メール
その日、仕事から帰ってきたお父さんに、赤ちゃんの性別を報告したお母さん。
それを聞いたお父さんは、ものすごく喜んで上機嫌だ。
「よかった。これで、肩身の狭い思いをせんでよくなる」
さっきからずっと言い続けている。
「私は妹が欲しかった。お父さんは肩身の狭い思いをすればよかったのに」
「残念やったな、弟で」
お父さんが笑顔で言い返してきた。
「むかつく、それにまだ分からなへんしな!」
私が睨んでどんなことを言っても、何も気にしていない。ご飯を食べながら、首を横に振り鼻歌なんか歌っている。お父さんに近づきたくなくて、居間で横になっているお母さんの側にいるんだけど、お母さんは私とお父さんのやり取りを聞きながら笑っているし。
「そう言えば、おばあちゃんに性別のこと言ったん?」
おばあちゃんも、あーちゃんの性別が早く知りたいと言っていたのを思い出した。
「ああ。二人のおばちゃんにメールで知らせたよ」
「何か言ってた?」
私が聞くと、お母さんは携帯のメールを見せてくれた。
そこには、田舎のおばあちゃんからは『よかったね』もう一人のおばあちゃんからは『体大事にしなあかんよ』とあった。
おばあちゃんは私と一緒で、女の子がいいと言っていたからな・・・お母さんからのメールでどう思ったんかな?やっぱり、がっかりしたんやろうか・・・・
メールを読み終え考えていると
「おばあちゃんは、どっちがよかったんやろ?おばあちゃん自身が、どーしても女の子が欲しくて三人頑張って生んだんやけど、三人とも男やったんや。だから由真が生まれた時、ものすごく嬉しかったっておばあちゃんから聞いたことがあんねん。由真は初孫やし、おばあちゃんが欲しかった女の子やから、小さい時は特にものすごく可愛がられたんや。女の子の可愛らしい服を買ってきたり、女の子のお玩具も買ってくれたしな」
「うん、覚えている。それに、今でも服買ってくれるやん」
「そうやな」
お母さんに携帯を返した。
おばあちゃんが女の子をもう一人欲しがっていたなんて言えない。
私は生まれてくるまで女の子やと信じているし、絶対に諦めないけどな。
「お母さん、安静生活早く解除されるといいな」
「そうやねん、美容院にも行きたいし、歯医者にも行きたいのに行かれへんからな。このまま生まれるまで、安静生活が続かんことを願ってんねん。髪を切ったのなんて二月が最後やから、四ヶ月も切ってないねんで、あーほんまに髪切りたい!」
お母さんの髪は量が多いから、美容室へ行くたびに髪をすいてもらっていると前に言っていた。
それが四ヶ月も切っていないんだから、髪をくくるとものすごく太い束になる。それがどうやら気になるらしい。




