止められる
翌朝、お母さんはまだ家におった、ちゃんとお弁当も作ってくれてたし。
夜中におしるしの量が多くなることもなく、お腹も痛くならなかったし、破水もしなかったから。
でも、私の運動会を見に行くことだけは皆に止められた。
「外で破水したらどうする!」
「陣痛が始まったらどうすんの!」
「そうなったら、その場にいる他の人にまで迷惑を掛けることになるからあかん!」
「お母さんに見に来てもらわれへんのは残念やけど、もしものことがあるし見に来るのやめてな」
一斉に反対されたから、お母さんは運動会を見に行くのをしぶしぶあきらめたんや。
家から学校まで歩いて十分も掛からんし、私も全てのプログラムに出場するわけでもないから、家にお母さん一人でおって何かあったら直ぐに対応ができへんし、ということで順番に運動会を見に行くように話が決まった。
運動会に見に来る人が多くて、おばあちゃんたちが見つからない。
今までの運動会やったら、お母さんが必ず声掛けてくれていたから、『見に来てくれた』って分かったけど、おばあちゃんも、おじいちゃんも、そして・・・お父さんからも声を掛けられていないから、実は見に来ていないんじゃないかと思ってしまっている。
私が通っている学校は、お昼のお弁当を食べる時間は各教室で食べることになっていて、保護者と一緒に食べることはできないようになっているから、余計にほんまに見に来てくれているんか疑ってしまう。
小学生最後の運動会は今までの運動会の中で、一番やる気がおこらなかった。
家に帰ると、おばあちゃんとおじいちゃんはまだ家におった。
私の顔を見るなり
「百メートル走、一番最後やったな」
一番言って欲しくないことを言われた。でもちゃんと見に来てくれたんやって分かったけどな。
「走るの嫌いやねん」
その後も私が出た競技のことを言われたんやけどな、今年の運動会は活躍しなかったからもう話止めて欲しかった・・・
運動会の最中にお母さんのことが気になっていたから聞いたんやけど、おしるしの量が増えていないねんて。
おばあちゃんと、おじいちゃんが帰る時に私に、こそっと話し掛けてきた。
「明日な振り替えで学校休みやろう。友達と遊びたいやろうけどな、できるだけ家におってな。お母さんが病院へ行くことになって誰もおらへんかったら不安やろうし、電話くれたらおばあちゃんも、由真のお父さんも直ぐに病院へ行くけども、距離があるから病院に着くまでに時間が掛かるからな」
おばあちゃん、言われへんでも最初からそのつもりやったで。




