あーちゃん誕生
陣痛の間隔が短くなってきたら、自然といきみたくなるらしいな。
それをいきまないように、我慢するのが難しくて大変やったんやって。
助産師さんが
「子宮口が全開になったわ」
と言ったとたんに思いっきり、いきんだんやけど・・・
下手やったみたいで
「顎引いて」
「背中の台に押し付けるように、体をエビのように丸めて」
「どんな声を出してもいいから、とにかく声を出していきんで」
いつの間にか何人も看護師さんが周りにいてることに気付いて、いきみ方を教えてくれたんやって。
いきんだ後、肩で息をしたら
「お腹の赤ちゃんに酸素が行き届かないから、鼻で息を吸って!」
という注意を何回もされたらしい。
もう何回いきんだか分からなくて、看護師さんが顔の汗を拭いてくれたり、お母さんが事前に用意したペットボトルのお茶にストローを差して水分を取らせてくれたりしながら、それでもいきむの頑張っていたら
「お姑さん今病院に着いて、この部屋のドアの向こうで待っていてるからね」
看護師さんが教えてくれたんやけど、お母さんはそのことについて返事もできる余裕が無くて、ひたすらいきんできたとか。
そんな状態が続く中、お母さんは破水したのが分かったって教えてくれた。
赤ちゃんが入っている袋が破けることを破水っていうねんて、その袋が破れないと赤ちゃんが出てこないらしいな。
それからも、いきんでいたら
「赤ちゃんの頭がほんの少しでてきたよ」
助産師さんが教えてくれたけど・・・・
『こんだけ、いきんで頭がほんの少しだけ・・・。早よ出てきなさい!』
声には出さんかったけど、心の中ではお腹の赤ちゃんに叱ったらしいわ。
そこからさらに何回か、いきんでいたら主治医の先生が
「どんな感じかな?」
言いながら分娩室に入ってきたんやって。
「もう生まれるね、その調子で頑張っていきんで」
とか先生にも言われて、お母さんに水分を飲ませてくれていた看護師さんの
「橘さん、赤ちゃんもうすぐ生まれるから生まれたての赤ちゃん撮りたいんなら、そろそろデジカメ用意した方がいいわ。デジカメ持ってきた?鞄の中に入っているんかな?」
その言葉に一瞬我に返ったらしい。
「あ!デジカメ持ってくるの忘れてしまいました・・・」
「そうなん?どうする撮らなくていいんかな?」
「撮ってほしいです」
「じゃあ、使い捨てカメラがこの病院内に売っているから、お姑さんに言って買って貰うように頼んでおこうか?」
「お願いしていいですか?」
扉の外で待っているおばあちゃんに、そのことを看護師さんが伝えると急いで買いに行ってくれたんやって。
そして戻ってきた看護師さんの手には使い捨てカメラがあって、それを見て安心したとたんに今まで忘れていた陣痛の痛みが襲ってきたとか言っていた。
それからまたいきんでいたら、突然
「生まれるから、もういきむの止めて」
先生や助産師さん看護師さんが言ったんやけど、急に止めることはできなかったみたいで
「無理です」
言いながら、いきんだらしい。
そのとたんに
「あー」
分娩室にいる、お母さん以外の人が全員叫んだやって。
叫ばれた理由は
「いきんだらあかんって言っているのに、いきんだからなんやろうけどな」
お母さんは言っていたけど。
それから直ぐに
「生まれたよ」
先生が教えてくれたけど直ぐには、あーちゃんは泣かなかったらしい。
私の時も生まれて直ぐに泣かなくて、だから先生が赤ちゃんの口に管を入れて肺などに入っている羊水を吸い取ってくれて、初めて泣いたのを覚えているから「この子もそうなんやな」って思ったんやって。
案の定、先生があーちゃんの口に管を入れて羊水を吸い取っているのが分かったって言っていた。
吸い取ったら、あーちゃんが大きな声で泣いて
「元気な男の子やで」
そう言って、先生があーちゃんをお母さんのお腹の上に乗せて見せてくれたんやって。
お母さんも元気で泣くあーちゃんを見て、安心して涙が出たって言っていた。
それから、あーちゃんは看護師さんたちに体を拭かれたり、体重を計られたり、足首に数字が書かれた紙を取れないように着けられたりして、お母さんも手首にあーちゃんの足首に着けらてた同じ数字の紙を着けられたって見せてくれた。赤ちゃんを間違えないようにするための対策らしいな。
病院の服を着たあーちゃんがお母さんの元に連れてこられたら、それまで分娩室の外で待っていたおばあちゃんが看護師さんに案内されて、分娩室に入ってきたんやって。
おばあちゃんも生まれたばかりのあーちゃんを見て、すごく喜んだって言っていた。
でも、生まれたばかりのあーちゃんを抱っこするのは怖がって、抱っこしなかったんやって。
出産する時の大変さは私にはまだ分からへんけど、無事に生まれてほんまによかったよ。




