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  作者: 箕雨シキ
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- つまらないゲーム -

 これはただの意地の張り合い

 つまらない連鎖

 お前はそんなこと

 微塵も思ってないのかもしれないが

 本当につまらない 我慢比べ


 どちらが先に折れるだろう

 どちらが先に押しつぶされる?

 当たり前のように結果は確定

 つまらないゲーム 吐き気


 これじゃあただの意地の張り合い

 終わらないたわむれ

 お遊びはほどほどに

 もうそろそろ あなたの声が聴きたいわ


 お前の考えは手にとるようにわかる

 だからこそ

 たまには逆の気持ち 溺れてみろよ


 これはただの意地の張り合い

 予定調和の道筋をたどる

 つまらないゲーム また負けた


 (ちょっとは妬いてくれてもいいじゃない)

 (まさかお前が言うとは思わないよ)



- 唇と -

 かたむけるコーヒーの音

 君の瞳が揺れる 揺れる


 ゆったりと流れる空気のような

 君の小さな笑みみたいな

 落ちてくる夜空の星たち


 口の中に広がる甘さのような

 君の可愛い声みたいな

 明けてゆく夜空の星たち


 おごそかな形を描いた

 君の唇に 苦笑い

 


- 永遠のマシュマロ -

 まだあの頃は 僕らは互いを知らなかった

 やわらかな日差しの中

 ぬるま湯がゆっくりと冷めていくように

 僕らは互いを確かめ合った


 触れ合う体温が

 笑い合うその声が

 愛しくて 切なくて 離れがたくて


 呑み込むには惜しい甘さを

 ゆっくりと 溶かしていく



- りんごじゅーす -

 実のなる木の下 打ち付ける鼓動

 赤い赤いりんごの実

 揺れて落ちない頑固な実

 強いと思うし

 すごいと思う

 まるで君の迷いなき眼のようで

 赤い色がまぶしすぎた 木の葉の鳴く日


 飲み干す酸味を 体中に広がる甘味へ

 苦い苦いりんごの実

 揺れて転がるしおれた実

 はかないと思うよりも前に

 つんと苦い

 君の姿はもう見えない 先の先のそのまた前に

 苦い味が苦しすぎた 甘い風の微笑む日



- たった一つの -

 この心の底から、君へ捧ごう。

 「ありがとう」のこの言葉 君には届いただろうか

 あの日から逢えなくなった、君だから

 もう忘れてしまったとは 想いたくないんだ


 この心の底から、君へ捧げる。

 「愛してる」のこの言葉 君は知っていると言った

 それでも鮮やかな笑顔を、君が見せるから

 もう少しだけ 信じてみてもいいのかな


 この心の底から、君へ捧ごう。

 「ありがとう」のこの言葉 君に届けと強く願う


 あの猫が鳴くように、あの風が詠うように、

 夏の雲の空の下、君と別れたあの日にこそ

 この心の底から、君へ捧げた。

 「ありがとう」のこの言葉、君は笑顔で離れていった。


 あの日のように、笑っている君だから

 もう少しだけ、一緒に笑いたい


 …………

 

 この心の底から、君へ捧ごう。

 「ありがとう」のこの言葉 きっと君に届いたんだね

 あの日と同じ夏の空、あの時と同じ笑顔を浮かべ


 『これからもずっと 一緒にいてくれますか』



 心の底から、君へ捧ごう。

 この言葉、「ありがとう」

 たったの一言、たった五文字。

 それだけの短い言葉


 でもそれに込められるだけの精一杯

 君への気持ちを乗せながら

 いつも笑う君だから

 僕は君より笑って、言ってやる


 この言葉、「ありがとう」




- 昔唄 -

 うつつの中まどろみ落ちる

 ふわりといとしく花の中

 これぞ若きとつどえよう

 さらば春の桜となりて


 戻れぬのなら世界の隅へ

 うたえやうたえ海の中

 これと涙をこらえたたえ

 さらば春のあぶくとなりて


 影言の葉に 耳を傾け

 唱えられるはおぼろげの影

 かたどられるは象徴の影

 掴めぬのならその手を伸ばせと 影が誘う



 さあ 御手を叩けや よい宵の中

 おらずやを追い つい

 影をまといしその身ひとつ

 うずめて消えよ森の中


 さあ 御手を叩けや あかつきの中

 おらずやとんとん 踊り朝焼け

 影を纏いしその心に

 悟りて消えよ森の中






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