薬
食器を洗い終わった頃に
「あ!」
突然、お母さんが大声を出したからびっくりした。
「なんなん?」
心臓がドキドキしている。
お母さんの方を見ると、テレビを見たまま話し出す。
「薬飲んでないわ。しかも部屋に置いてある鞄に入れっぱなしや」
「薬?取ってこうか?」
お母さんは、顔だけ動かして私を見ながら
「お願いできる?布団の横に置いてる茶色い鞄の中に薬が入っているから、薬の袋ごと持ってきて」
「分かった、取ってくる」
急いでお母さんが寝ていた部屋に行き、鞄を探すと、言った通りの場所に茶色い鞄があった。
鞄を開け、薬袋を探すとすぐに見つける事ができ、それをお母さんがいる居間に持って行く。
「あったで、これやろ?」
薬袋を見せると、お母さんが上半身を起こして受け取った。
「うん、合ってる。由真、悪いけどお水もらえる?」
台所へ行き、ガラスのコップに水を入れ、それをお母さんに渡した。
「はい、お水」
「ありがとう」
薬を1錠だけ飲むと、コップを渡される。
「悪いけど、洗ってな」
それだけ言うと、また直ぐに横になった。
「なんの薬なん?」
「お腹の張り止めの薬、家では点滴できへんやろ。その代わりに、薬飲まなあかんねん。でもな、この薬は副作用が辛くて、慣れるまでしんどいねん」
嫌そうな顔をしながら説明してくれた。
「ふ~ん、大変そうやな。そう言えばお風呂どうすんの?沸かす?」
「湯船に入ったらお腹に負担が掛かるから、しばらくシャワーだけやねん。そやから気にせんでいいで、由真とお父さんが湯船に入りたかったら、沸かさなあかんけどな」
それだけ言うと、お母さんは目を閉じて眉間にしわを寄せる。
「どうしたん?」
心配になって聞いてみると
「薬の副作用が出始めた・・・」
両手をおでこに当て、辛そうに見える。
「大丈夫?」
「時間が経てば治まるから・・・」
それだけ言うと無言になり、肩で息をしだしたり、寝返り打ったりして、会話ができる状態ではなくなった。
ほんまに辛そうで、不安になったけど、私が側にいても何にもできないから、渡されたコップを洗う。
ウテメリンの副作用は、手の指の振るえ、動悸、息切れの症状が出ます。
副作用が出ない人もいてますがね・・・




