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26:敵を殲滅します

 

 街道は目立つので森を進むこと30分。先行した偵察組が敵を発見したらしい。敵は既に山を越え、森を破壊しながらこちらに向かっているらしい。前情報通り敵の戦力は尋常ではない数のゴブリンで、上位種が多くいるようだ。それと、指揮官と思われる者と他数名もしっかり確認したようだ。


「皆聞いてくれ!今から大まかな指示を出す。先に魔術で奇襲を掛けたいので無詠唱か魔術名のみの詠唱で攻撃できるもので魔術が使える者は攻撃だ。その後、魔術士はでかいのを撃ち込んでくれ。詠唱に時間がいると思うから盾持ちの護衛を残す。近接系は魔術が放たれた後に自分のできる範囲で行動しろ。これから敵の横に抜けて直ぐに攻撃に移る!遅れるなよ!」


「「「「「「「「おう」」」」」」」」


 偵察組の先導の元、敵に近づいて行く。5分すると俺の感知範囲に入り無数の気配を感じ取った。


 うひゃ~、物凄い数だ。数えるのが億劫になるほどいる。


 俺達は敵に見つからないように横に抜けて即反転リーダーの合図を待つ。


「魔術、放てー!!!」


 リーダーの掛け声と共に無数の魔術が敵に降り注ぐ。今俺達の通っている場所は少し坂になっており、魔術が敵に上から降り注ぐ形となった。


 ズドーン! グギャー!ギャ!


 氷の矢が、炎の球が、雷の槍が、魔物に当たり周りの魔物もろとも吹き飛ばしたり貫いたりしている。


 ドガァーン!ドガァーン!ドガァーン!


 そんな中俺とソウマの放った無数の爆発させる炎の球はありとあらゆる場所に降り注ぎ爆発し、雑魚を殲滅していく。


「誰だよあのとんでも魔術放ったやつ!」


「あの威力はおかしいだろ!」


「僕にあの魔術教えて~」


 俺達の魔術の威力で冒険者が騒ぐ。幸い誰が放ったのかは殆どの人がわかっていなかったので放っておいても大丈夫だろう。ま、そんな事よりも今はやるべきことがある。


 ソウマと顔を見合わせる。お互いに笑い、前を向く。ソウマは槍を、俺はアギスを構える。


 さあ、始めようか。


 蹂躙を!


 ~~~~~~


 ズドーン!ドガァーン!ドガァーン!


 街までもう30分ほどの所で横合いから魔術が繰り出された。ワイバーンが地上からこちらへと向かってくる。


「隊長!敵襲です!」


「わかっている。数は?」


「はっ!100人ほど確認しております」


「こちらの被害状況は?」


「先程の魔術でゴブリンが500ほどです」


「ではゴブリンで時間稼ぎをしてゴブリンジェネラル、ソードオーガ、ミノタウロスを投入しなさい」


「はっ!」


 指示を受けた男がワイバーンを駆り地上に向かう。


「100とはかなり少ないですね。街自体に戦力があまり無いのかもしれませんね。さくっと殲滅してとっとと目的を達成しましょう」


 軽薄そうな男、この部隊の隊長は余裕を持って目的地へと向かう。だが先程のワイバーンがまた戻ってきた


「隊長!」


「なんだ!先程指示は出したであろう!」


「いえ、それが」


「なんだ!はっきりと言え!」


「ゴブリンは全滅、更にゴブリンメイジゴブリンアーチャーも殆どやられました」


「なに!?」


 余裕の表情が驚愕へと変わった


 ~~~~~~


 敵の集団へ正面から斬り込んで行く。左に右に持つ剣を持ってきて横薙ぎに振るう。振るう瞬間に剣を魔力で伸長、ゴブリンを纏めて薙ぎ払う。そこに踏み込んで行くと同時に今度は右から左へ横薙ぎに振るい薙ぎ払い進む。偶に数体が突出して攻撃してきても攻撃をスレスレで躱しカウンターでひと振りで斬り殺していく。


 アギスの能力を使うまでもないな。


 少し離れた所にいるソウマは槍に風を纏い渾身の突きを目の前のゴブリン共へと突き出す。槍が纏っていた風が解放され、グブリンを風の刃が斬り刻み吹き飛ばす。


 ゴブリンは瞬く間にこの2人の圧倒的な力で蹂躙されていく。ソウマの近くでは槍が突き出されるたびに風が炎が雷が吹き荒れる。クウガの近くは高速の見えない斬撃が走り、近寄った者はは問答無用で切り捨てられる。しかし、そんな光景を見せられても敵は2人の圧倒的な力を前にして逃げようとする様子はない。いや、実際には逃げられないと言うのが正しいのだが。


 ゴブリン達は無謀でも突っ込んできて、即座に斬られ、焼かれ、吹き飛ばされ、死んでいく。ゴブリンメイジやゴブリンアーチャーが遠距離攻撃を繰り出すも、2人は避けるなり叩き落とすなり相殺するなりして無効化してしまう。





 そんな戦場で動かない集団があった。冒険者達だ。彼らは目の前で戦いを繰り広げる自分達よりも年下の、それもまだ子供の年齢の2人が自分達よりなんか敵わない圧倒的な強さを見せつけて蹂躙していく様を見て呆然としていた。


 彼らも2人が強いと言うのは聞いていた。噂を聞いて、助けられた者から聞いて、ダンジョン内で見かけた者から聞いて、その強さを知っていたつもりだったが2人は冒険者達の想像を超えていた。


 そんな中いち早く我に返ったリーダーが指示を出す


「おまえら!呆然としている場合じゃねぇ!」


 その声に冒険者達は我に返る。ここにいるのは奇襲をしてそれなりの戦果を挙げて帰還することが出来ると判断された、それなり以上の力を持つ者達である。ランクはC~A、冒険者ではベテラン以上の者達だ。何時までも呆然としている訳には行かない。なによりも


「子供に全て任せきりにする訳にはいかねぇ。あいつらはまだ冒険者見習いだが、俺達は冒険者だ。先輩としての意地を見せろ!行くぞ!」


「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」


 冒険者達が雄叫びをあげてゴブリンアーチャーやゴブリンメイジのいる場所へと突撃する。前線を作っていたゴブリンは既に壊滅状態で盾となる者達はいない。冒険者達に続いてクウガやソウマも加わり、数分と経たない内に最初の魔術での奇襲と合わせゴブリン2000、ゴブリンアーチャー1500、ゴブリンメイジ500が討伐された。





 前の方にいたゴブリンは全滅させたが、まだ後続が沢山いる。しかも先程までのゴブリンとは違うようだ。その見た目はゴブリンよりも背が高く、髪が生え、しっかりと武装して普通のゴブリンよりも人に近づいている。肌が緑色なので人間ではないとすぐにわかるが。更にその後ろにはオーガがいる。だがこちらも普通のオーガではない。背丈は変わらないが、腕の肘から先の部分が緩く反りのある蟷螂の鎌のようになっている。更にそのオーガと混じって牛頭で斧を持ったオーガよりも少し大きいくらいの奴がこちらに迫っていた。


 ボブゴブリンにソードオーガ、あとミノタウロスだったかな。ボブゴブリン以外は初めて見るけど、またやる事は変わらない。ただ殲滅するのみ。


 まだ距離があるので遠距離攻撃で先制させてもらおう。ここはまた派手に行こうかな。


「ソウマ!ブレスやるから少し待って!」


 駆け出そうとしていたソウマを止めてイメージを構築する。【龍魔法lv1】で【属性合成】を使い炎をベースに雷を合成。


 変化によって顔が龍の物へと変わる。目は既に戦闘の興奮によって瞳孔が縦になっていたが、角が人の時よりも伸び口がドラゴンの様に前に少し突き出て牙が並ぶ。


 天を仰ぎ大きく息を吸う


 俺の様子を見ていたソウマが慌てて冒険者へと声を

 かける


「みんな耳塞いで!」


 俺はそれを横目に確認し、魔物へと向かって息吹(ブレス)を放つ


 ガアァァァァァァァ!


 俺の口から炎と雷の合わさったブレスが放たれ、こちらへと向かっていたボブゴブリン、ソードオーガ、ミノタウロスを消し炭にする。


 俺が放ったブレスによって半分以上が消し炭と化した。

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