話
看護師さんに案内されたのは、個室やった。お母さんに言われるまま、荷物を片付ける。
看護師さんも手伝おうとしてくれたんやけど、『私がするから大丈夫です』って言って断ったんや。
ベッド横に置いてあるソファーに座ったけど、沢山聞きたいことがありすぎて、どれから聞こうか迷っているとお母さんから話し掛けられた。
「一回、家に帰らんとそのまま来てくれたんやね」
「うん。まさかもう生まれているとは思わんかったけどな」
そこから色々聞いたんや。
私が学校へ行って直ぐに、おしるしの量が増えたんやって。しばらく様子を見ることにしたらお腹が痛くなってきたから時間を計ったらしい、不規則やけど一時間に五~六回痛くなったいたから病院に電話したんやって。そしたら『出産準備セットを持って病院に来て下さい。診察の結果によっては自宅に帰ってもらうことになるかもしれませんが・・・』って看護師さんに言われたんだとか。
そして直ぐに、おばあちゃんに電話して有りのままを話して、『病院の診察が終わり次第また電話しますから』と言って電話を切って、タクシー会社に電話をしてそのタクシーに乗って病院へ行き診察してもらったら『子宮口が七センチ開いているからそのまま入院』と言われたやって。
私に言われてもピンとこなかったんやけど、子宮口ってのは赤ちゃんが出てくる場所のこと言うらしいな。
そのまま分娩室に案内されて、陣痛の間隔を計ったら十五分間隔やったけど『赤ちゃんが下りてきていないから時間が掛かるかも・・・』とか助産師さんに言われたからそれを、そのままお父さんに電話したら『時間が掛かりそうなら定時に仕事終わってから病院行くことにするから、18時頃になる』って言われたんやって。
お母さんもまだまだ生まれるの先やから、それで大丈夫やと思ったんだとか・・・
で、次におばあちゃんに電話したら、『息子が病院に来るまで、付き添うから今からそっちに向かうわ。でも、家に帰ってもお母さんがおらへんかったら由真がビックリするやろうし、由真の通ってる学校の電話番号をメールで送ってくれへん?学校には私が電話するし』
ということで、私のところにも連絡がきた訳や。
電話が終了したのを見ていた助産師さんが
「橘さん、よかったら歩く?そしたら赤ちゃんが下がりやすくなるし」
と言われ、少しでも早く出産したいお母さんは廊下を歩くことにしたんやって。
ここの病院はナースステーションの後ろにも廊下があって、その廊下沿いに分娩室や分娩待機室があんねんて。
だから
「歩くんやったら、その廊下を歩いてね。私は分娩室にいてるし、疲れたりお尻に違和感を感じるようになったら戻ってね。途中に気分が悪くなったりしたら、声を出せば直ぐに誰かが駆け付けることもできるしね」
とのことで、言われた通りにその廊下を歩いて、陣痛が来たら立ち止まって、お産教室で習った陣痛を逃がす呼吸をして、陣痛が無くなったらまた歩いてを繰り返しながら頑張って何往復もしたんやって。
そうこうしている間にお尻に違和感を感じて、助産師さんがいる分娩室に戻って、そのことを言ったら診察されて
「赤ちゃん下りてきているし、子宮口九センチ開いているし、陣痛も五分間隔やからこのまま出産になるよ。いきみたくなっても子宮口が全開になっていないから、いきまないように頑張って逃がしてな」
助産師さんに言われたんやって。
この時点で、まだおばあちゃん病院に到着せず。




