごしらえをして復興の手伝いを2日ほど行い、ミネラへと戻った。


 少し予定よりも遅くなったがミネラに戻りクウガにギルティアスを自慢しようと意気揚々と向かった

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