鍵
体が辛くて、何もしたくないから布団に入りて横になっていると、インターホンが鳴ったので目が覚めた。部屋の壁に掛けてある時計を見ると、お昼になっていることに気付く。
いつの間にか寝ていたんや・・・
起きたくないというのが本音、でもこの時間やとおばあちゃんかもしれないから確認しに行くことにした。(うちん家はカメラ付きのインターホンやから、それで簡単に相手が分かる)
カメラを見ると案の定、おばあちゃんやったから玄関の鍵を開けると、家の中におばあちゃんが直ぐに入ってきて、私の顔を見るなり
「大丈夫か?」
聞いてきた。
でも喉が痛くて喋りたくないから、うなずく。その間も私の咳は中々止まらない。
「風邪を早く治すために、おかず作ったの持ってきたし、食欲無くて食べれなかったらうさぎの形に切ったリンゴも持ってきたからな」
そう言うと、おばあちゃんは先に台所へ向かって歩いて行く。
「由真、大丈夫か?」
また声を掛けられ振り向くと、おじいちゃんが玄関に立っていた。
びっくりした。おじいちゃんがくるなんて珍しい。
「由真が熱出したって聞いたから心配になってな、おじいちゃんが車運転しておばあちゃんと一緒にきたんや」
そう言うと、おじいちゃんは私の背中を優しく押して、二人で台所へ向かう。
立っているのもしんどいから直ぐに椅子に座ると、おばあちゃんが持ってきてくれたおかずをテーブルの上に並べて見せてくれた。
「おでん持ってきたし、ほらこれが、りんご。それからこれも持ってきたで」
ペットボトルに入ったスポーツドリンクを、数本渡された。
「熱がある時は特に水分をとらなあかんからな」
「ありがと」
喉が痛いけど声に出してお礼を言ったとたんに、激しく咳が出てしまう。
そんな私を見て
「なあ、おばあちゃん家に来うへんか?顔も赤いし熱も高いって聞いているし、見るからにしんどそうやんか。そんな状態の由真を一人で留守番させるの、おばあちゃん心配や」
そう言ってくれたんやけど、私は首を横に振った。
「大丈夫、家の方が落ち着くからここにいる」
「でもなぁ・・・」
私が言っても、おばあちゃんは中々納得しない。
「由真がここにいるっていうんなら、仕方がない。無理に家に連れて行っても由真なりに気を使うやろうし、本人が『大丈夫』言うんなら、その方がいいやろう」
私とおばあちゃんの会話を今まで黙って聞いていたおじいちゃんが、言ってくれた。
それから私の顔を見て
「薬はちゃんと飲んでいるな?ほんまに一人で大丈夫なんやな?」
聞いてきたから、私はうなずいたんや。そしたら、おじいちゃんは困った顔をしながら
「おじいちゃんもな、こんな状態の由真を一人にさせとくのは、ほんまは心配なんや。でも由真がここが良いっていうんなら由真の意見を尊重する」
それを聞いたおばあちゃんは、もう何も言わなかった。




