復活
熱が下がり、食欲も出てきたけど、咳と風邪声は中々治らなかったから、お母さんのお見舞いに一週間も行くことができへんかった。
学校では運動会の練習をしているんやけど、体育が嫌いな私には毎日が苦痛やわ。
久しぶりにお母さんのお見舞いに行って、運動会の話をしたんや。
私にとっては小学生最後の運動会。そやから特に見にきて欲しいし、お母さんも見に行きたいって言っているんやけど・・・
三十七週にならないと点滴を抜けないんだって。しかも、点滴を抜いたらそのまま陣痛が始まって、出産する可能性があるから、もう一日様子を見ないといけないらしいわ。
点滴を抜く日が運動会の前日・・・
「じゃあ、そのまま陣痛になったら運動会見にこれないんや」
「うーん・・・今んとこ、そうなるかな。でも先生に点滴を抜く日をもう一日だけ早くできないか相談してみるから、もうちょっと待って。それでももし運動会にお母さんが見に行けないんなら、おばあちゃんとおじいちゃんに見に行ってもらえるようにお願いするから」
「それでも、陣痛っていつ始まるのか分からへんのやろ?点滴を抜く日が早くなって、その時は陣痛が始まらなくて退院できても、運動会の日に陣痛が始まったらどうするん?」
「そん時はそん時やな」
「えーなんやのそれ!」
「お母さんかって、一度退院して家の用事も終わらせたいわ。入院した時はまだ暑かったけど、退院する時は秋になっていて涼しくなっているやろうし、そうなると出しっぱなしになっているであろう扇風機や、台所の入り口に掛けてあるのれんも秋用に変えたいし、なにより出産にむけての準備はなーんもできていないから、色々やらなあかんことがたくさんあるわ」
お母さんは、ため息を吐いた。
私はお母さんのお腹に手を当て、あーちゃんに話しかけたんや。
「あーちゃん、お願いやからお母さん退院させてな。それから退院してからしばらくはお母さんを家におさせてな。頼むで」
言い終わるとあーちゃんが、ぼこんと蹴った。
「『分かった』って返事してくれたで」
お腹に手を当てたまま私が言ったら
「今のは違う『そんなん言われても僕、困る!』って言ったん違うか?」
お母さんが笑いながら言ってきた。
「お姉ちゃんのお願いきいてな。あーちゃん良い子やもんな」
今度は返事をしてくれなかったけど、きっと分かってくれたと思う。
「そー言えば、運動会が終わったら次に待っているの私の誕生日やけど、プレゼント今年は何くれるん?」
突然、お母さんは驚いた顔をした。それから
「ごめん・・・由真の誕生日のことすっかり忘れていた。由真が言うまで思い出さなかった・・・」
「何それ!・・・忘れんといてよ!」
「ほんま、ごめん。悪かったな・・・プレゼント欲しいもの考えといて」
私の誕生日忘れるなんて、お母さんには言わなかったけどかなり悲しかった・・・
ショックやった・・・




