夏休み
あれから、お母さんは外出をしなくなった。
お腹が張ったら、しんどくなるから嫌なんだって。
でも、家の中では元気に動いて家事をしている。お風呂掃除は私の仕事だけどさ。
それでも時々お腹が張るらしい、そういう時しか薬を飲まなくなったから、副作用がまたでるようになっている。
そして夏休みが始ったんだけど、児童保育には気が向いたら行くことにしたんだ。
お昼過ぎても児童保育にいるんなら、お弁当が必要やから、児童保育に行ってもお昼前には帰るようにした。
安静生活が解除になったし、夏休みだし万理がお母さんのお腹を触りに来た日もあった。
万理がお母さんのお腹を触って、言った感想
「柔らかい」
それから、母さんのお腹に当てていた万理の手を、あーちゃんが蹴ったんだ。
万理、驚いて手を離したな~
後で理由を聞いたら怖かったんだって。
あんなに強く蹴られるとは思いもしなかったってさ。
「出産が近づくにつれて、あーちゃんの力はもっと強くなる」と教えたらビビっていたな。
で、四週間後の検診の結果。
再び安静生活を言われたんやって。
・・・なんでや?!
お母さん、またほとんど横になったまま生活を過ごさなくては、ならなくなってしまった・・・・
私の仕事がまた増えるやんか!
でもな・・・入院されるよりかは、まだいいよな・・・
夜帰ってきたお父さんにも、安静生活に逆戻りになったことを言ったら
「またか!?」
眉間に皺をよせて、しかめっ面でお母さんに言った。
居間で横になったまま
「『またか!?』てしゃーないやろ!私だって、なりたくてこうなってるん違うわ!」
お母さんにしては珍しく、大声で言い返した。
「その病院おかしいんちゃうん?大したことないのに、大げさに言っているだけちゃうんか!?」
「ほんまに、そう思ってるんか?」
怒りを抑えた低い声でお母さんが言ったら、相変わらず眉間に皺を寄せたままだけど、お父さんは黙ってしまった。
「お父さん、私がまた頑張るからいいやろ?お母さんが入院するよりずっといいと思うで」
「『先生が安静生活』っていうんやったら、しゃーないけどな」
「だから、さっきからそう言っているやんか!」
お母さんが怒鳴った。
それを聞いたお父さんは
「・・・風呂入ってくる」
さっさと行ってしまった。
・・・逃げたな。
「ほんま腹立つわ!」
お母さんの怒りは治まらないようだ。
「お母さん、あんまり怒るとあーちゃんがビックリするで、・・・あーちゃんビックリしたやろう?」
私が声を掛けながらお母さんのお腹に優しく触れたら、ポコンと蹴られた。
「お父さんとお母さんが喧嘩したのは、あーちゃんのせいじゃないで、気にしたらあかんよ」
今度はあーちゃんから何も反応が無かったけど、あーちゃんに聞こえているといいな。




