お願い
1人で食べるよりも、2人で食べた方がやっぱりいいな。
家族揃って食べた方が、ほんまはいいんやけど・・・お父さんの仕事関係で、それは難しいからな。
会話しながらの食事は、美味しく感じる。
「ご馳走様でした」
箸を置いて、両手を合わせてお母さんが言った。
「もういいん?」
「お腹いっぱいや。お母さんが終わったからと言って、由真は慌てて食べなくていいからね」
「うん、別に慌てへんで。あ、食べ終わった食器は、そのままにしておいてな。後で持っていって洗うから」
お母さんは、食事が終わっても椅子に座ったままで、私が食べるのを見ている。
「横にならなくていいん?」
不思議に思って聞く。
「横にならないと、あかんのやけどな・・・」
「お腹に負担をかけたらあかんのやろ?横になった方がいいで」
食べながら言うと、私の頭をなでてから席を立ち、居間で横になりテレビを見だす。
その様子を見ながら、私は思い切ってお母さんに聞いてみる。
「なあ、一緒に寝てもいいやろ?」
今までテレビを見ていたお母さんが、寝返りを打って私の顔を見た。
「なんで?自分の部屋があるやんか」
「そうやけど・・・寂しいねん」
「寂しい?」
「お母さんが入院している間、お母さんの布団で寝ていてん。あーちゃんが生まれるまで、一緒に寝ていいやろ?」
「何いってんの?」
「お願いやから、甘えたいねん。いいやん、お母さんの布団ダブルなんやし、問題ないやろ」
厭きれた顔をしたお母さんが、ため息を1つ吐き
「好きにすれば」
と言ってくれたから、喜んでいると
「ただし、由真は寝相が悪いから、ちょっとでもお母さんのお腹蹴ったりしたら、遠慮なく由真の足を叩くし、自分の部屋で寝てもらうで」
条件を出された。
「大丈夫、抱き枕をお母さんと私の間に置いとけば、いいと思うで」
「そこまでして、一緒に寝たいん?」
「うん」
笑顔で答えると、お母さんはもう何も言わず、再びテレビを見だした。
上機嫌で私は食事を食べ終わると、すぐに食器を洗う。
思わず鼻歌を歌ってしまうほど嬉しいのさ。




