表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/60

電話

それからといもの、お母さんは家事を少しずつし始めるようになった。

まだ安静生活を続けなきゃいけないのに・・・

でもやっぱり、しんどいらしく少し家事をすると、すぐに布団に入り横になる。しばらくするとまた家事をやり始める。それを繰り返すようになった。

私も、お母さんがするんやったらいいかな?と思うようになり、あまり手伝をしないようになっていく。


お母さんが退院して1ヶ月が過ぎた日。



その日も、いつも通り私は学校へ行っていて、4時間目の授業を受けている最中に、突然教室のドアが開いた。

クラスの皆も担任の先生も、驚いてドアを見ていると教頭先生が立っていて


「橘さんいる?」


先生が私を探しているようだったので


「はい。私です」


返事して席を立つと


「お母さんから電話が掛かっているから、すぐに職員室に来て」


そう教頭先生に言われて、嫌な予感がした。




教頭先生の後ろをついて歩き、職員室に入ると受話器を渡された。

私の手が震える。


「もしもし?」


小さい声で、かすれた声しか出なかった。


「由真?お母さんやけどな、また入院することになってん。今、病院やねん今日は家の鍵持って出てる?」

「うん・・・鍵持っているよ」

「そっかそれならいいんやけどな。・・・・ごめんな、由真あんなに頑張ってくれたのにな、また入院することになってしまって・・・」

「うん」

「お父さん帰るの遅いから、それまで家に1人になるけど大丈夫やんな?ガスは使ったらあかんよ、火事になったら大変やし。それから、玄関の鍵は忘れないように閉めてよ」

「うん。分かった」

「それだけ伝えたかってん。じゃ気をつけてな」


話を終え受話器を戻すと、ずっと側にいた教頭先生に


「橘さんのお母さんから『入院することになったので、授業中やと思うのですが子供と話せることできますか?』言われてな。お母さんはなんで入院したんや?」


それで私はお母さんが妊娠していること、春休み中にも入院していたことを話すと、教頭先生は驚いた様子だった。


「そうか、分かった。もう教室に戻りなさい」


職員室から教室に向かって歩いている途中に、涙が出始めた。


嫌々せんと家事もっとすればよかった・・・お母さんが家事せんでいいように、しなきゃいけなかったんだ・・・


右腕で涙を拭いて、教室にいる子達にばれないようにする。


教室に戻るとすぐに授業終了のチャイムが鳴っる。そのとたんに、クラスのほとんどの子が、私の机の周りに集まって


「電話なんやったん?」

「誰か死んだん?」

「由真のお母さん妊娠しているやろう?もう産まれたん?」


次々に聞かれて


「誰も死んでいないし、まだ産まれていない。もういいやん、ほっといて」


私が言っても、それでもうるさく聞いてきたけど、何も話さなかった。




学校が終わり家に帰ると、玄関の前でおばあちゃんが立っていた。




2回目の入院です。そしてようやく苗字が出せました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ