私のことは?
八月中旬に検診日があったから、お母さんはまた病院へ行ったんだ。
検診から帰ってきたお母さんが言うには
「赤ちゃんが下がってきている。推定体重は1620グラムだから生まれるには早すぎる。下がり方が気になるから次回の検診は一週間後」
先生に言われたんやって。
あかんやん!
当然、安静生活を過ごさなくてはいけない!!
次回の検診の結果によっては、また入院になるかも・・・
そうなったら、出産できる週数になるまできっと入院になる
今、お母さんは三十週の四日目なんだってさ。来週の検診はまだ夏休み中やし、心配だからお母さんと一緒に病院へ行くことに決めた。
あーちゃん、まだ産まれたらあかんよ!!
お母さんが後で教えてくれたんやけど、検診日の数日前から実は気になっていたんやって。
あーちゃんが蹴る場所が、今までよりも下に感じていたとか・・・
だから「おかしい」とは思っていたんやって言っていた。
「でも、今度また入院となっても一回目や二回目の入院と違って、入院生活は三七週に入るまでと分かっているから、特に不安は無い。」
・・・断言されちゃったよ。
お母さん、あーちゃんのことも大事やけど、私のことも少しは考えてよ!
入院ってなったら、またお弁当生活やんか!?お父さんが帰ってくるまで、ずっと一人やねんで!?
私のことは心配じゃないん?!
お母さんに不満をぶつけたら。頭なでられながら
「ごめんな、でも由真が一人で留守番できることが分かったから、安心して入院できんねん」
だと!!なんやそれは?!
確かに一回目も二回目の入院も、いつ退院できるか分からへん状況やったから、一人でどんだけ留守番生活を過ごさなきゃいけないんだろう。・・・とか考えたりして不安やったよ!!
いくら今回の入院生活の先が見えていても、お母さんが入院したとして不安が無くなる訳じゃないんや!!
そこんとこ分かってんの!?
・・・なんて私が思っているなんて、お母さん知らないでしょ?
私を、もうちょっと見て欲しい。
悲しくて涙が出そうになるから、下を向いたまま自分の部屋に逃げた。
「お母さん、あーちゃんのことばっかりや・・・」
呟いたとたんに、涙が次から次へ溢れてくる。
「ううっ」
勉強机に顔を伏せたまま声を出して泣いた。
「そりゃ、あーちゃんが無事に生まれてきて欲しいよ・・でも、だからって・・・うっっ酷い、酷すぎる。私のこと、なんにも考えてくれへんやん」
お母さんに言えないことを、自分の部屋の中で言いながら泣くと気持ちが落ち着いてきた。
何気なく今の自分の顔がどうなっているか気になって、勉強机に置いてある鏡を覗き込むと、両目は真っ赤に充血をしていて、鼻も赤くなっていて、鼻水が垂れている不細工な顔をしていた私がそこに写っていた。
「うわっ、酷い顔や」
ため息を吐いて、
しゃーないよな。あーちゃんが無事に生まれてくるためやもんな。もうちょっとの辛抱やもんな。私が我慢すれば済む話やもんな。・・・それにまだ入院するとは決まってないんやし、お母さんが入院しなくて済むように安静にしてもらおう。
鏡に映っている自分に言い聞かせた。




